激動する世界の音楽業界 3大メジャーの命運を左右する「資本」の動向とは
3大メジャーが拡大路線をとる背景もここにある。EMIのレコード部門を買収したユニバーサルミュージックは傘下にある名門レーベル所属のミュージシャンを抱えることでシェアを拡大し、存在感をみせつつある。また音楽出版部門を手にしたソニーミュージックは、ビートルズなどEMIの有する錚々たる顔ぶれのカタログを二次使用することで利益を生み出そうとしている。とはいえ両社とも規模が拡大した分だけコストも大きくなるので、組織合理化などこれまで以上の経営努力が必要となる。
利益を生み出すことが大きな課題となる中、日本の独立資本系レコード会社の最大手であるエイベックスの動向は異彩を放っている。同社は音楽・映像コンテンツ制作とマネジメント事業を主軸に置きながらも、通信会社と強いパートナーシップを結んでプラットフォーム事業で利益を生み出すことに成功した(同社はBeeTVに代表される映像配信サービスの好調により、2013年3月期の決算で売上高1387億円(前期比15%増)、営業利益140億円(同14%増)と創業25年の歴史の中で過去最高を記録している)。音楽事業者として総合的に利益を生み出す「魅力的な企業」になるという意味で、同社の事例は参考になる点が多く存在するのではないだろうか。
今後も、傘下レーベルの移動を含めて世界のレコード会社の再編は続くと見られるが、その際に各社はどのような資本と手を結ぶのか。音楽という文化をうまく活かしていく方向に期待したい。
(文=北濱信哉)