アイドルソングはどのように作る? 濱野智史とCHEEBOWによるPIP楽曲ミーティング

濱野「ライブアイドルの歌詞に複雑な言葉は入らない」

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当日はPIPのメンバーによるパフォーマンスも行われた。

濱野:CHEEBOWさんは実際、ヲタ並みにアイドルの子たちとコミュニケーションして、彼女たちの心情に寄り添っていますよね。

C:ちょっと気持ち悪いかもしれませんが、あの子達のブログやツイッターもチェックしています。それは曲を作った後ですね。また次に作る可能性があるので、読んでないとわからないんですよ。ライブも観に行きますし、そのときにフィードバックを得ます。それから今回は多分やりませんけど、メンバー全員にアンケートをしたりもします。具体的には、好きなものを3つに絞って挙げてもらったりしていますね。それと、一番重要なのは「嫌いな言葉」で、それはなるべく使わないであげるか、それをプラスにするような歌詞にするようにしています。「嬉しかったこと」「悔しかったこと」などの質問は、そのまま歌詞に入れやすいですね。

濱野:なるほど。ただ、ライブアイドルってやっぱり歌下手じゃないですか。踊りながら歌ってるからどうしたってマイクずれちゃったりもするし。だからすごく複雑な言葉は入らないですよね?

C:踊りの難易度が年々上がってるし、それで歌うのはなかなか難しいと思うので、歌詞は複雑にならないようにしますね。その分、それまでの彼女たちが発表している音源をたくさん聴いて、今までにやっていない種類の音がないかとか、「ここはもっと突っ込んだ方がいいんじゃないか」みたいなところを音楽的に考えて、色を出します。例えば、ロックっぽい曲が多いなら、シンセが多めのテクノポップ的なアプローチをしてみたり。でも、基本的にファンは今までの曲が好きなんですね。同じような曲ばかりだと、やっぱり飽きるので「新しい曲が欲しい」とは言うんだけど、変わってほしくない気持ちもある。そこをどうやって変えていくかっていうと「予想を裏切って、期待を裏切らない」ということが大事なんじゃないかと。元のイメージをなるべく崩さないようにしながら、ファンの人達が知らなかった彼女たちの表情を見せてあげたいと思っています。

濱野:すごいですね。CHEEBOWさん、自分でアイドルグループを作ったほうがいいんじゃないですか?

C:僕は運営ができないんですよ。「次にこんな曲が来るだろう」っていう予定調和はなるべく断ち切りたいタイプなので、かわいい曲が2曲続いたらすごくセクシーな曲を入れてみたり、「次は違うことやるだろうな」って思われている感じなら、あえてまたかわいい曲にしたりします。ファンの思った通りにはやらないので、運営はダメでしょうね(笑)。ただ、僕の曲は先ほど言ったようなスタンスで作っているので、その時はイマイチな反応でも、1年くらい経ってから再評価されたりすることがよくあります。

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