大ヒット作ひしめく2015年夏、『ジュラシック・ワールド』一強ゾーンに突入!

『ジュラシック・ワールド』興行圧勝
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 『ラブライブ!』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』『バケモノの子』『ターミネーター:新起動 ジェニシス』『HERO』『インサイド・ヘッド』『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』『ミニオンズ』など、20億超え(もしくは20億超え見込み)のヒット作が毎週のように公開されて、活況を呈してきた2015年夏の映画界。ここにきて、本命中の本命と呼べる作品が期待通りの数字を叩き出した。

 今週初登場1位は『ジュラシック・パーク』シリーズの14年ぶり4作目となる『ジュラシック・ワールド』。先週土日の2日間で動員54万4759人、興収8億4512万円を記録。この数字は、7月の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の最初の週末の動員50万5521人、興収7億9390万8800円を超えて、日本映画/外国映画/実写/アニメすべての中で今年ナンバー1。しかし、重要なポイントはそこではない。実は『ジュラシック・ワールド』の公開は8月5日の水曜日。日曜日の時点で既に累計動員は107万人、累計興収は15億円を突破するというとてつもないメガヒットとなっているのだ。

 『ジュラシック・ワールド』から遅れること2日、8月7日に公開された『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』は土日2日間で動員42万7281人、興収5億7354万9200円、初日金曜日を含めた3日間では動員57万935人、興収7億5725万2300円を記録。この数字は、2011年12月に公開されて最終興収54億円を記録した前作『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』の初日3日間と比べても105%と、通常だったら当然のように初登場1位の水準の文句なしの数字なのだが、『ジュラシック・ワールド』の爆発力の前ではどうしても見劣りする。ちなみに、動員の差以上に興収で差がついているのは、『ジュラシック・ワールド』の方がIMAX3D、MX4D、4DXの稼働率が高いためだ。

 もともと映画の興行を左右する大きな要因にはスクリーンの占有率があるが、このところ新たな問題となっているのはIMAX3D、MX4D、4DXといった上級設備を持つスクリーンの奪い合い。特に今年の夏のように次から次へと大作が公開される時期は、「まだまだ当分やっている」と思っていると、いつの間にかIMAX3D、MX4D、4DXの劇場での上映は終わっていたりする(『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で苦い思いをした人も多いだろう)。今回の『ジュラシック・ワールド』も、初日が平日の水曜日という変則的な公開だったため、公開初日にはまだ『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』が上級設備を持つスクリーンを占拠しているケースも多く、ネット上の映画ファンの間では一部でブーイングも起こっていた。

 そういう意味で、今後しばらく超大作の公開は一休み。『ジュラシック・ワールド』はIMAX3D、MX4D、4DXの高稼働も後押しして、独走状態が続く可能性も。しかも、「恐竜もの」である本作は子供にも強く、子供に強い作品はロングヒットになりがち。2015年の興収トップに君臨する『ベイマックス』(2014年12月20日公開だったので厳密には昨年の公開作)の91億6000万にどこまで近づけるか、あるいはそれも抜き去って今年のナンバーワン作品となるのか、今後も注目していきたい。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「ワールドサッカーダイジェスト」ほかで批評/コラム/対談を連載中。今冬、新潮新書より初の単著を上梓予定。Twitter

■公開情報
『ジュラシック・ワールド』
公開中
配給:東宝東和
メイン画像クレジット:Chuck Zlotnick / Universal Pictures and Amblin Entertainment
公式サイト

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