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竹野内豊のコミカルな魅力から探る、「アラフォー俳優」サバイバルの条件

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西森路代
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阿部寛
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 福山雅治、西島秀俊、伊藤英明、大森南朋、大泉洋、加瀬亮、長谷川博己、堺雅人など、現在、アラフォー俳優が映画やドラマにひっぱりだこだ。そんな中、同じ世代の俳優の中では比較的ブレイクの早かった竹野内豊は現在、若い頃とは違う魅力が増してきているように思う。競合が少ないようで、実は多いアラフォー俳優の中で、竹野内豊はいかに戦っているのだろうか。

 8月22日に公開の映画『at Home』主演の竹野内豊は、一見、良きパパに見えるのだが、実は幸せそうなその家族は偽装家族で、竹野内は偽装パパを演じているのだった。しかも、家族全員が泥棒や結婚詐欺など、犯罪で生計を立てているとわかる、衝撃的なシーンから映画は始まる。しかし、なぜこの家族がこの形になっていったのかが徐々にわかっていくと、竹野内演じる父親の温かさが見えてくるのだ。

 竹野内と言えば、1997年の『ビーチボーイズ』で反町隆史と共演して一世を風靡したがことが記憶に残っている人も多いだろう。しかし、44歳になった今ではすっかり渋みのある俳優のひとりとなっている。また、現在はそこにコミカルな味も加わった。世間にそんなイメージが広まったのは、JT「Roots アロマボトルシリーズ」のCMではなかっただろうか。

 例えば、竹野内演じる部長が商談に成功し、社に颯爽と戻って部下に報告しようとするも、スーツの袖がドアノブにひっかかってしまったというものや、契約が取れて戻ってきた部下に握手を求めるが、タイミングを逃してしまい、非常階段で拗ねてしまったり......というエピソードがあり、見ているものを笑わせる。部長らしくかっこよくしようとすればするほど、ドジな姿をさらしてしまい、そして部長なのに簡単に凹んでしまう。竹野内の同世代が、若いころに描いていたような大人にはなれなかったことを表しているようにも感じられた。

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(C)映画『at Home』製作委員会

 このCMの始まった2011年には、『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』で初めてコメディ映画にも挑戦している。この映画は、ひょんなきっかけから地獄を旅行することになった新婚夫婦が、その道中で、あるきょうだいに出会い、家族のような感情を抱いていく姿を描いたものである。疑似家族的な感情を描いたという意味では、『at Home』にもつながるが、鈴木福や橋本愛が顔を青く塗って登場するという今考えると不思議な、お宝的な作品でもある。そして、この作品での、竹野内の、おおげさな演技はしないが、なんとなく笑えるキャラクターは、今につながっているように見えた。

 そのトボけた魅力は、2014年のドラマ『素敵な選TAXI』で満開となった。渋くてかっこいい風貌の大人の男が、ひょうひょうとしているだけで、もうどこかコミカルに見えてしまう。無理に笑わせようとしない竹野内の抑えた演技が、逆に笑いを誘うのだ。

 40代になると、丹精な顔立ちの俳優は、イケメンであるがゆえにコミカルな存在になってしまうことがある。『結婚できない男』や『テルマエ・ロマエ』の阿部寛を考えるとわかりやすいだろうか。仲村トオルもまた、40歳を過ぎて、ケラリーノ・サントロヴィッチの作品『怪奇恋愛作戦』や舞台などでトボけた味わいのある演技を披露している。

 イケメンとくくられる俳優たちは、30代が正念場と言われているのを聞いたことがある。10代から20代前半にはドラマや舞台でも青春群像劇が多く需要があるが、30代になると群像劇がぐっと減る。また、顔が整っているぶん凡庸に見えて、個性が見ているものに伝わりづらいということもあるだろう。しかし、40代になると、その年齢までイケメンとして存在していることが世間的に珍しいことになり、それが個性として受け止められることもある。そして、普通にしていればしているほど、それが"おかしみ"として伝わってくるのかもしれない。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■公開情報
『at Home』
8月22日ロードショー
公式サイト

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