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広瀬すずと松岡茉優、『ちはやふる』で熾烈な演技合戦! 二人の違いから『下の句』の魅力を読む

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 この1ヶ月少々、映画の話ともなれば「『ちはやふる』は観たか?」という言葉が出ないことはないほど、周囲では話題となっていて、しかも観た人みんなが絶賛しているなんて、ここ数年の日本映画ではほとんどなかったことだ。一方で、原作ファンでアニメ版(筆者は途中までしか見ていないが、かなり原作に忠実に作られていた印象だ)のファンの知人は「実写化は二次創作だから見ない」と苦言を呈してきたことを考えると、それが漫画原作映画を大量に作る時代にそびえ立つ壁なのだと感じる。

 漫画と映画は本質的に違うものであっても、映画が原作の持つ新鮮さと熱量を超えることはそう簡単なことではない。とはいえ、連載開始時から原作に熱狂してきた筆者としては、この映画化は大成功であったと断言したい。ある一定の範囲までの物語を限られた時間の中で集約するという映画化として当然の行為が、カルタを取るという迅速な行為と重なることで、より一層スピード感が増したのである。

 現在31巻まで発売されている原作だが、今回の映画化で扱われる大筋は5巻のあたりまで。ちょうど主人公たちがかるた部を設立してから高校1年夏の全国大会を経験するところまでが中心に描かれる。それでも、1巻を占めた小学生編にはほとんど触れられず、『上の句』では4巻の入りまでを描いたことを考えると、漫画の2巻分がちょうど2時間弱の映画にはふさわしい分量なのではないかと思える。それでも、同じように2巻分の筋を辿っていても、『上の句』と『下の句』ではエピソードの拾い方に違いが見られる。

 『上の句』ではほぼ原作に即して物語を進め、クライマックスでの太一とヒョロくんの運命戦だけは、もっと後に登場する2年生のときのエピソードであった。つまり、原作が実写化したらどうなるか、という難題にまずひとつの答えを提示したのだ。前述の小学生編など、一貫して映画の勢いを遮りかねない要素をすべて削ぎ落とし、見せ方に注力しているのだ。さらに繋がりをよくするためか、カルタ部を創設する前に千早と太一が福井にいる新を訪れるエピソードを『下の句』の序盤、全国大会出場前に配したのである。

 その『下の句』はというと、原作で2年生時に描かれるものや、そもそも描かれていないものまで、多くの表現を織り交ぜており、『上の句』ほどの勢いこそはないけれど、見せ方よりも物語性にこだわった印象だ。この大胆な脚色は『上の句』の忠実さに安心した原作ファンがどういった反応を示すのか少々気になるところでもある。それでも、二部作での映画の作り方としても、長期連載の漫画の一部を抜粋した映画化の方法論としても、これが正解ではないだろうか。

      

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