今年のフジロックで見逃せないステージは? 小野島大が50組の洋楽出演者を解説

7月27日

<Green Stage>

ジャック・ジョンソン

Jack Johnson - I Got You

 3年前の3月、東日本大震災で日本ツアーの中止を余儀なくされたジャック・ジョンソン。ついに実現したフジロック出演です。

フレイミング・リップス

The Flaming Lips - Be Free... A Way [Lyric Visualizer]

 アメリカン・オルタナティヴ/インディー・ロックの象徴的人物、ウエイン・コイン率いるフレイミング・リップス。とにかく思いつくままにいろんなことをやっている人たちで、ともすれば印象が散漫になってしまいがちなんですが、ライヴはエンタテイメント精神たっぷりの楽しめるものです。秋にはビートルズの『サージェント・ペパー』を全曲カヴァーしたアルバムが出るということで、そこからの曲もやるかもしれません。

ザ・ストライプス

The Strypes / You Can't Judge a Book by the Cover -- Acoustic (Summer Si...

 60年代の最初期ローリング・ストーンズと、70年代の最初期ドクター・フィールグッドと、最初期ルースターズが合体してピチピチの10代の美少年に変身して蘇ったようなアイルランドの4人組。当然御大ルースターズと続けて見るべきです。ロックの歴史の厚みを感じながら、それを打ち破ろうとする気概が嬉しいですね。

ジョン・バトラー・トリオ

John Butler Trio - Ocean (Live @ Fuji Rock Festival '10).

 新作『フレッシュ&ブラッド』がリリースされたばかり。フェスの大舞台に慣れている人たちなので、今回も間違いないステージを見せてくれるはず。

オゾマトリ

Ozomatli "Brighter" Official Music Video

 フジロックの顔とも言うべきLAのハイブリッド・ミクスチャー6人組。今回で5度目の出演です。

ポーグス

The Pogues Featuring Kirsty MacColl - Fairytale Of New York

  もはや説明の要もないポーグス。2005年に続く9年ぶりのフジロック出演です。最近のライヴ映像を見るとすっかりオッサンになってますが、それがまたいい味になっています。シェイン・マガウアンは以前ほど酔っ払ってステージに登場しない、との声も。フェスの大団円にふさわしい人たちです。

<White Stage>

アウトキャスト

OutKast - B.O.B.

  今年4月のコーチュラで10年ぶりに二人揃ってのライヴを敢行、世界各地のフェスを40箇所以上回るというツアーのまっただ中の再結成アウトキャスト。新作の発表の予定はないそうですが、昨年のジュラシック5同様、ヒット曲連発のエンタテイメント精神たっぷりのライヴになるに違いありません。

ケリス

Kelis - Rumble (Official Video)

 TV オン・ザ・レディオのデイヴ・シーテックをプロデュースに迎え、なんとニンジャ・チューンからリリースされた新作「Food」を引っさげてのフジ登場です。前作で残念だったエレクトロ/EDM風味は綺麗に払拭され、アフロ・ファンク/ソウル/ゴスペル/ジャズという黒人音楽の基本に立ち戻った堂々たるR&Bを披露していただけに、当然ライヴは大期待ですね。

アウスゲイル

Ásgeir - Going Home (Official Video)

 アイスランドの孤高のシンガー・ソングライター、アウスゲイル。楽曲も音楽スタイルもきわめてオーソドックスでシンプルですが、鳴りと響きを重視した録音、そしてアイスランドという土地柄のもたらす空気感が、彼の音楽を非凡なものにしています。さて、ライヴではどうなるのか。

<Red Marquee>

ロード

Lorde - Royals @ Lollapalooza Brasil 2014

  ゲスト満載のダフト・パンク、ポール・マッカトニー&リンゴ・スターなど、見どころ満点だった今年のグラミー賞受賞式で、ひときわ鮮烈な印象を残したのがロードの「ロイヤルズ」でした。黒く塗られた唇、大柄な肢体、ひ弱さや繊細さというよりも、毅然とした意志の強さと自立した逞しさを感じさせる存在感は圧倒的でしたし、必要最低限の音しか鳴っていない、シンプルでミニマルなアレンジは、何事もサービス過剰で装飾過多な昨今のポップスのアンチテーゼのようでもあります。まだ17歳。末恐ろしい「神童」の降臨を熱烈に待ちましょう。

サブトラクト

SBTRKT - Live at Reading & Leeds

 覆面DJサブトラクト。ダブステップを基調にガラージ、ファンキー、トリップホップといった要素を溶かしこみながら、ダークでメランコリックなソウル・ミュージックに仕上げる手腕は現役屈指のものです。もちろん時間帯からいってもアゲアゲでくるでしょうが、今年発売予定のセカンド・アルバムからの新曲も期待したいところです。

オーウェン・パレット

Owen Pallett - The Riverbed (Official Video)

 4年ぶり4作目となるニューアルバム『イン・コンフリクト』を発表したばかりのオーウェン・パレット。アーケイド・ファイアの片腕にして、映画音楽作家としても活躍の場を広げてきた彼も、前作『ハートランド』が素晴らしかっただけにかなりハードルは高かったんですが、見事なモダン・チェンバー・エレクトロ・ポップ・アルバムで楽々と乗り越えてくれました。ライヴも大期待です。

<Sunday Session>

チェット・フェイカー

Chet Faker - Talk Is Cheap

 いよいよフェスも大詰め。レッドマーキー3日目の深夜興行は、まだまだ遊び足りない人のための「Sunday Session」です。メルボルン出身のチェット・フェイカーは、ポスト・ダブステップ以降の音響感覚をもった新しい世代のシンガー・ソングライターです。The Weekndやジェイムス・ブレイクに近いといえるでしょう。髭面でえらいおっさんに見えますがまだ23歳です。

ミスター・スクラフ

Mr Scruff - Render Me (feat. Denis Jones) - Official video

 ニンジャ・チューンを代表する鬼才が新作『フレンドリー・バクテリア』を携え、フジに初登場。ユーモアとウィットに富んだハイブリッドなエレクトロニカはこの人ならでは。

 カニエ・ウエストの出演キャンセルは残念でしたが、こうして見ると実にバラエティに富んだ顔ぶれですね。今回は「洋楽キュレーション」ということで触られませんでしたが、邦楽もかなりの充実度。もうすぐ発表されるはずのタイムテーブルをチェックしながら、7月25日(前夜祭から見るなら、24日)を待ちましょう。

■小野島大
音楽評論家。 時々DJ。『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』などに執筆。著編書に『ロックがわかる超名盤100』(音楽之友社)、『NEWSWAVEと、その時代』(エイベックス)、『フィッシュマンズ全書』(小学館)『音楽配信はどこに向かう?』(インプレス)など。facebookTwitter

■ライブ情報
『FUJI ROCK FESTIVAL'14』
7月25日(金)26日(土)27日(日)
新潟県 湯沢町 苗場スキー場
http://www.fujirockfestival.com

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