小出祐介×ハマ・オカモト、実写映画『ジョジョの奇妙な冒険』対談 大の原作ファンはどう観た?

小出祐介×ハマ・オカモト『ジョジョ』対談

 荒木飛呂彦原作の人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』を三池崇史監督が実写映画化した『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』のBlu-ray&DVDが、3月23日にリリースされた。製作発表時や公開時に賛否含め大きな話題を呼んだ本作だが、今回リアルサウンド映画部では、原作の大ファンである、Base Ball Bearの小出祐介とOKAMOTO’Sのハマ・オカモトによる対談を企画。原作ファンの視点から、本作に対する率直な感想から、漫画の実写映画化作品の評価を分けるポイントについてまで、大いに語ってもらった。(編集部)

小出「原作がもともと持っていた怖さや緊張感があった」

――2人とも原作ファンとのことですが、そもそも今回の実写化の話を聞いたとき、どんなリアクションをされたんですか?

小出祐介(以下、小出):まあ、ぶっちゃけ、「おい、マジかよ……」とはなりましたよね(笑)。

ハマ・オカモト(以下、ハマ):ですよね(笑)。

小出:そりゃあ、そうですよ。何なら、いちばん実写化してほしくないくらいの作品だと、たぶんお互い思ってましたから。

ハマ:というか、その話を知ったとき連絡しましたよね。

小出:そうそう。それでまあ、映画が公開されて……僕よりも先に、まずハマが観に行ったんですよね。僕はやっぱり、ちょっと二の足を踏んでいて。

ハマ:そう、僕はすぐに観に行って。何なら滅多に買わない高い席で観たりしました。何にしても、もう万全の状態で観たいと思っていたので。

小出:で、そのあと、ハマから「観ました?」って連絡があって、「正直、観に行く勇気がなくて」みたいなことを言ったら、「や、ちょっと観に行ってください」って言うから……。

ハマ:多くを語らずというか、面白いとも面白くないとも言わずに(笑)。

小出:ハマも、自分と同じく原作原理主義的なところがあるから、「観に行ってください」って言うのは、ちょっと意外だなって思って。それですぐ観に行って。そしたら、「や、意外と良かったですよねえ」みたいな感じになっちゃって(笑)。

――(笑)。映画を観たあと、2人でどんな感想を述べあったんですか?

小出:意外にも良いと思った点が多かったって感じだったと思うんですよね。あまりにもネガティブな想像をし過ぎていて(笑)。だから、良い点はいっぱい挙げられるよね。

ハマ:そうですね、思っていたよりも全然良かった。

小出:『ジョジョ』の原作漫画って、タッチはもちろん、コマ割りや画角も含めてすごくデザインされた漫画じゃないですか?

――独特なビジュアルセンスがありますよね。

小出:だから、血が出る描写でも、そこまでグロいとは思わないんですよ。でも、今回の映画は、冒頭のアンジェロが矢で射抜かれるシーンでちょっと緊張したんですよね。怖かったんです。物語として「こういうこと起きるから」、映画としても「こういう描写するから」という宣言だとも感じて。そういう、原作がもともと持っていた怖さや緊張感があったことに、まず「おっ」って思った。

――漫画に描かれていた「痛み」とか「恐怖」を、よりリアルに感じられたというか。

小出:「漫画を実写化する」っていう意味はこういうところにあるんじゃないかと思いましたね。

――ハマくんは、どんなところが良かったですか?

ハマ:僕はやっぱり、何でもそうですが、どうしても原作を尊重してほしいなと思いながら観てしまうところがあるんです。そういった意味では、特に後半戦でやっぱり虹村兄弟のクオリティがすごいと思いました。特に億泰が。

小出:ああ、億泰、良かったねえ。

ハマ:実写映画の前に、同じ第4部のTVアニメ版があったじゃないですか。恐らく今回の映画のスタッフやキャストも、そのTVアニメを研究しているだろうなという感じがして……。

――TVアニメ版は、結構評判良かったですもんね。

ハマ:TVアニメ版は、原作漫画を読んでいる身からしても、ほとんど違和感がなかったんです。その中でもやっぱり、(新田)真剣佑くんの億泰の、TVアニメそのまんま感というか……。あと、億泰のスタンド「ザ・ハンド」のビジュアルに、少し驚いたところがあって。映画の世界観に慣れた頃に億泰が出てきて……。

小出:億泰は中盤から出てくるからね。

ハマ:そうです。こっちとしては、もう待ちに待ってるわけで。「どんなふうに描くんだろう?」と、思ってからのお屋敷での怒濤の展開は、本当にすごいクオリティだなと思いましたし、岡田将生さんの形兆も、「あ、そうだよね。人間がやったら、こうなるよね」というクオリティだった。そうやって、思った以上に、原作愛のあるシーンが多かった印象があります。

小出:どの登場人物も、その人物になり切るくらいの勢いじゃないとカッコつかないキャラクターばっかりですからね。原作を知らない人からしたら、ちょっとおかしな人たちばかりじゃないですか(笑)。

――そうですね(笑)。この映画の面白さには、いくつかポイントがあると思いますが、やっぱり、まずは役者ですか?

小出:うん、そうですよね。

ハマ:みんな、もともとは漫画だということを、きちんと踏まえてやっているところがいいというか。自分だったらこうしますというところと、そうじゃない部分が融合している感じというか、そのバランスがすごく良かったと思いました。

小出:そう、さっきハマが言ったみたいに、真剣佑くんの億泰は、多分TVアニメ版の声の感じを自分なりに取り込んでやっているんだと思うんですけど、TVアニメ版の億泰を通り越して、田中邦衛さんみたいになってましたからね(笑)。

ハマ:ああ(笑)。

小出:「俺はさあ、バカだからよお」って、口の形、田中邦衛さんになってない?っていう(笑)。でも、それがすごく良かった。

――主演の山崎賢人さんも、意外とハマってましたよね。

小出:や、ホントですよね。

ハマ:純粋にすごいなと思いました。

――冒頭の2人の発言じゃないですけど、原作ファンがいろいろ言うのは、あらかじめわかっているわけで。かなりリスキーな役どころではありますよね。

小出:超リスキーですよ。

ハマ:誰がやっても、それはやっぱりいろいろと言われてしまいますからね。

小出:でも、山崎さんなりの仗助にすごく魅力があったよね。

ハマ:キレ方なんかも良かったですよね。実写の場合、漫画と違って「プツン!」といった文字は出ないわけで。それでも、「あ、今、キレたな」ってわかりましたから。

小出:そうそう、擬音表現みたいなものを、ちょっと警戒してたんですよ。「ゴゴゴゴゴ」とか文字で出てきちゃうんじゃないかとか。でも、そういう漫画表現は、いっさいやらなかったですからね。そのストロングスタイルも僕は好きでした。

ハマ:そういう意味でも、役者が良かったということなんでしょうね。個人的には、観月ありささんが演じた、東方朋子の漫画そのまんま感はすごかったです。

小出:まんまだったよね。

ハマ:あの、漫画から飛び出てきた感が逆にすごく良かったというか。

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