tha BOSS feat.般若『NEW YEAR'S DAY』対談

tha BOSS×般若が語る、日本のヒップホップの臨界点「ラッパーの表現の質はどんどん上がっていく」

般若「どんなビートに乗っかってもBOSSなんだなって。改めてぶん殴られたような衝撃」

――tha BOSSさんは般若さんと一緒にやってみて、同じMCとして何か改めて感じることはありましたか?

tha BOSS:般若が凄い!っていろんな人間が言うけど、何が凄いかっていうのは、レコーディングして作品が生まれるところに触れてみないと、本当の般若の凄さはわからないと思ってた。いろんなイメージってあるじゃない? 俺もイメージで語られる人間だし、般若はわりとフィジカルなイメージが強かったんだよ、俺の中では。でも、今回曲を作ってみて、リリックの韻の踏み方とか俺的には結構衝撃だった。韻を踏んでるか踏んでないのかわからないけど、よくよく辿ってみれば、めちゃくちゃタイトに踏んでる……みたいな。しかも難しい言葉じゃなくて、口語体なのにすごく自然に韻を踏んでる。そこに最初にビックリした。

般若:自分らは派手に表に出るタイプの人間じゃないと思うんです。BOSS君が17年間やってきた中で、TBHRからのリリースで自分じゃないラッパーと初めて同じブースに入ったって言ってくれた時、「マジっすか?」ってなるわけじゃないですか。それで改めてBOSS君のラップを目の当たりにして、「この人、スゲーな」と。どんなビートに乗っかってもBOSSなんだなって。改めてぶん殴られたような衝撃を自分も味わってましたね。お互い、たぶんラップに関しては、もの凄いマニアックだと思うんですよ。どっちかっていうと自分の場合は他のアーティストを呼んだり、逆に呼ばれたりとかが多かったので、いろんな人を見てきたんですけど、その中でも忘れられない刺激的な瞬間でしたね。お互いに曲が進むにつれて興奮してましたから。いい曲になるなって。やっぱわかるんですよ。これは間違いないっていう予感が確信に変わっていくような。そりゃそうだよな、BOSSと般若がやるからそうだよなって思いながらやってましたけど。

tha BOSS:本当に良かったよ。すごく突き抜けた曲になったから。年末なのに、しみったれてないっていうか。でも、THA BLUE HERB RECORDINGSにラッパーを招いて同じブースに入ったのは本当に初めてで、自分以外のラッパーが俺の曲にバースを入れたのも初めてなんだ。で、今回のシングルはTHA BLUE HERB RECORDINGSから出すんだけど、次は般若の昭和レコードから出そうっていう流れもあって。

般若:俺は次にBOSS君とやる時は、まったく違うことをやろうって思ってます。もの凄い変態なことをやります。

――想像以上のものが仕上がってきそうですね(笑)。

tha BOSS:実際のところ緊張感もあったよ。俺も自分の意見を般若に伝えるのに正直すごく気を使ったし、それはお互いMCだからね。ミュージシャンだと調和を求めるけど、MC同士がやるとなると、本当に調和を求めていいいのかどうかということすらもわからない。ぶつけ合うことはもちろんあるけど、同じビジョンを共有するってことは電話やメールだけじゃ正直わからないから。

般若:そうですね。

tha BOSS:だから、一緒にブースに入ってみないと。そういう意味じゃ、そんな俺のことも受け入れる度量が般若にはあったし、だから完成したというか。

般若:みんなが俺にどういうイメージを持ってるかわからないですけど、自分の歌にある優先順位の中で一位にあるのは、人と作る時に“最高の作品にするために”ってことなんですよね。最高のものにするために、リリックを書き直してくれとか、ここをちょっと変えてくれとか言われても、自分は何回でもやる。それで作品が良くなるんだったら。だから、そういうところに変なエゴはまったくないんですよ。作品が良くなればいい。

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