KESEN ROCK FESTIVAL、震災後3回目の開催決定 「地元愛フェス」はどう育まれてきたか
去年も好評を博した京都大作戦(京都)やMONSTER baSH(香川)の2014年の開催が年明けとともに次々と発表された。地域と一体となって運営される夏フェスが、音楽ファンの熱い注目を集めている。
そんな中、岩手県の南東部に位置する気仙郡の種山ヶ原で開催されているフェス『KESEN ROCK FESTIVAL’14』の開催が今年も発表になった。KESEN ROCK FESTIVAL(以下、KRF)を運営している実行委員会は、地元岩手の大船渡市、陸前高田市、住田町などから集まった、いずれも有志のメンバーたち。前身の『大船渡ロックフェスティバル』が2008年に開催されたのち、KRFは2009年から開催されているが、周知の通り、実行委員会メンバーの在住するのは、2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた地域だ。震災直後の2011年は開催中止を余儀なくされたが、制作コスト以外を全てKRFの復活支援金としてプールする支援イベント“KESEN ROCK TOKYO”が東京で定期的に開催され、the band apart、BRAHMAN、10-FEET、ストレイテナーなど様々なアーティスト、そしてオーディエンスがこの企画に賛同。全国から多額の義援金が届けられ、2012年、KRFは見事に復活を果たした。
KRFの魅力は何といってもその手作り感。「ふるさとを盛り上げよう、自分たちが誇れるまちを作ろう」という想いから発足したKRFは、他に本業を持つ実行委員会メンバーがステージを2ヶ月かけて自らの手で設営し、会場の草刈りを行い、近所の公民館や消防署から借りてきたテントを張る、いわば「究極の手作りフェス」だ。会場は山の上にあるため場所によっては携帯も通じず、急な天候の変化もしばしばという過酷な環境。にも関わらず、スタッフが作り出すフェスの温かい空気感や、アーティストとオーディエンスが一緒に心から楽しめる環境で、KRFは訪れた観客の心を掴んできた。例年、開催後にはKRFが終わってしまったことの寂しさから“ケセンブルー”という言葉が感想ツイートに並ぶなど、KRFはオーディエンスの強い支持を集めている。
今年のKRFは、2014年7月19日(土)に前夜祭であるCAMP NIGHT’14、7月20日(日)に本祭のKESEN ROCK FESTIVAL’14が開催される。実行委員会メンバーで、地元大船渡、陸前高田のバンド『TILITILI』のメンバーとしてKRFに出演もしている菅野安宣さんに、KRFの魅力、そして今年のKRFについてお話を聞いた。