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『どついたるねん』インタビュー

どついたるねんが語る、ロックバンドとしての独自のあり方「僕ら全員、過剰なものが好きなんです」

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 どついたるねんが、キングレコード/EVIL LINE RECORDSより、メジャー1stフルアルバム『どついたるねん』をリリースした。ここには、音楽的には衝動的なパンクロックがあり、メロウなR&Bがある。歌詞表現には、くだらない小ネタと、多くの引用と、青臭くロマンチックな言葉の羅列がある。<これで僕もバンドマンだ>――そんなシンプルな喜びを全力で表現してみせるし、<高城剛が言っていた/イビザの夕日は世界一>なんていう、なんとも言えないフレーズをぶち込んできたりもする。「どついたるねんとは何か?」という問いに、彼ら自身で応えようとしている……そういうところが、このアルバムが「メジャー1stフルアルバム」らしいポイントでもあるともいえるだろう。

 今回、メンバー6人全員にインタビューをしたが、とても不思議な時間だった。彼らは、その過剰な歌詞表現やライブパフォーマンスとは裏腹に、自分たちを説明するために大袈裟な言葉をあえて使うようなことはしないし、(これは原稿ではあまり伝わらないと思うが)とても沈黙が多い。「ロックバンド」として生きることを「日常」とすること。それを10年間続けてきた凄みが、その淡々とした語り口に表れているようだった。(天野史彬)

人間性が大事(ワトソン) 

ーー4月8日に、去年に引き続き2度目のマイナビBLITZ赤坂ワンマンが行われましたけど、ご自身たちの手応えとしては、いかがでしたか?

浜 公氣:個人的には、前回とは桁違いにリラックスしてできましたね。それまで毎日練習に入っていたし、いい感じに力が抜けた状態でできた、というか。

山ちゃん:毎日練習に入るっていうことが、これまでなかったですからね。

先輩:ライブも、週1本ぐらいやっていたんですよ。毎日練習入って、週1本ライブ。

ーーそれ、相当ヘビーなスケジュールですよね。

先輩:やっぱり、サポートメンバーが入って最初のライブだったし、去年の暮れにメンバーが抜けてから、バンドが固まっていないなっていう感覚があったので。

ーー去年の暮れに、ファック松本さんと小林4000さんの脱退があり、しかもメジャーデビューというタイミングでもあって、どついたるねんにとって、去年から今年にかけては大きな変化の時期でもあったと思うのですが。

先輩:メジャーデビューといっても、自分たちとしては、あんまり変わっていないんですよね。「一区切りついたな」っていうくらいで。ただ、この間ライブの後にお客さんに「メジャーに行くなんて信じらんない!」って泣きながら言われて。

ワトソン:マジで?

先輩:マジで。「俺ら、なんかした?」っていう(笑)。……メジャーに行ったからそのバンドから離れる、みたいなことって実際にあるんですかね?

ーー音楽性なり、活動の仕方なり、変化があれば離れていく人もいるかもしれないですね。

先輩:別に、僕らは変わらないと思いますけどね。

ワトソン:でも、今の自分たちはWANIMAと同じステージに立っているんだっていう感覚はあります。

ーーそれ、すごく大きなことですよね。その意識の上で、メジャーというフィールドでこそ、やりたいことはないですか?

ワトソン:テレビには出たいっすね。キングレコードのコネを使って。

ーーテレビに出て、何がしたいですか?

ワトソン:いや、別になにも。ただ、目立ちたいだけです。あと、有名人に会いたい。有名人、好きなんで。

ーー……なるほど。

ワトソン:結局、俺らは友達の延長線上でやっているバンドなので、野心剥き出しっていう感じでもないんですよ。親に捨てられて孤児院で育ったわけでもないし、普通に裕福な家庭で育って、美味しいご飯を食べてデカくなってきた連中なので。東京に住んでいて、ライブも簡単に行けるし。

ーーそういった部分での飢餓感はないわけですよね。

ワトソン:そうっすね。女の子が地方からギターひとつ担いで東京に出てきて……みたいなものとは、境遇や生き様が全然違うっていう。俺らは、ずっと友達とお茶している感覚というか。

先輩:お茶会サークルだから(笑)。

ワトソン:お茶する口実にスタジオに入って遊べりゃいいかなっていうだけで。なので、「こいつのギターがすごいから組んだ」とか、「上質なテクノを作りたい」とか、そういう感じではないんですよね。それよりも人間性が大事。そのスタンスでやってきて、こうやってキングレコードから音源が出せるっていうのは、もう単純に「ラッキーだなぁ」っていうだけなんです。

ーーここにいる6人は、それぞれ音楽的な志向性やルーツは違うんですか?

