満島ひかりはやっぱり凄かった! 『カルテット』誘惑から涙まで、卓越した演技に絶賛の声

満島ひかりはやっぱり凄かった!

 満島ひかりが昨日1月31日放送のテレビドラマ『カルテット』(TBS)で披露した演技に、ネット上で数多くの絶賛の声が挙がっている。坂元裕ニが脚本を手がけ、実力派俳優として知られる松たか子、満島ひかり、松田龍平、高橋一生の4人が共演することで、熱心なドラマファンから期待されていた同作は、開始3話目にして高い評価を確実なものにしつつある。

 昨夜の放送では、満島ひかり演じる世吹すずめにスポットが当てられ、その過去が明らかになるとともに、恋愛模様に進展が見られた。世吹すずめは無職で、主要人物たちが同居生活を送る別荘の中、ひときわモラトリアムな生活に浸りながら、別府司(松田龍平)に密かな想いを寄せている。冒頭で、ライブハウス「ノクターン」店員の来杉有朱(吉岡里帆)から、「告白するのは子どものすること。大人は誘惑してください」と恋愛指南を受けるのだが、そのレクチャーの時点から満島の佇まいは際立っていた。生活感のにじみ出た家着姿にもかかわらず、来杉の腕枕に抱かれる姿には、ハッとさせられるほどの可憐さがあった。不器用にも思える振る舞いが、かえっていじらしい。その後の展開を期待させる意味でも、効果的なシーンだったといえよう。

 飄々としていそうで、どこか神経質にも見えるすずめのキャラクターは、満島の演技によってさらに輪郭を明確にしていく。たとえば、かつてすずめを“超能力少女”としてメディアに売り出そうとした父が、危篤状態にあることを伝えに来た少年(前田旺志郎)に対する態度。最期にお見舞いに行ってほしいと懇願する少年に対し、はじめは面食らった表情で苦笑いを浮かべ、最後には強い視線を向けた。言葉遣いだけを見れば丁寧だが、その表情は複雑な心境を示していて、画面に緊張感を生んでいた。満島の演技は、セリフより多くの感情を一瞬で伝えるだけの説得力があるのだ。

 その演技力は、恋愛シーンにおいても存分に発揮された。いよいよ冒頭でレクチャーされた“誘惑”を、別府に実践するシーン。彼のベッドにいきなり潜り込み、「どうしたんですか、Wi-Fiが繋がらないんですか?」と見当はずれな疑問を投げかける別府に対し、すずめは無言でほんの少しだけ首を振る。ごく最小限の意思表示には、すずめの照れ、不器用さ、可愛らしさが凝縮されていて、思わず火照ってしまった視聴者も多かったことだろう。ともすれば見逃してしまいそうな、ほんの少しの動き。それだけで何もかも伝える繊細な演技に、女優・満島ひかりの凄さを改めて感じる。

 極め付けは、松たか子演じる巻真紀とのやりとりだ。すずめの父が亡くなったことを知った真紀は、彼女を病院に連れて行こうとするが、すずめは話題をはぐらかし、聞く耳を持たない。蕎麦屋でカツ丼を待つ間、稲川淳二のラジオを話題にしたり、壁に貼られたポスターに気を取られたり。どこか浮かれた調子は、父に対する複雑な感情から来ている。それを察した真紀が、彼女の目をみつめて「(病院に)行かなくて良い」と言い切ると、すずめは目に涙を浮かべながら、しかし落涙することはなく、それを受け入れる。真紀の「泣きながらご飯食べたことのある人は生きていけます」という言葉と共に、深く印象に残る一幕であった。

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