結成15周年&新作『血騒-chisou-』インタビュー
PE'Zが語る、葛藤と挑戦の15年史「もつれたからこそ、色んな方向が見えてきた」
「小さい子には未来がありますし、そこは重要視したい」(ヒイズミ)
――8月4日からは、世田谷・国立音楽院で小学生1年~6年生の子どもたちにジャズを教えるイベント『〜ジャズクリニック~PE'ZとJAZZで学ぼう, 遊ぼう, 楽しもう!』を展開されました。これを始めた経緯は?
航:小さい子どもたちが音楽に触れて、学ぶにあたって、本当に音楽の楽しさが伝わっているのか疑問に思う部分があったんです。ある子が「音楽は好きだけど、楽器は無くてなかなか好きになれない」と言っているのを聞いて、「こういう子が音楽を好きになるきっかけを作れたらいいな」と。
ヒイズミ:当日はPE'Zの編成(サックス・ベース・ドラム・ピアノ・トランペット)の中で「この楽器を教わりたい」と思ったところに行ってもらって、担当のメンバーが教えるという感じです。
航:最終的にはみんなでセッションをして、楽器を演奏する楽しさを知ってもらえたらと思っています。
――最初に登場した時の尖った印象から、子どもたちに音楽を教える立場になられたのは感慨深いですね。音楽活動を続けるなかで、自然と色んな世代に届けたいという思いが高まってきたのでしょうか。
ヒイズミ:決して尖った部分を丸くしたいというわけではないのですが(笑)。アツい感じというか、音楽の楽しさを知ってる(つもり)ですので、それを全世代に伝えたいんです。その中でも、小さい子には未来がありますし、そこは重要視したいと歳を重ねるたびに思うようになりまして。
――同企画のテーマソングであり、配信シングルとしてもリリースする「Viva! A So Bole!」は、子どもたちも楽しめるような、音楽の原初的な躍動感や楽しさが出ています。この曲はどういう意図で作られたのでしょうか?
航:この曲に関してはメロディをわかりやすく、「これで子どもたちが楽しんでくれたらいいな」という気持ちで、完璧に演奏できなくてもみんなでセッションしたいって思って貰える曲にしました。
ヒイズミ:コロコロ展開が変わった方が遊び心があって面白いかと思い、全員でこねてこねて…手ごねハンバーグのように作りました(笑)。
――9月21日には人見記念講堂でアルバム『血騒-chisou-』の全曲を初披露。このライブは10月15日リリースの同作に向けて景気付けとなりそうですね。
航:やっぱり、曲を初めて演奏するというのはドキドキしますね。ここから何回も演奏して曲を育てていくんですが、1回目はまっさらな状態なので、いつになっても緊張します。でも、毎回来て頂いてるコアなファンはもちろん、たまに来る方、デビュー当時は観てたけど最近は…という方、そして今回のジャズクリニックで新たに出会った次世代の背負う子どもたち…全ての方に観てもらいたいライブです。時代はデジタルになってきてますが、余計な演出はせずに、あくまでもアナログ感に拘った、生の凄さを届けるつもりです。
「音を出して『何だ?』って空気の熱が変わる感じが原点」(ヒイズミ)
――アルバムは、9月24日に配信リリースする表題曲「Chi! - Sou!」をはじめとして、速いリズムを備えたアッパーな曲が多い印象です。どういったコンセプトで制作しましたか?
ヒイズミ:僕は速くてアツい音楽が基本的に好きなので、そこは全体的に出していきました。他のメンバーからも「今回は気合い入ってるな」と思うデモが上がってきましたし、バンド全体がストリート時代を思い出して、そこに向かって作りました。