E-girls、最新アルバムがチャート1位に 「元日リリース」が持つ戦略性とは?

 さて、ここまで読んで「どうして元日リリースの作品が12月28日のラジオ放送の翌日から飛ぶように売れたの?」と疑問に思った読者の方もいるかもしれません。通常、CDが店頭に並ぶのは発売日の前日ですが、実は1月1日リリースの作品は物流の関係でかなり早めに店頭に並ぶのです。ちなみに今年の1月1日リリースの作品では、E-Girlsの他にも目立ったところでMAN WITH A MISSION『5 Years 5 Wolves 5 Souls』、May J.『May J. W BEST -Original & Covers-』などがありますが、いずれもその約1週間前の12月25日には店頭に並び、特に今年は曜日の関係で初日分が本来ならば期間外となる前週のチャートにも反映されています(E-Girlsは2位→1位、MAN WITH A MISSIONは4位→3位、May J.は7位→4位)。

 90年代後半のCDバブル時代、12月のクリスマスシーズンは年間で最もCDが売れる時期で、毎年のように有力アーティストのベストアルバムのリリースが集中していました。当時の元日のアルバムリリースには、そんな嵐が過ぎ去った直後のエアポケットのような時期をピンポイントで狙うという、多分に戦略的な意味合いが強かったわけですが、今や単に縁起を担いでいるだけのような気がしないでもありません。最後に誰でもできる予言をさせてもらうなら、少なくとも連続1位が途絶えるまで、エイベックスはLDH関連のアーティストのアルバムを来年以降の元日にもリリースするに違いないでしょう。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

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