andymoriは特別なバンドだった 樋口毅宏と宇野維正が「小山田壮平の才能」を語り合う

樋口「平和と言われた時代の最後に現れた、青春ロックバンド」

20140811-higuchi-uno-02th_th_.jpg東京でのワンマン当日、会場外からの光景。

樋口:解散するのが本当に惜しいなあ。僕は自著の『日本のセックス』で、「青春の終わりとは、好きなバンドが解散することである」って書いたんだけど、あの日同じように感じた若い人たちも多かったと思う。だからといって「あの頃良かったな」っていう安い青春振り返りではないんですよね。「青春=一時的な産物」という図式のものや、ノスタルジーでは全然ない。だけど「平和と言われた時代の最後に現れた、青春ロックバンド」。矛盾しているように聞こえるだろうけど。

宇野:圧倒的な普遍性がありますよね。もうとっくに絶滅したカルチャーだけど、5枚のアルバムの中から10曲とか12曲とか自分の好きな曲を選んで、カセットテープのA面とB面に編集して、それを大切な友達だとか好きな女の子に配って回りたくなる。こんなおっさんにさ、「10代で出会った大切なバンド」みたいな感覚を思い出させてくれるんだよね。

樋口:本当ですよ。こんなすれっからしの中年が、ライブ会場でandymoriのTシャツ着ちゃうんですよ。客層としても最高齢の部類だから好奇の視線に晒されて、帰りも同じ格好で渋谷の回転寿司に入ったら、若い子たちから「何あのオヤジ」って目で見られましたよ! 

宇野:僕も入場したら大至急物販に並びましたからね(笑)。あー、本当にマイandymoriのカセットテープ作りたいなー! 選曲とか、1曲目から最後までパッと浮かぶもんね。たぶん、僕と樋口さんが作ったら、それぞれ全然違うんだろうな。でも、本当に彼らは普遍的だと思うよ。僕が普段車で聴いている音楽にはほとんど反応しない5歳の息子も、andymoriだけは大好きで、流すといつも一緒に歌ってるからね。たとえば、良くできた童謡とかに近い感じで、彼らの歌は意図しないところで、本質的なものだけをシュッ!と掴んでるんだと思う。

樋口:歌の喜びがありますよね。小さい子は「スーパーマンになりたい」とか絶対歌うと思う。

宇野:超歌ってる(笑)。

樋口:「ユートピア」の「バンドを組んでいるんだ」って歌詞も、ブルーハーツの「パンクロック」みたいで、自分の生き方を宣言している。

宇野:こうして話せば話すほど、彼の手に負えない芸術家的資質と、その才能は、表裏一体のわかちがたいものだったんだと思う。尾崎豊、岡村靖幸、小沢健二……最近だと、峯田和伸とか。それぞれタイプは全然違うけれど、小山田壮平というミュージシャンが、今挙げたような人たちと並び得るような存在だったということは、このタイミングでちゃんと言っておきたい。

(構成=編集部)

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