尾上松也が語る、歌舞伎俳優とアニメ声優の共通点 「アフレコは歌舞伎のセリフ回しとどこか似ている」
10月28日より、アニメーション『映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』が公開されている。2004年2月にテレビ放送が開始された『プリキュア』シリーズ。本作は、シリーズ通算14作品目にして12代目のプリキュアとなる『キラキラ☆プリキュアアラモード』の劇場版最新作だ。想いのつまったスイーツを守るため、スイーツ大好きな主人公・宇佐美いちかたちが、伝説のパティシエ・プリキュアとなって戦う模様を描く。
リアルサウンド映画部では、キラ星シエルの師匠であり、劇場版の重要なキャラクターとなるジャン=ピエール・ジルベルスタインの声優・尾上松也にインタビュー。本作への想いや、撮影秘話、歌舞伎とアフレコの共通点など、じっくりと語ってもらった。
「大人も楽しめる要素がふんだんに含まれている」
ーー『プリキュア』シリーズは、2004年から10年以上続いてる人気アニメです。松也さん自身は『プリキュア』に対してどういうイメージを持っていましたか?
尾上松也(以下、松也):おそらく、僕らよりもだいぶ下の方たちが『プリキュア』世代ど真ん中だと思うんです。なので、僕自身は『プリキュア』という存在は知っていましたが、「次世代のお子さんたちが観ている人気が高いアニメ」という印象でしたね(笑)。ですが、『プリキュア』を観ていない方たちの多くもまた、『プリキュア』というアニメーションがあること自体は認知していると思います。それはすごいことですよね。
ーー松也さん自身は幼少の頃どんなアニメを観ていたのですか?
松也:『幽遊白書』はよく観ていました。それから僕らの世代で言うと、『まじかる タルるートくん』、『みどりのマキバオー』、『スラムダンク』、『蒼き伝説 シュート!』、『おぼっちゃまくん』、今でもやってますが『ドラゴンボール』などが流行っていましたね。女の子たちは『ママレード・ボーイ』や『姫ちゃんのリボン』に夢中になっていた記憶があります。
ーー松也さんが実際に観ていたアニメと『プリキュア』の違いは何だと思いますか?
松也:そうですね……、『プリキュア』はシーズンによって毎回テーマが変わるということが一番の魅力だと思います。『プリキュアアラモード』に関しては、スイーツが題材になっているということ自体が新鮮でしたね。こんなにもスイーツに特化したアニメーションは他ににあまりないと思います。その上、ただスイーツをやるだけじゃなく、ベースにある、ヒーローというか戦隊モノ的な要素との組み合わせ方が絶妙なんです。これは『プリキュアアラモード』でしかできないことだろうなと思います。大人も楽しめる要素がふんだんに含まれているなとも感じました。
ーーどこに大人も楽しめる要素を感じましたか?
松也:もちろん、ビジュアルやお話の内容はお子さんが観ることを前提に作られているので、とてもわかりやすいのですが、その裏にしっかりとしたメッセージ性がある印象を受けました。仲間の大切さや諦めない心の強さなども描かれているので、『プリキュア』を通して大人でも何かを感じたり、自分と照らし合わせて振り返ったりできる気がします。僕自身は観ていてそれを強く感じましたね。
ーー松也さんが演じているジャン=ピエールは、今作のカギを握る重要なキャラクターです。印象に残っているシーンやセリフは?
松也:ジャン=ピエールは普段クールなのですが、美味しいスイーツに出会ったり、作り上げたりした時にテンションが上がって、「トレビアーン!」とすぐ言ってしまうんですよ。そこが気持ち悪くて好きですね。一気にキャラが変わってしまうので、そのギャップが魅力的です。普段はカッコいいのに、ふとした時にめちゃくちゃカッコ悪くなってしまうところが可愛いんですよ。大家さんにすごくビビってるところも。それから、職人肌ですよね。自分の評価のためやお金儲けのためには、スイーツを作らない。そこがすごくカッコよくて憧れる部分でもあります。一番好きなのはカラスを避けながらスイーツを作るシーンですね。ここは一つの見せ場です。
ーーカラスを避けながら?
松也:はい。家に穴が空いてしまって、そこから大量のカラスが入ってくるというシーンがあるのですが、ジャン=ピエールはシエルたちの前でそのカラスたちを避けながらスイーツを作るんです。その動きが見事なのと同時にツッコミどころも満載です。
ーーそんなジャン=ピエールを演じる上で意識したことを教えてください。
松也:普段の彼が持つ、スイーツに対しての真摯な姿勢や生き方があってこそのギャップだと思いますので、その辺りのベースをしっかり築くことを意識しました。基本スタイルがブレないからこそ、ギャップがより活きてくるのかなと思います。あとは声を聞いただけで、ジャン=ピエールがどういうキャラクターなのか、ある程度想像できるようにはしたいなと思っていました。しっかりキャラクターが立つよう心がけていました。