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トランプ大統領選勝利に米エンタメ界はどう反応? 現地在住ライターがレポート

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 なんだか悪い冗談を見ているようだ。というのが、アメリカ沿岸部・リベラル層が多く住む地域の人間の心情だろう。11月8日に行われた米大統領選から1週間。何度寝ても、何度目を覚ましても悪い冗談は現実のものとなったまま、覆らない。筆者の周りでも、取り憑かれたようにSNSから流れる情報に一喜一憂する者、逆に外界からの情報をシャットアウトし、現実を見ないようにする者、デモに参加する者、それぞれのやり方でこの難解な局面を切り抜けようとしている姿が見られる。開票速報が始まってから、驚き、祈り、嘆き、苦しんだ1週間を経て、アメリカはどんな感情に包まれているのだろうか。そしてそんなとき、映画や音楽などのエンターテイメントは、絶望の淵に立たされた人々にどう寄り添ってきたのだろうか。

 おそらく、この1週間SNS上で最もシェアされ読まれた記事は、マイケル・ムーアが7月にハフィントンポストに投稿した記事だろう。(参考:ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう ※原文はアメリカ版に掲載)

 だが、7月の時点ではこの記事は読み飛ばされ、誰も本気で「トランプ大統領」と呼ぶ日が訪れるとは思っていなかった。ムーアは、米国大統領選を3週間前に控えた10月18日、新作『Michael Moore in TrumpLand』を電撃発表した。翌日の19日にニューヨークのIFCシアターで本人登壇の無料上映会を行い、ニューヨークとロサンゼルスにて1週間限定の劇場公開を行った。現在はiTunesで配信されている。内容は、10月初旬にオハイオ州ウィルミントンの劇場で行われたムーアのトークショーを撮影したもの。当初はウィルミントン市の劇場ではなく、同じくオハイオ州の別の劇場で公演を行うはずだったが、ムーアの過激な発言が物議を醸すことを恐れた劇場側がキャンセルし会場変更になったといういわくつきのイベントだ。

 1時間13分のコンパクトなドキュメンタリーは、トランプ候補の基盤であるオハイオ州にて、彼のマニフェストがいかに馬鹿げているものかを指摘し、ヒラリーに非があることも認めつつも、トランプ大統領が誕生することの危険性を説いている。会場を埋め尽くす聴衆のうち、2階のバルコニー席半分にはメキシコ系住民が座り、彼らの周りをボール紙でできた壁が囲う。もう半分にはイスラム教信者が座り、彼らの周りをドローンが舞う。同じ会場で同じ公演を聴く民衆を、非情な仕切りで区分けする恐怖政治を疑似体験させてみたのだ。もちろんムーアの語り口はいつものように軽快で、ウケようがウケまいがジョークを並べ立て、口角泡を飛ばして喋りまくる。だがその表情は硬く、選挙結果が出た今改めて見てみると、敗北の予感をぬぐいきれないでいるようにも見える。選挙直後、ムーアこうつぶやいた。

「どんな結末であろうと、我々はここから始めるのだ」

      

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