バッファロー・ドーターが到達した新たなモードとは?「自分たちなりの『パーティー観』を表した」

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イギリス在住の現代アーティスト、ピーター・マクドナルドが同アルバムに描き下ろした絵。(タイトルは“The Party has Begun (for Buffalo Daughter)”)

「アメリカとヨーロッパでは求められるものが違う」(大野)

ーーそういう外部の人の何気ない一言や意見で、ぱっと道が開けたり。今までもそういうことはあったんですか。

シュガー:ずっとそうなんですよ。それこそ『NEW ROCK』の時からそうだけど、あの時はマイク(・D。ビースティ・ボーイズのメンバーであり、かってバッファローが所属していたレーベル<グランド・ロイヤル>の代表)とかと話しましたね。うちの場合いろんな曲があるじゃないですか。それの組み立て方で聞こえ方が全然変わってくるから。マイクと話しあう過程で、ああいう風になっていったし、そのあとの『I』も『シャイキック』も、当時一緒にやっていたスタッフとのコミュニケーションの中で、方向性が見えてくることは当然出てくるし。

大野:私はその話にピンとはこなかったけど、ヨーロッパっぽい感じだなと。アメリカとは全然違う。

ーーバッファローに求められるものが違うってことですか。

大野:うん。いろんな見え方をしてるから、曲の選び方によってもライヴの見え方が違うし、もっとロックぽいポップな曲をやるのが多いのは、やっぱりアメリカのほうだし。ヨーロッパでは、もう少しプログレッシヴというか、落ち着いたトーンの曲とか、クラブ寄りの夜の感じの曲をやったほうがしっくりするような場が多いしね。そういう違いがあるのは肌で感じてわかってるから。言われて当然だろうなとは思った。

ーーそれでやってみたらしっくりきたと。

大野:私は最後まで「Oui Oui」を一曲目にしたほうがいいんじゃないかと思ってたけど、アルバムの、「Hit-it-go-round : Party is about to begin」が1曲目で、「Le Cheval Blanc」が2曲目にくる流れもありかなと、ギリギリで気持ちも変わって。うん。そういう並びで聴いてみたら、こっちのほうがいいかもって、自分の中でしっくりきたから。だから今は納得してる。

ーーアメリカとヨーロッパってライヴやっててお客さんの反応って違うんですか。

シュガー:違いますね。今大野が言ってたみたいに、見てる場所が違う。今回はアメリカ・ツアーを最初にやって、そのツアーの感じでいろいろ掴んでアルバムを完成できるかなと思ってたんだけど、いまいちピンとこなかったんですよね。でイギリスに行ったら、なんとか考えがまとまったんですよ。アメリカも見てイギリスも見て、気持ちの整理ができたのかなと。それまでに貯めてた曲の中から仕上げようと思ったら、アメリカモードで行くよりはヨーロッパモードでいったほうが、うまく落ち着けたっていう。

ーー結果的にポスト・プロダクションを重視した作り方になったってことですか。

シュガー:そうなんだけど、それまでに録ってた曲が、ポスト・プロダクションを重視しなきゃいけないような作りの曲ばかりだったから。

ーーバンドで一発ガツンとやって、それで終わりって曲じゃないですよね、どれも。

シュガー:そういう曲じゃなかったんですよ。

ーーそもそも今回、本格的な海外ツアーって久しぶりですよね。以前お話をお聞きした時には、もう2度と海外ツアーはやりたくない、というようなことをおっしゃってましたけど。

大野:チームワークがすごく良くなってたから、楽しく終われたというのがあるかな。前はほんとにケンカばかりしてたから、ほんとに大変で。今回はそれを教訓にして、仲良くやらなきゃいけないって心から思ってやってるから(笑)。

ーーまた海外で本格的にやっていきたいって気持ちはあるんですか。

シュガー:うーん、そもそも日本だけでやってても地味すぎるバンドなんで(笑)。

大野:あはははは!

ーーそんなことないでしょ。

シュガー:日本のフェスにもそれほど出ないし…ちょっと居心地悪いんですよね。ああいうところは。そういう意味では自分たちの自然な活動範囲として海外が合ってるんじゃないかなっていう。

ーー気持ちよく演奏できる場所を求めていくと、日本を飛び出してしまう。

シュガー:日本だけだとちょっと煮詰まっちゃうかな。

ーー今年の夏フェスはフジロック?

