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犬と猫、映画の主役にふさわしいのはどっち? 古今の名作から考察

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久保田和馬
動物
邦画
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 映画に相応しい動物は何なのか。制作側からしてみれば、従順に指示に従ってくれて、かつ映像に躍動感を与えてくる動物が有難い。これまで映画で多用されてきた動物というと、やはり馬であろうか。西部劇を始め、古くから人間と密接な関係を築いてきた馬は最も理想的である。とはいえ現代劇で、街の中を舞台にするとなると馬を使うのはかなりアンバランスである。そう考えると、今最も人間の近くにいる動物である、犬か猫のほうが相応しい時代になってきたのではないだろうか。

 そうなると、今度は犬か猫のどちらかを選択しなくてはならない。「犬派」か「猫派」かという問いは、人の趣向に関する問いかけの中でもポピュラーな話題で、実際のところ日本ではペットとして飼われているのは犬の方が多いようだが、最近は猫派の割合が高くなってきているようだ。海外に目を向けてみても、欧米諸国では比較的猫派の方が多数を占め、一方で南米やアジア圏では犬派の方が多いというデータがある。

 ここ数年になって、日本映画では犬よりも猫を扱う映画のほうが多くなってきたように思える。数年前に『クイール』や『マリと子犬の物語』など、犬の映画が頻発していたことを考えると、単に流行り廃りのようにも思えるが、意外とそうではない。これまで猫を中心に描いた映画は犬と比べて圧倒的に少なかっただけに、それだけ映画の方法論が増えたということである。

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(C)2015杉作・実業之日本社/「猫なんかよんでもこない。」製作委員会

 何故猫の映画が増えてきたのか。もちろん猫の自由気ままな姿に共鳴する人口が増えていることが大前提であり、そんな自由気ままな役者を映画に起用するために調教方法や撮影方法などを工夫した結果であろう。前述した通り、映画にキャスティングするのであれば、監督やスタッフの指示に従えることが重要である。そういった点で、人間に忠実に従うイメージの強い犬のほうが重宝されている歴史も頷ける。睡眠時間が長く、かつ気まぐれさが売りの猫にとっては、待ちや撮影で長時間を要する現場はいくらボディダブルを使ったところで、どうしてもストレスが大きくなってしまうのである。

 では本質的に、犬と猫でそれぞれ映画にもたらす効果が違ってくるのか。例えば犬の映画として代表的なものを挙げてみると『南極物語』や『ハチ公物語』といったみたいに、人間を待ち続ける忠実な姿であったり、『ウォレスとグルミット』シリーズのように主人公をサポートする相棒を演じるイメージが強く、ほとんど主演を張れるだけの器に描かれる。対照的に猫となると、忠実さや相棒のイメージはほとんどなく、どちらかというと騒動の引き金を作ったり、主人公に何らかの変化をもたらす役どころが多い。しいて言うなら悪役やライバルといった助演俳優の立ち位置であろうか。

     
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