山ちゃん:そうですね。僕は銀杏BOYZのライブに行ったりしていたのが原体験で、そこから新大久保のEARTHDOMにハードコアのライブを観に行ったりしていて。

先輩:僕はサブカルとヒップホップですね。いとうせいこうさんとか、みうらじゅんさんとか、オーケン(大槻ケンヂ)さんが好きでした。

浜 公氣:僕は大学時代から真面目に音楽をやり始めたっていう感じなんですけど、大学ではジャズ研究会にいたので、ジャズだったり、そこから派生してファンクだったり、そういうものが原体験としてあると思います。初めて観たライブも、ジャズのビッグバンドだったし。

DaBass:僕は、ジミ・ヘンドリックスっすかね。ブラックミュージックが好きなんですけど、それは全部父親の影響で。父親が初めてギターで教えてくれたのがジミ・ヘンの「VooDoo Child」っていう曲だったんですよね。それを必死で練習して、父親が好きなブラックミュージックを掘っていったので。

うーちゃん:僕も山ちゃんと一緒で、銀杏 BOYZとか。あと、電気グルーヴとか、岡村ちゃん(岡村靖幸)ですね。中高の頃、そういうものに衝撃を受けてきたなって思います。

ーーワトソンさんは?

ワトソン:……ラグビー。

ーーそういうバンドがいるんですか?

ワトソン:いや、スポーツです。

ーースポーツ……。

ワトソン:でも本当に、ラグビーは幼稚園から高3までやっていて、俺のかなりを占めているんですよ。俺も銀杏BOYZとかが好きだったし、ずっとバンドには憧れ続けていたんですけど、楽器ができないので、タックルばっかりしていたんですよね。でも、前に人から言われて嬉しかったんですけど、俺のわけわかんないものに突っ込んでいくマインドは、ラグビーからきていると思うんです。PAの子にも「よくバンドのボーカルやろうと思ったよね」とか言われるんですけど……。

先輩:ははははは!(笑)。

ワトソン:でも、「やってやんぜ!」みたいな。その……勇気というか。それはラグビー由来だと思う。

ーーなるほど。では、そんな6人の間で共有している、どついたるねんとして目指す音楽像ってありますか?

先輩:……フュージョン?

DaBass:うん。

うーちゃん:フュージョンです。

ワトソン:フュージョンっすね。フュージョンが流れると、みんなニヤっとしますね。

ーーでも、いま言ってくださった6人それぞれのルーツを聴くと、満場一致でフュージョンに行きつくとは思えないんですよね。それに、どついたるねんの音楽性にはパンクバンド的な、ローファイでエナジェティックな部分も多分にあるじゃないですか。新作『どついたるねん』は、そういった側面も強く出ていると思うんですけど。

山ちゃん:あ、今日、これ買ってきたんですけど(と言って、disk unionの袋からThe Clashの2ndアルバム『動乱(獣を野に放て)』のアナログ盤を取り出す)。早く聴きてぇなぁ。

先輩:僕らがやりたいのは、これをフュージョンにした感じです。

山ちゃん:根底にある感じはクラッシュで、それでフュージョンをやるっていう。

ーーあぁ~、なるほど。「初期クラッシュを根底にフュージョンをやる」というのは、どついたるねんを説明するのに、すごくわかりやすい気がします。初期パンクの観念的なエナジーが、突き進むなかでドロドロに溶けだして、どんどんと肉体的な快楽性に向かっていく、というか。

ワトソン:いま、「踊りたい」っていうのはありますね、すごく。

ーーそれは、過剰なものを追い求めていくうちに、その「過剰さ」の形が変わっていく、ともいえる気がするし。

先輩:「過剰」っていうのは大事ですね。僕ら全員、過剰なものが好きなんです。

ワトソン:山本“KID”徳郁とかね。

ーー……ワトソンさんは完全にスポーツマンですね。

先輩:(笑)。でも、そこは共通認識ですね。ライブ前に「1回見よう」って、みんなで格闘技のビデオを見たりするので。

ーーどうして皆さんは、そんなに過剰なものを好むのでしょうか?

先輩:痛快だからじゃないですか。

浜 公氣:あと、笑えるから。偏っているものって、笑っちゃうじゃないですか。この6人は偏っているものを見たときに、同じタイミングでププって笑う感じはあるかもしれないです。

      

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