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『アンナチュラル』は日本のドラマ界を先導する傑作だ 第1話から驚くべきクオリティー

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 “映画を超えた”と称される膨大な費用をかけた質の高いドラマが世界で人気を博す中、日本のドラマは何歩も遅れているように感じる。動画配信サービスのおかげで、ほとんど時差なく海外ドラマに触れられるようになった今、日本のドラマと少し疎遠になった人も増えたはずだ。

 そんな中、日本のドラマ界に新しい風を吹かせたのがTBSドラマ『アンナチュラル』。石原さとみが主演を務める本作は、警察や自治体から依頼された遺体を解剖し、死因を究明する“不自然死究明研究所”、通称UDIラボで働く人々を描いた法医学ミステリー。井浦新をはじめ、窪田正孝、市川実日子、松重豊ら実力派キャストが脇を固め、脚本は『逃げるは恥だが役に立つ』『重版出来!』の 脚本家・野木亜紀子が務めるという最強の布陣となっている。

法医学の扉を開く、素晴らしい冒頭

(c)TBS

 主人公の三澄ミコト(石原)の職業は、日本に170人ほどしか登録されていない“法医解剖医”。神倉保夫(松重)が所長を務めるUDIラボは、ミコト率いる三澄班と、中堂系(井浦)が筆頭医を務める中堂班に分かれている。三澄班に所属するのは、ミコトと気の合う臨床検査技師・東海林夕子(市川)と、バイトとして雇われた医大生で記録員の久部六郎(窪田)。1話完結のスタイルで、この5人が主体となって様々な死因を究明し、未来の誰かを救命していく。

 1月12日に放送された第1話「名前のない毒」は、一人暮らしで突然死した高野島渡をめぐる物語。健康な息子の突然死に納得のいかない両親がUDIラボに直接依頼し、ミコトたちが死因を究明していく。

 ドラマにおいて第1話は、視聴者の心を掴むか否かがかかっており非常に重要な回であることは言うまでもない。特に脚本を書くにあたって、どのような舞台で、どんな人々がストーリーを進めていくのか簡潔に説明しなければならないため、第1話の冒頭には脚本家の腕が出る。

 “死因究明専門のスペシャリスト”と一般の人々からかけ離れた職業に焦点を当てた本作は、女子ロッカールームで仕事の準備をするミコトと夕子の姿を映した普遍的なシーンから始まる。日常生活になじみない法医学の世界に生きる人々も、われわれと同じ悩みを抱え、日常を歩んでいるのだ。

 また、登場人物の紹介も作品によって色が出る。「俺の名前は○○!」とストレートにナレーションを入れる場合や、日常会話の中で名前を呼び合うパターンなどがあるが、本作で使用されたのは出勤ボード。

 慌ただしく着替えを済ませたミコトたちは解剖室に集まる流れの一環として、出勤ボードにそれぞれ名前の書かれたマグネットを貼っていく。難しいテーマを扱いながらも、普通の人間から“死因究明専門のスペシャリスト”として仕事モードに入る姿は、その先に待ち受ける法医学への興味をかき立て、第1話にふさわしい始まり方だった。

「死」を扱う医者とは

(c)TBS

 UDIラボに届いた高野島の遺体は、死後10日が経過していて、すでに腐敗が始まっていた。解剖室では、三澄班と中堂班のどちらが担当するか押し付け合いが始まる。結局三澄班が引き取るが、遺族にとっては大切な遺体も、解剖医たちは腐った肉体として扱っている部分に、法医学という仕事が少し見えた。

 三流医大生でアルバイトとして三澄班に所属する久部は法医学について、「法医学って死んだ人のための学問でしょ。生きている人を治す臨床医の方がまだ……」と本音をこぼすが、解剖実績が1,500件を超えるミコトは久部に、「法医学は、未来のための仕事」と返す。冒頭のシーンで、遺体を見て吐き気を催していた久部は、ここからUDIラボの一員として仕事に熱を入れていく。久部のポジションは視聴者に一番近いところにあるため、彼の心情とともに視聴者の心は死因究明の魅力にのめり込んでいったはずだ。

 高野島の遺体から急性腎不全の症状が見つかり、薬毒物死が疑われたため、三澄班は高野島のアパートへ現場検証へ向かう。そこに、遺体の第一発見者でもある高野島の婚約者・馬場路子(山口紗弥加)が現れた。劇薬毒物製品の開発の仕事をしている彼女は、毒物鑑定システムで検出できない未知の毒物「名前のない毒」を開発できるため、完全犯罪の成立が可能な人物だった。久部が馬場に「アリバイはあるんですか?」と問いかけたように、われわれ視聴者は「第一発見者が怪しい」と思ってしまいがち。しかし、このドラマではそうはいかない。

      

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