けやき坂46、日本武道館3daysライブは飛躍のチャンス? 2017年の活動から考察

 欅坂46の日本館武道館3days公演の内容が、平手友梨奈の上腕三頭筋損傷による全治1カ月の怪我にともない変更となった。当初予定されていた1月31日と2月1日の欅坂46(漢字欅)の公演を中止。1月30日のみ出演予定だったけやき坂46(ひらがなけやき)が、3日間すべてのライブを行う。

欅坂46『風に吹かれても』(通常盤)

 欅坂46はこれまでも様々なハプニングがあったため、ファンも多少のトラブルを受け入れる覚悟はあった。しかし、この予想を越えた展開はファンのみならず世間にも波紋を呼んでいる。欅坂46リーダーの菅井友香が、同発表のギリギリまで武道館公演に対する憧れをブログで綴っていたことから、今回の決断がギリギリの状態で行われたことが容易に想像できる。漢字欅が抱く悔しさは想像に難くないが、一方のひらがなけやきにとってはピンチとチャンスが同時に巡ってきたと言えるだろう。

 2017年のひらがなけやきは、漢字欅に対して自分たちの存在はなんなのか、という問いの答えを模索していた1年だったように思う。単独での全国ツアーやドラマ初主演、メンバーの増員といった様々な経験を重ねる中で、ひらがなけやきは自分たちのオリジナリティとして「ハッピーオーラ」という言葉を生み出し、一年かけて「けやき坂46」というブランドを確立。実力も兼ね備えているだけに、運営側から期待をかけられるのは必然の流れだろう。

 『欅って、書けない?』(テレビ東京/以下、けやかけ)の新年1回目の放送では、「けやき坂46だらけの大新年会」と題して、ひらがなけやきが単独出演する企画を2週連続で放送。同番組の企画「漢字vsひらがなの大運動会」で、ひらがなけやきが漢字欅に勝利したご褒美という流れはあるものの、漢字欅の冠番組の1回目に単独で登場させるのは、番組側のけやき坂46に対する期待値の高さが窺える。羽子板で荒ぶる加藤史帆をはじめ、危うい餅つきで周りをヒヤヒヤさせた東村芽依、テンションアゲアゲでカラオケを歌いまくる影山優佳など、それぞれ個性を見出し、どこか垢抜けた印象を受ける1期生メンバー。2期生も、富田鈴花によるお正月ラップや丹生明里とクールポコ。のコラボ、渡邉美穂が自ら提案した催眠術にかかって床に倒れるなど、怖いもの知らずでチャレンジ精神旺盛な姿を見せていた。

 The Beatlesがコンサートを行って以来、日本武道館は歌手にとって聖地と言われる場所になった。近年は、アイドルの中でも武道館公演をひとつの目標と掲げるグループは少なくない。夢半ばで解散するグループも数知れず、武道館はアイドルにとってもひとつのステータスになった。そんな武道館で、シングル表題曲を持たないひらがなけやきが単独ライブを行うこと自体が相当なチャレンジと言える。

 さらに3日間に公演数が増えたことは、アイドル史に残るくらいのインパクトがあるのではないだろうか。昨年の『ひらがな全国ツアー2017FINAL!』では、柿崎芽実の怪我で全員揃うことはなかった(最終公演のアンコールで登場したが)ため、早速リベンジが叶うタイミングではある。しかし、もはやそれどころではない状況になっている。ただ、ひらがなけやきの昨年の活躍ぶりを見る限りでは、この大舞台を心から楽しんでくれるだろうと、不思議とポジティブな感情を抱いてしまう。

 なぜなら、柿崎芽実が「ライブの年だったと思います」と語るほど、2017年、彼女たちは数多くのライブを経験してきた。自分たちの単独公演を行いながら、欅坂46としてのライブにも出演するなど、相当数の場数を踏んでいる。その成果が出ているのか、最近では佐々木久美が「毎回の公演ごとに余裕が生まれてきて最近はライブを楽しめるようになってきたよね」、高本彩花が「公演を重ねるごとに後悔の少ないライブができてるなって思います」と、ライブへの自信が垣間見える発言をしている。(参考:『クイック・ジャパンvol.135』)初めて全国ツアーを行った際も、観客を楽しませようとするパフォーマンスや会場を笑わせるMCなどを巧みにこなしており、大きな会場でも怯まない度胸を持っていることが示された。それは各メンバーの向上心の強さと漢字欅の背中を近くで見てきたことも大きく、さらに『ひらがな全国ツアー2017FINAL!』で7000人規模の公演を2日間経験していることも強い自信に繋がっているはずだ。

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