どんと他界から15年、ボ・ガンボスが日本の音楽にもたらしたものとは?
1989年にデビュー、1995年に解散したボ・ガンボス。彼らのデビュー・アルバム『BO & GUMBO』の発売25周年を記念して、メンバーのDr.kyOn監修による完全限定生産盤4枚組(3CD+1DVD)ボックス・セット『1989』が発売された。
バンドが解散し、2000年にボーカルのどんとが他界してからも多くの音楽ファンの支持を集める彼ら。1989年に発表した『BO & GUMBO』はデビュー作にして最高傑作の誉れ高いアルバムで、収録曲「魚ごっこ」「夢の中」「トンネルぬけて」は数々のアーティストにカバーされている人気曲だ。『1989』では、オリジナル・アルバムの最新リマスター音源のほか、DISC 2にはアルバム・セッションから初蔵出しの別テイク音源が、DISC 3にはアルバム全曲をオリジナル・マルチテープから新規ミックスを施した音源が収録されている。どれも傑作アルバムの魅力に肉薄する素晴らしい内容だが、特にDISC 3では、Aメロでギターの単音リフが大きく前面に出されたことでさらに躍動感溢れる「泥んこ道を二人」、ラフで荒っぽい演奏が剥き出しになった「魚ごっこ」など、より立体的でダイナミックな音源に仕上がっており、彼らの演奏がいかに優れた表現力を持っていたかがわかるものとなっている。
ボ・ガンボスがデビューした1989年当時、バンドブームに沸いていた日本の音楽シーンでは、比較的技術を必要としないパンク調の楽曲で勢いとパフォーマンスに頼ったバンドも見受けられた。そんな中でデビューした彼らの音楽はそれまで日本のロック・バンドが抱えていた「いかに本物に近づけるか」という洋楽コンプレックスを吹き飛ばすような抜群の演奏力と表現力を持っていた。それでいてアメリカのルーツ・ミュージックをダイレクトに運んできたような演奏は、圧倒的なプレイヤーの技術とR&B、ブルース、ファンクへの深い造詣がもたらしたものだ。