シュガー:と、8月にウラジオストックでやりますね。

ーーすごいところでやりますね。おそらくバッファローのことを知ってる人は…

シュガー:ほとんどいないでしょうね。

ーーそういうところで演奏するのはどうなんですか。

大野:いやもう、全然(気にならない)。いつもやってる通りって感じよ(笑)。

シュガー:基本的にそんなに知られてるバンドではないので、どこへ行ってもアウェーだから(笑)。

大野:アウェーは慣れてる(笑)。

ーー以前言ってましたよね。曲に対して歓声があがったり反応があるとかえって戸惑うって。

シュガー:ああ〜そうですよねえ(笑)。だってそういうバンドじゃないし。なんか…そう(客の期待に応える)しなきゃいけないのかなって思うと、引く、みたいな。

ーー共感されることを前提として曲を作ったり、客を乗らせることを意識して演奏するとか。そういうのとは逆の立場ですよね。

シュガー:ですよねえ…。

大野:でも聴いてて自然に踊ってくれる人とかはいるから。それは全然見てて楽しいし。

シュガー:だからピーターのところでやって楽しかったのも、向こうは何の先入観も期待もなく見てるんだけど、演奏してるうちにみんな楽しくなっていく。みんながハッピーになっていく。そうすると私たちもハッピーになっていく。そういうのが楽しいなと。そういう気分は今作にも受け継がれてると思う。

ーー完成した作品はもっと多面的なものですけど、それはブロック・パーティーの本質でもありますよね。ダークなものも包含しつつ。

シュガー:まあでもそれは聴く人が思うことでね。私たちは「多面性がある」とか、そんな風には思わない。ただ一生懸命作った作品だっていうだけです(笑)。

大野:時間かかったもんね。ピーターの展覧会で演奏したのは2011年の9月で、そこから始まったんだけど、曲はもうちょっと前からあったんだよね。2010年ぐらいから作り始めてるのもあって。

シュガー:いやもう、やっと終わったと思って。この解放感は久しぶりだったね。

大野:うん。

シュガー:もう速攻、神宮球場ですよ(笑)(注・シュガーは東京ヤクルト・スワローズのファン)。

(取材・文=小野島 大)

■リリース情報
『Konjac-tion』
発売:2014 年7月23日
価格:¥3,200(+ tax)
※4面パネル紙ジャケ仕様

<収録内容>
・DISC 1:Konjac-tion

1. Hit-it-go-round : Party is about to begin
2. Le Cheval Blanc feat. カヒミ・カリィ on voice
3. Golden Leaves   feat. Pismo on vocal
4. Calling Out From The World Of Echoes
5. Love & Food feat. 坂本慎太郎 on vocal
6. Oui Oui
7. The Legend
8. Vicious Circle
9. Bring Back 80’s 
10. Les Sirènes feat. Fuzati on rap
11. Don't Stop The Music  

・DISC 2 Konjac-tion REMIX

1. Le Cheval Blanc Remixed by しんなりちゃん
2. Calling Out From The World Of Echoes Remixed by VARO
3. Golden Leaves Remixed by チボ・マット featuring Nels Cline(Wilco)on guitars
4. The Legend  Remixed by シャーロット・ケンプ・ミュール of the Goastt and Jared Samuel of Invisible Familiars
5.  Vicious Circle Remixed by 石原洋 at Peace Music Tokyo 
6. Love & Food Remixed by 永井聖一  
7. Bring Back 80’ Remixed by 砂原良徳
8.  Les Sirènes  (Instrumental)
9.  Don't Stop The Music Remixed by Greeen Linez
10. Oui Oui  (Demo)

<全曲がダイジェストで試聴できるプレビューMix>
・DISC1 Konjac-tion (Preview Mix)
https://soundcloud.com/buffalo-daughter/konjaction-disc1/s-sAQPV

・DISC2 Konjac-tion REMIX (Preview Mix)
https://soundcloud.com/buffalo-daughter/konjac-tion-disc2/s-xasn2

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