美魔女カイリー・ミノーグの飽くなき挑戦「制作環境のすべてを変えることにした」 

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震災直後で数多くのアーティストが来日をキャンセルする中、2011年に来日を果たしたカイリー・ミノーグ。

ーーさて、東日本大震災直後に開催された2011年4月の来日公演は日本のファンにとって特別な思い出になっていますが、当時のことを振り返っていただけますか?

カイリー:2011年に日本に行ったときは、東日本大震災が起きた直後でツアーができるかどうかわからなくて、WHOの声明をずっと待っていたんだけど、最終的には行けることになった。そのとき、私はクルーのみんなに選択肢を与えたの。「これが個人的な問題であることは理解している」って。日本に行くのを怖がっていたクルーもたくさんいたからね。でも私は「こういうときこそ行かなくちゃいけない。日本の人々に私が応援している姿を見てもらいたい」って言ったの。正直な話、クルーの人数は減ったわ。個人的な理由だったり、家族が心配することを理由に同行を拒否したクルーも少なくなかった。それでも私たちは日本に行ったわ。約束を果たすことができて、最高の気分だった。

ーーあの来日公演の実現にはそういう背景があったのですね。

カイリー:すべてがスペシャルだったわ。まず、行くって決断ができたこと。数週間の間、どう転ぶかわからなかったからね。当初は無理だって言われていたし、いろんな人から行くべきではないってアドバイスされていたの。でもそのあと、行くかどうかは本人の判断次第ってことになった。そういう状況すべてがスペシャルだって感じたわ。そして、あのツアーでは「I Should Be So Lucky」を歌う予定はなかったんだけど、日本のファンのために歌うべきだって思ったの。オーディエンスが一体になったわ。日本のファンはシンクロナイズするのがとても上手ね(笑)。私もそうだし、バンドのメンバーもみんな信じられないって顔をしてた。あの瞬間こそが私のハイライトだったわ。

『Locomotion』でのデビューから27年、“ポップ・プリンセス”として盤石のステイタスを築き上げた現在もなお新たな刺激を求め続けるカイリー。インタビュー中にも登場した「I Was Gonna Cancel」のようなガール・アンセムに宿る圧倒的な説得力は、そんな彼女のアティチュードに裏打ちされたものなのだろう。

「さあ、ベッドから飛び起きて 今日と向き合って 貴方がなにを知っていようと関係ない そんなことに邪魔させない 疑念をすべて捨てて 立ち上がって前に進むの 向こう側になにがあるか 永遠にわからないわ ここで前に進まなければ さあ、行くわよ」

 カイリーの生き様そのものといえる「Kiss Me Once」には、人生のさまざまな局面であなたを鼓舞してくれる歌がぎっしりと詰め込まれている。
(取材・文=高橋芳朗)

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