リアルサウンド映画部 記事先行公開Part3
中原昌也×宇野維正 連載対談「試写状が来ない!?」第1回
「『ターミーネーター:新起動/ジェニシス』はジョン・タイターをパクってる」
宇野:他に最近観た作品では?
中原:うーん、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』……。
宇野:おっ! ちゃんと夏の話題作も観てるじゃん! あれは評価が分かれるよね。アメリカではコケちゃったから、続編がどうなるかも微妙な感じだけど。
中原:いや、俺がおもしろかったのはさ、今回のって結局はジョン・タイターなんだよね。
宇野:ジョン・タイター? そんなキャラクターいたっけ?
中原:知らない? ジョン・タイターって実在の人物がいるんだよ。2000年にアメリカのネット掲示板に現れた、自分が2036年の未来から来たって言ってるやつ。向こうのネットでは結構有名な話なんだけど。
宇野:へー!
中原:それがひどい話でさ、そのネットの掲示板で「未来から来たんだけど、なんか質問ある?」って質問募って、いろんなことを予言したんだけど、それがほとんど当たってないの。
宇野:ダメじゃん(笑)。
中原:でも、それはなんでかって言うと、ジョン・タイターが未来から来ちゃった時点で、もうそこでパラレルワールドになっちゃってるってことで。
宇野:そりゃまた随分と都合がいい言い訳だね(笑)。
中原:でも、それって今回の『ターミネーター』そのものじゃん。
宇野:確かに。
中原:でさ、ここで問題になってくるのは、もしジョン・タイターの言ってることが全部嘘だったとしたら、間違いなくヤツは『ターミネーター』の1作目や2作目の影響を受けてるわけ。つまり、今回の『ターミネーター』は『ターミネーター』をパクったヤツをパクった作品ってことになる。
宇野 なんかもう、それ自体がパラレルワールドみたいな話だ(笑)。
中原:ま、映画はしょぼかったけどね。
宇野 ねぇ、中原くん、良かった作品の話をしよう。
中原:良かった作品ねぇ……。あ、『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』は良かった。あれは最高。
宇野:完璧だったね。
中原:前半はどうでもいいんだけど、後半のあの多幸感ね!
宇野:前半って、あの主人公と料理評論家がモメて、Twitterが炎上しちゃったりするあのあたり?
中原:そう。あそこは別に。
宇野:いや、あの旅に出る前の鬱屈した日々があるから、旅に出てからの圧倒的な開放感があるんだよ!
中原:とにかくジョン・レグイザモが最高。
宇野:そこは同意。
中原:それにしてもジョン・ファブローは良かったね。『アイアンマン3』から逃げ出すことができて。あんないい映画撮れる人だったんだ。
宇野:ジョン・ファブローも『アイアンマン』から2本で逃げていったし、ジョス・ウィードンも『アベンジャーズ』から2本で逃げていった。よっぽどストレスなんだろうね、マーベル映画を撮るのは。
中原:でも俺、マーベルだと『X-MEN』シリーズの方が好きなんだよね。
宇野:そうなの? 『ウルヴァリン:SAMURAI』とかも?
中原:うん、あれも良かったね。
宇野:本気で言ってる(笑)?
中原:いや、いろいろヒドかったけどさ(笑)。