「いつも新しいものを探している」MAGUMIが語る自身の創作スタンスと、音楽シーンの今後

「よほどのことがない限り、新しい音楽って難しいと思う」

――いろいろなスタイルが氾濫しているわけですが、その中でMAGUMIさんにとって「新しいこと」「刺激的なもの」ってなんでしょうか。

MAGUMI:よほどのことがない限り、新しい音楽って難しいと思うんですよね。もしかしたら電気を使っている時点で、もう完全に新しいものは無理なのかもしれない。だから、ミクスチュアのやり方とか、サウンドのエフェクトを変えることで、ちょっと違う感じの聞こえ方にする、とか。そういうことしかなくなっていく。そこに世界的な音楽の流れとか傾向とか、そういうものをミックスしていかないと難しいかもしれないですね。これから先新しい音楽を作るなら、情報の整理と分析は不可欠だと思います。具体的にはリズムの作り方に新しさを見せるしかないかなと。

――普通にギター弾き語りで「いい歌」を歌ってるだけじゃ満足できないですよね。

MAGUMI:それはありますね。ギター一本でもいろいろエフェクトを考えて、変なものにしようと考えちゃう(笑)。

――そうせずにはいられない性分。

MAGUMI:そうですね、たぶん(笑)。俺、コード楽器弾けないですけど。

――えっ、そうなの? トランペットだけ?

MAGUMI:そうです。

――弾ければいいとは思わない?

MAGUMI:だってそのためにメンバーがいるんじゃないですか(笑)。弾けなくても、ギターやピアノで何をやれるか知ってればいいかなと。

――ヴォーカリストというより、編集者に近い感覚ですね。自分はそのジャンルの専門的な知識がなくても、詳しい人を知っていて、その人を使えばいい、という発想ですね。

MAGUMI:うん、うん。そうそう。だからピアノもギターもまったく弾けません。

――へ~~なるほど、その一方で、MAGUMIさんのヴォーカル・スタイルが一貫して確立してるから、バンドがどんな音を出しても統一感がありますね。

MAGUMI:俺に似たヴォーカリストっていないんですよ。真似しようと思わないんでしょうね。それが最大のいいところであり最大の欠点だという(笑)。

――フォロワーがいないから寂しいってことですか(笑)

MAGUMI:あははは! そこは清志郎さんの影響もあると思うんです。俺が高校の時初めて見たライヴがRCだったんですけど、いくら清志郎さんのことが好きでも、自分のオリジナルなスタイルでやらなきゃいけないってことを学んだ気がしますね。ほかの誰かになるんじゃなく、MAGUMIにならんといかんでしょう、と。そういうことをずっと思いながらやってきた気がします。

(取材・文=小野島大)

■リリース情報
『Demonstration』
発売:5月14日(水)
価格:¥3,000+税

<収録内容>
1. Beautiful World
2. Parting Dance
3. Q Dub
4. 死角のシルエット II
5. Electric Discharge
6. Demonstration
7. 砂の家
8. 水槽
9. Abracadabra
10. トルコ行進曲
11. Liar
12. Good Bye Sunshine

『Electric Discharge』
発売:5月14日(水)
価格:¥1,000+税

<収録内容>
1. Electric Discharge
2. 死角のシルエット
3. Ghost Town

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