宮藤官九郎監督『TOO YOUNG TO DIE!』は新たな代表作となり得るか? "隙のない"キャスティングを読む
2016年2月6日に公開される宮藤官九郎監督の最新作『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』の第一弾ビジュアルが公式サイトで公開された。
同作は、宮藤官九郎の完全オリジナル作品で、"地獄"に落ちた高校生・大助が、地獄農業高校の軽音楽部顧問で、地獄専属ロックバンド・地獄図(ヘルズ)を率いる赤鬼・キラーKの"鬼特訓"のもと、生き返りを賭けた地獄巡りを行なうという物語。
赤鬼・キラーKを演じるのは、7年ぶりの映画主演となる長瀬智也。17歳という若さで地獄に落ち、片思い中のクラスメイトに会いたい一心でキラーKと生き返りを目指す高校生・大助を演じるのは神木隆之介。さらに、尾野真千子、森川葵、桐谷健太、清野菜名、古舘寛治、皆川猿時、古田新太らが出演している。
今回、公開されたビジュアルでは、長瀬は『さくらん』『モテキ』の伊賀大介が手掛けた衣装に身を包み、「手はジミヘンとカート・コバーン、下半身はマイケル・ジャクソン、声は忌野清志郎」という、ロックと和のテイストが融合した鬼姿を披露。長瀬自身、「パッと見るだけでは、僕だと分からない」と語る特殊メイクは、撮影の度に90分がかりで施されたとのこと。
一方、神木演じる大助は、キスもしたことがないまま地獄に落ちた一見ウブで可哀相な高校生だが、「なんかこいつ地獄に落ちそうって、観る人をイラつかせるキャラクター」という、これまでの神木には無かった"ウザキャラ"を演じているという。
宮藤官九郎作品に詳しいドラマ評論家の成馬零一氏は、今回のキャスティングについて、次のように語っている。
「長瀬智也はこれまで、ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(2000/TBS)や『タイガー&ドラゴン』(2005年/TBS)、映画『真夜中の弥次さん喜多さん』(2005年)といったクドカン作品で主演を務めてきた、いわば常連の俳優で、しかも長瀬が出演する作品は宮藤官九郎のキャリアにとっても重要な位置付けのものが多いですね。宮藤官九郎はロックやパンクといった音楽が大好きで、自らグループ魂というバンドをやっていますが、作品の撮り方も音楽的で独自のグルーヴ感があります。そんな、クドカン作品が持つグルーヴと、もっとも相性が良い俳優が長瀬なのだと思います。そう考えると、今回の長瀬の役柄はこれまでの延長線上にあるもので、安定感のある良い演技が期待できそうです。また、神木隆之介もクドカン作品の中で秀作といえるドラマ『11人もいる!』(2011年/テレビ朝日)で主演を務めた実績があるので、こちらも期待できるでしょう。脇を固める尾野真千子や森川葵、桐谷健太といった俳優陣も含めて、隙のないキャスティングではないでしょうか」