坂口健太郎、なぜドラマで重要な役どころに? “悟り世代”の演技の強みを考察

 俳優・坂口健太郎の出演するドラマ『重版出来!』(TBS系)が、本日夜10時から放送開始される。本作は、大手出版社に新卒で入社し編集者として働き始めた黒沢心(黒木華)が、様々な逆境を乗り越えながらも“重版出来”を目指し奮闘する模様を描くヒューマンドラマ。坂口は、望まない部署に配属されたが故に仕事に魅力を感じられず、情熱も目標もなく仕事をこなす営業マン・小泉純を演じている。前クールの月9『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』のメインキャストに抜擢されたことで知名度を一気に高め、さらに4月から放送が開始されたNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』では、ヒロインの高畑充希と恋仲になる可能性がある青年・星野武蔵を演じている。

 俳優デビューしてから日が浅い坂口が、なぜ次々と重要な役どころや話題作に抜擢されるのか。坂口の持つ役者としての強みを、ドラマ解説者の木村隆志氏は次のように語る。

「現代の若者が持つ“ナイーブさ”や“いまどき感”を、ナチュラルに演じることができるのが坂口健太郎さんの強み。このところ坂口さんの起用が続いているのは、『若者が持つ未熟さを無理なく表現できるから』ではないでしょうか。若手俳優の多くは本人が意図していなくても、やる気や熱い想いが表に出て、脱力系の役を演じるときに邪魔になるのですが、坂口さんにはそれがありません。「冷蔵庫はいらない」と語るなど物欲や執着心が少なく、身の丈をわきまえたような抑え気味の発言など、坂口さん自身のキャラがこれまで演じてきた“悟り世代風”の役柄とリンクしていました。また、モデル出身でカメラ慣れしているからこそ、必要以上に緊張することなく自然体の演技ができるのでしょう。仮面ライダーや特撮ヒーローシリーズなど若手俳優の層は厚いものの、その中でも悟り世代を上手く演じられる役者は貴重な存在です」

 さらに、坂口のような飄々としたキャラクターは、連続ドラマにおいて活用しやすいと同氏は続ける。

「連続ドラマは3ヶ月かけて、登場人物の内面の変化を少しずつ描いていきます。『重版出来!』でも、坂口はやる気のないところからスタートしますが、実は胸の内に熱い想いを秘めていて、それが徐々に覚醒していく、という役どころです。演出サイドから見たら、王子様のようなイメージが強い福士蒼汰さんや山﨑賢人さんとは異なり、いい意味で個性が前面に出ていないからこそ、キャラクターの二面性や奥行きが出しやすい俳優と言えるでしょう。また、固定イメージがないことが、幅広い役へのキャスティングにも繋がりますし、視聴者に余計な先入観を与えない、という強みになります。なかでも“恋の三角関係”という設定で、主人公男性の対抗馬として起用されやすいのは、さまざまなキャラに染まれる資質があるからに他なりません」

 2016年は初舞台への出演が決まっているほか、2017年には主演映画も控えているなど、今後の活躍にも期待が寄せられる坂口。近い将来、ドラマ主演も期待できるという。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる