二人の大重鎮が明かす、ディープな日本ロック史
外道・加納秀人×頭脳警察・PANTA対談「40年蓄積されたホンマモンのことが、やっと出来る」
「ハードロックに一生を賭けるとか、ブルースに一生を賭けるとか、俺には出来ない」(加納)
――そんな時代にあって、外道と頭脳警察は日本語で歌うロックの先駆者でしたよね。
加納:当時は「ハードロックとロックは英語だ! 日本語なんかダメだよ。フォークならいいけど」っていう連中もいたよ。内田裕也さんが英語派だったというのもあると思うんだけど、フォークは日本語で歌ってもいいけど、ロックはダメだっていうのは、よくわかんないよね。でもミッキー・カーチスさんは「いいじゃん日本語で。いいよいいよ!」って言ってくれた。
――外道も頭脳警察も日本語がすごく響いてきますね。今回の外道の新アルバム『Rocking The BLUES』でも、2曲目の「It’s a MAD WORLD」を聞いた時に「あ!これPANTAさんの声だ」って一発でわかるインパクトがありましたよ。
加納:「あ! これ誰だ!」ってすぐわかるのは、すごく大事だと思う。自分の声を持って、自分の歌い方を持って、自分の生き方を持ってるっていうのは、やっぱり大変なことなんですよ。歌もギターもそうですよ。そういうのが当然あって然るべき。独自のスタイルっていうのは、最初から目指していました。
PANTA:ギターもわかるもんね。「あ! これアイツだ!」って。
――PANTAさんが歌ってる部分の歌詞も加納さんが書いたんですか?
加納:そうですね。
――すごくPANTAさんの雰囲気が出ていますよね。これまさかPANTAさんが書いたのかな?って思うぐらい。
PANTA:すごく意識してくれたんじゃないのかな。
加納:俺はものすごく政治的なことも歌うし、エッチな歌も歌うし、バカみたいなことも、ラブソングも歌う。とにかくジャンルが無いんです。あえて言うなら「音楽」っていうジャンル、「生きてる」っていうジャンルなんですよ。ハードロックに一生を賭けるとか、ブルースに一生を賭けるとか、俺には出来ないです。ジャンル無く自分のやりたいことを表現する。言葉にしても音にしても何でも。だから色んなタイプの曲があって当然だし、今回みたいな歌詞も書くんです。
――でも、外道節は健在ですよね。あ、やっぱ外道だなってわかります。ところで、7曲目の「イエローモンキーブルース」って、昔の「イエローモンキー」のブルースバージョンじゃないですか?
加納:ひとつの曲をどんどんどんどん発展させて、延々と出して行くっていう奴はあんまり居ないと思うんだよね(笑)。俺の場合、1曲を10回とか15回ぐらいレコーディングしたりするから。