2ndアルバム『Head Or Heart』インタビュー
クリスティーナ・ペリーはこうして世界的スターとなった「オファーされたら常に“イエス”と言うべき」
声の力ひとつで全米を泣かせて、無名のシンガー・ソングライターから世界的スターへと飛躍を遂げる――。このクリスティーナ・ペリーはまさに、シンデレラ・ストーリーの主人公と呼ぶに相応しい人だ。アメリカ東海岸フィラデルフィアで幼い頃から幅広く音楽を愛して育ち、高校時代にギター片手に曲作りを始めた彼女は、「私にとって曲作りは日記みたいなもので、自分の体験はすべて曲に綴って、良いことも悪いことも消化してきた」と話す。
その後LAに移り住み、ウェイトレスとして生計を立てつつ地道に音楽活動を続けていたクリスティーナに、辛い失恋を乗り越えるべく綴ったバラード「愛のかけら~Jar of Hearts~」が転機をもたらす。親友がこの曲をダンス・コンテスト番組『アメリカン・ダンスアイドル』の振付師に聴かせたところ、急遽番組で使用されることになり、2010年6月30日放映のエピソードでフィーチャーされたのだ。美しいメロディ、クリスティーナの誠実さを映し出す澄みきった歌声、そして彼女の曲を特徴付ける赤裸々な心象風景の描写は視聴者の心に刺さり、話題騒然。歌っていたのが全身タトゥーだらけ(その数40以上)の、ハードロックのミュージシャンかと見紛う女性だったとは誰も思っていなかっただろうが、緊急発売された「愛のかけら~」はチャートを一気に駆け上ることになる。
「あれは私の人生における新しい始まりだったわ。以来、毎年その親友をはじめ、一連の出来事にかかわった人たちにお花とシャンペンを贈っているの。できれば『愛のかけら~』を買ってくれた人全員にお花を贈りたいところだけど、とりあえず毎年感謝のメッセージを発信して、あとはワッフル・ブラウニー・サンデーとか、何か甘いものを食べに行く(笑)。6月30日はアーティストとしての私の誕生日だから!」
その後トントン拍子で大手レーベルと契約し、ファースト・アルバム『LOVESTRONG』を送り出したのは2011年春のことだ。ロック畑のプロデューサーであるジョー・チカレリと組んで、それまでに書き溜めた曲をシンプルかつオーガニックに録音した同作は、順当に大ヒットを記録。精力的なツアーを通じて世界各地で続々ブレイクした彼女は、セカンド『Head Or Heart』に着手するにあたり、大急ぎで作った『LOVESTRONG』とは逆にたっぷり時間をかけようと心に決めていたという。
「ほら、前回はまず『愛のかけら~』があって、それからレーベルと契約し、計画性もなかったから、今回は順を追って進めたかったの。まず曲作りをして、一番最初にアルバムのオープニング曲になる『Trust』を書き上げた時点で、タイトルもテーマも閃いたわ。そしてプロデューサーを選ぶにあたって、試しにジェイク・ゴスリングと1曲レコーディングしてみた。そうしたら自分が探していたものが見つかった気がして、結局全13曲のうち9曲を彼と作って方向性を確立したの」
彼女がここで言うテーマとは、ずばりタイトルにも掲げた、頭と心の関係。つまり、理性と感情の関係だ。“恋愛関係をうまくナビゲートするにはどっちに従うべき?”と問いかけながら、実体験をもとに「頭の曲と心の曲を書いてみた」と説明する。
「私はいつも頭か心、片方だけを見ていたけど、ふたつは調和しなくちゃいけないんだと気づいたの。そこでしばらく恋愛はお休みして、自分を信じる方法を学ぼうと決めたわ。自分を信じることができるようになれば、どちらかを選ぶ必要はなくなると思うの。その時には頭の声と心の声が一致するはずだから」