クリスティーナ・ペリーはこうして世界的スターとなった「オファーされたら常に“イエス”と言うべき」

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 そんな自分探しのアルバムは、前作とは色んな意味で趣を異にしている。例えば『LOVESTRONG』の収録曲は「愛のかけら~」以下失恋ソングに占められ、クリスティーナ=ハートブレイクというイメージが定着していたが、今回はエド・シーランをゲストに迎えた「Be My Forever」など、ハッピーなラヴソングにも挑戦。サウンド志向も必然的に広がった。メイン・プロデューサーのジェイクは主に英国のポップ・ミュージックの世界で活躍する売れっ子で、彼女の優美なメロディ・センスと相性がいい、細やかなエレクトリック・テクスチュアやビートを随所に織り込み、着実なスケールアップを促している。

「前作は絶望のアルバムで、全収録曲がひとり男性に関する曲だった。その点、今回はすごく幅広い感情を網羅しているの。私自身に関する曲や、すごくハッピーな曲があるし、中でも特に『Be My Forever』はアップビートでロマンティックで、こんなにハッピーな曲が生まれたことは驚きだった。要するにソングライターとしての視野が広がったのね。前作を作った時は23歳だったけど、今は27歳だし、成長してハッピーな曲も書けるようになったのよ(笑)」

Christina Perri - Human [Official Video]

 そういう意味で先行シングル「Human」は、「愛のかけら~」に通ずるメロディックなバラードでありながらエレクトロニック・サウンドをさりげなく導入して、2枚のアルバムをつなぐ役割を果たしており、ファンに難なく受け入れられた『Head Or Heart』は前作と同じく全米チャート最高4位を記録。前作と同じ、と言えば、去る3月に『Human』がまたもや別のダンス・コンテスト番組『Dancing with the Stars』に使われている。今回はソチ・パラリンピックで銅メダルに輝いた義足のスノーボーダー、エイミー・パーディが、自身のパフォーマンスのBGMにセレクト。ただでさえ感動的なダンスに“自分を許すこと”について歌うクリスティーナの声が見事にシンクロし、またもや全米を涙させたのである。彼女自身もテレビを見ながら「号泣した」そうだ。

Christina Perri - Be My Forever (feat. Ed Sheeran) [Official Audio]

「私ったら自分の曲で自分を泣かせちゃったの(笑)。それがまさに音楽のマジックなのよね。『Human』を書いた時、この曲が別の人の生き様に重なって、ひとりの女性を慰めてあげられるとは思ってもみなかった。それにそもそも、時を遡って4年前の私に、ダンス・リアリティ番組がきっかけで人生が変わるんだと教えてあげたとしても、絶対に信じなかったでしょうね。人間って自分の人生がどう変わるか予測できないんだし、何かオファーされたら常に“イエス”と言うべきなのよ。もし“ノー”と言っていたら、私は今もウェイトレスをしていたはずだから!」

(取材・文=新谷洋子)

■リリース情報
『Head Or Heart』
発売:7月23日
価格:1,980円(税抜)

http://wmg.jp/artist/christinaperri

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