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『ジョン・ウィック』でキアヌ・リーブス復活! 『マトリックス』スタント製作陣と生み出した“アクションの凄み”を解説

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 このところ「キアヌ・リーブスが復活を遂げた!」との呼び声が高まっている。いやいや、残念ながら『47 RONIN』(13)のことではなく、もう一本の主演作『ジョン・ウィック』(10月16日全国ロードショー)が凄いと評判なのだ。

 アメリカでの興行成績を振り返ると、その国内興収は4300万ドル程度。お世辞にも大きなインパクトを残せたとは言い難い。しかし実際にこの映画を目撃した観客の評価は高く、一部では熱狂的な支持さえ生み出しているのだとか。それほどまでに人々を惹き付ける魅力はいったい何なのか。

シンプルな物語を貫く壮絶なアクション

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 キアヌ演じる主人公はかつて殺し屋だった男。引退してから早5年、ある夜、愛する人の忘れ形見ともいうべき愛犬をロシアン・マフィアに殺された彼は、抑えきれない怒りを爆発させ、やがて組織を壊滅させるほどの一大リベンジに打って出る―—―。

 物語のベクトルは極めてシンプル。だが単純なものほど描き方が極めて難しいのが映画の常である。そこで作り手たちが持ち出した特殊言語が「アクション」に他ならない。口数少なく、それほど表情も変えないジョンの感情や人間性を、フィジカルなぶつかり合い=アクションが巧みに代弁していくわけである。

 殺し屋ジョン・ウィックの闘い方は極めてユニークだ。服装はいつも葬儀のような黒スーツ。銃を両手で構えながら相手のふところに跳び込み、ヒジなどで相手の急所を攻撃。そこから柔道の一本背負いのように身体を投げ飛ばし、トドメの一発をズドンと打ち込む。他にもブラジリアン柔術やロシア軍が採用している格闘技システマなどを随所に盛り込み、自らも手傷を負いながらも泥臭く、かつ確実な方法で相手を粉砕していく。マリリン・マンソンの「キリング・ストレンジャーズ」の深いビートにあわせて、脇目も振らず真っ直ぐに突き進むジョン・ウィックの姿は、仕置き人のようにも、地獄からの使者のようにも見えて、ひたすら痛快だ。

キアヌが信頼を寄せる職人たち

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 ハリウッドで量産される付け焼き刃のアクション映画は、クローズアップや小刻みな編集などでごまかしてしまうケースも多い。その点、本作は個々のアクションをワイドなアングルでしっかりと捉え、なおかつそこに巧みなカメラワークが加わることでリアルさと美しさを同時に獲得。アクションを見慣れている人ほど、そのこだわりに溜め息をこぼさずにいられないだろう。

 ここで思い出したいのが、キアヌ自身、数々のアクションのキャリアを積んできた映画人だということだ。30代で『マトリックス』シリーズの特殊な映画作りの現場を経験した彼は、アラ・フィフとなった近年、グルリと周期を巡らせたかのように自らカンフー・アクション映画『ファイティング・タイガー』(13)のメガホンを取ってみせた。(傑作とは言い難いが、キアヌの熱意が伝わってくる作品だ)。

 きっと彼の身体の中には、本格的なアクションに対する抑えきれないほどの欲求や衝動があるのだろう。そしてこの『ジョン・ウィック』の成功の鍵がアクション・シークエンスにあることを、キアヌは長年の勘や経験から誰よりも早く見抜いていた。それは間違いない。

 ではこの『ジョン・ウィック』流のアクションはいかにして生まれたのか。本作の企画を受け取った時、キアヌはプロデューサーに対して「あの男たちの手を借りるべきだ」と提案したという。それはハリウッド最高のスタントチーム「87Eleven」を率いるチャド・スタエルスキとデヴィッド・リーチのこと。キアヌとは『マトリックス』シリーズを共に闘い抜いたスタッフたちである。

 今や名だたる作品のアクションデザインや第2ユニット監督を担う彼らは、映画全体のアンサンブルを崩すことなく「ストーリーを語るためのアクション」を生み出せる最高の人材だ。キアヌはそこに可能性を見出したのだ。その結果、経験と実積を買われたスタエルスキは『ジョン・ウィック』の監督として全体を統括していく役目を担うことになる。

      

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