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兵庫慎司の「ロックの余談Z」 第20回

MOROHAがメジャーデビューしてどうなるか見たい “ドキュメント”としての音楽の迫力を考える

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 MOROHAがメジャーデビューする。

 2018年6月6日に<ユニバーサル・シグマ>から発売になる『MOROHA BEST 〜十年再録〜』。2010年から2014年の間に<ROSE RECORDS>からリリースした2枚のアルバムと1枚のシングル、2016年に自主レーベル<YAVAY YAYVA RECORDS>からリリースした3rdアルバムから全12曲を選び、再レコーディングした作品だ。4月からテレビ東京系で始まった深夜ドラマ『宮本から君へ』のエンディングテーマになっている「革命」は、1曲目に収録されている。

  そのリリースに先駆けて、2018年5月10日に渋谷7th FLOORで、コンベンションライブが行われた。メディアとかディーラーとか代理店とかを招待して行う、関係者へのお披露目のショーケースライブ。

 僕がMOROHAを初めて観たのは、2010年の8月、中目黒駅そばの小さなクラブだった。曽我部恵一と飲む時間を調整していて、「その日ライブ行くんですけど、どうせなら一緒に行ってから、そのあと飲みません?」ということになったのだった。

 曽我部のレーベルである<ROSE RECORDS>からMOROHAの1stアルバム『MOROHA』がリリースされる2カ月前だったが、その時は彼は「うちから出すんです」みたいなことは一切言わなかったので、何も知らないまま観た。

 『MOROHA BEST』の収録曲で、コンベンションで披露していた「二文銭」や「奮い立つCDショップにて」や「恩学」を、その8年前のライブですでにやっていた。

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 というようなことを頭によぎらせながらコンベンションを観ていて、そのMOROHAの1stアルバムが出た頃に、当時の勤め先のウェブサイトで持たされていたブログに、書いたことを思い出した。

 で、それ、メジャーデビューするんなら、今もう一回書いておいた方がいいような気がしてきたのだった。当時読んだ人はごくごく限られているだろうし。

 何を書いたのか、というとですね。

 MOROHAが売れるとどうなるか、見てみたいと思いませんか?

 ということです。

 MOROHAの歌は基本的に、今のアフロ自身のドキュメントになっている。

 <これから仕事だってクラブを去る日々から/これから仕事だってクラブに向かうそんな日々に変わる 変えてみせる>と誓う「二文銭」。

 音楽誌で絶賛されている奴よりも、インディーながらセールスを上げている奴よりも俺の方がヤバイ(=すごい)、と、まるで自分に言い聞かせるようにくり返す「俺のがヤバイ」。

 “音楽より大切な人”である恋人や家族を“音楽で幸せにしたい”と目指す「恩学」。

 新宿のディスクユニオンで、自分のCDの中古盤が叩き売られているのを見つけた、という歌い出しで始まり、<勝てなきゃ皆やめてくじゃないか/勝てなきゃ皆消えてくじゃないか>というサビに到達する「勝ち負けじゃないと思える所まで俺は勝ちにこだわるよ」。

 「恩学」で<音楽より大切な人 音楽で幸せにしたい>と望んだ、その彼女との別れを歌った「tomorrow」。

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 要は、音楽活動においてうまくいかない、成功していない、それで食えていない自分、そのことによって(とは限らないが)周囲とうまくいかなくなったり、またうまくいったり、でもやっぱりうまくいかなかったりしている自分を描いている、ということだ。

 最初に聴いた時は、曲という曲、もうそれ一辺倒だった。その後、「バラ色の日々」のような、音楽活動よりもプライベートによったラブソングも書くようになり、そういう曲一辺倒ではなくなったが……と書きながら他の曲の歌詞を見ていたら、「三文銭」は、2015年のフジロックに絶対出るつもりでその日バイトを休んだが、出られなくて恥をかいたという話が冒頭に来る曲だったりするのだった。2015年って、もうそこそこMOROHAの名前が音楽シーンに出たあとですよね。わりと最近でもそうなんですね。

 つまり。“音楽でうまく世に出られない”ことを表現の中心にしているMOROHAが、ちゃんと世に出て、売れて、たとえば日本武道館を埋められるようになったら、いったいどうするんだろう、という話です。

      

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