嵐『GUTS!』50万枚超えチャート1位に 楽曲に込められた「音楽的仕掛け」とは?

 これは何かというと、亀田誠治が以前に音楽番組『亀田音楽専門学校』で解説した「シークレット転調」のテクニック。亀田誠治が“バトンのメロディ”と呼ぶ、転調を滑らかにするためのメロディが、この曲でも使われている。それがAメロの「♪心がざわめいていた~」の部分なのである。

 まとめよう。

 嵐の『GUTS!』では、“ハーモニックマイナーパーフェクトフィフスビロウ”のスケールを“バトンのメロディ”に使った“シークレット転調”のテクニックを駆使している!ということなのだ。こう書くと、ちょっと必殺技っぽいでしょ?(筆者は音楽理論やアナリーゼを専門的に学んだ人間ではないので、もし間違っていたらごめんなさい)

 この曲の作曲を手掛けたのは「SAKRA」という作曲家。詳しいバイオグラフィーは明らかになっていないが、これまでチームしゃちほこ「尾張の華」やアイドリング!!!「サマーライオン」の作曲を手掛けてきたキャリアの持ち主。つまり2010年代の女性アイドルブーム以降のJ-POPの新潮流を踏まえたクリエイターであることは間違いないだろう。

 ジャニーズの音楽性ということで言えば人気アーティストを積極的に起用するSMAPに注目が集まりがちだが、押しも押されもせぬ人気グループである嵐も、実はかなり挑戦的な試みをしているのである。その辺も、とても面白い。

■柴那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

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