Flower×レーベルスタッフ特別対談 グループの最大の強みは「パフォーマンスとボーカルの黄金比」

Flower×レーベルスタッフ特別対談(前編)

 6人組ガールズグループとして、LDH内でも音楽シーンにおいても独自の立ち位置を築いてきたFlowerが、4月26日に14thシングル『MOON JELLYFISH』をリリースする。同作は13thシングル『モノクロ/カラフル』とはまた別の世界観で、ベスト盤『THIS IS Flower THIS IS BEST』以降のモードを新たに示す作品に仕上がっている。これまでリアルサウンドでは、ボーカル鷲尾伶菜やFlower楽曲において歌詞の大半を手がける作詞家・小竹正人氏を招いたインタビューを行ってきたが、今回はメンバー全員に加え、グループを初期からサポートするソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズの平井拓氏も参加したインタビューを前後編にてお送りする。前編ではグループのコンセプトやメンバーたちのクリエイティビティがどう養われているかといった表現論をベースとし、大いに語り合ってもらった。(編集部)

幻想的な世界観の作り込みを意識し始めたのは「太陽と向日葵」(坂東)

ーーFlowerは現在、歌詞の世界観やライブパフォーマンス、MVの演出など、独自の色を持つグループへと成長しましたが、そもそも最初はどういったコンセプトのもとに立ち上がったのでしょうか?

平井拓(以下、平井):『EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 3 〜For Girls〜』でFlowerの追加メンバーを選ぶことだけは聞かされていたものの、具体的なコンセプトはまだ知りませんでした。でも、一番最初に撮ったアーティスト写真は、当時10代のメンバーたちが少し大人びた風貌で写っているという、まさに今の原型のようなものだったことは覚えています。

重留真波(以下、重留):最初から「今後こういう活動をします」とハッキリ決まっているわけではなかったですね、スタートも舞台からでした。ただ、上京してきたメンバーも可能性にかけて色々な夢に向かってがむしゃらにやっていこうとしていて、ひたすら4人用に作ったダンストラックで踊ったり、演技レッスンもやったりと、とにかくできることを増やしていました。

中島美央(以下、中島):メイクに関しては、今より濃いもので付けまつ毛も強かったりと、かなり大人っぽさをアピールしていた記憶があります。

ーー「こういうグループとしてやっていけるかもしれない、この路線で進んでいこう」と確信したのはどのタイミングですか?

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坂東希

坂東希(以下、坂東):最初から「バラードで踊る」というコンセプトはあったものの、Flowerらしい、幻想的な世界観の作り込みを意識し始めたのは、小竹さんが初めて歌詞を書いてくださった「太陽と向日葵」のタイミングですね。そこまでは意識こそしていたものの、Happinessの対局というイメージくらいのものだったので、さらに深いところまで追求するようになったのは、小竹さんに関わっていただいたことが大きいと思っています。

藤井萩花(以下、藤井):「白雪姫」も多くの方にFlowerの世界観を知っていただけたという意味では、大きなターニングポイントですね。この曲の歌詞は小竹さんの世界観においても特別ですし、それは小竹さんの歌詞とFlowerの歌や踊りでしか表現できないことだと感じたので、自分たちでもすごくしっくりきたという感覚を覚えました。

ーーメンバーからは「太陽と向日葵」のタイミングがターニングポイントという話が出ましたが、平井さんとしても同じように感じているのでしょうか。

平井:そう思いました。あと、僕がレコーディングを主に担当しているので、鷲尾さんの変化は比較的分かりやすい距離にいると思うので、そこについても話してもいいですか?

ーーぜひ。

平井:3万人のオーディションで選ばれただけあって、もちろん最初から歌は上手かったんです。でも、歌が上手いかどうかと言っている段階って、まだ歌う事を生業にするレベルではないと思っていて。もはや上手いのはプロであるからこそ当たり前で、今は「良い歌を歌う」という段階にいますし、世界観を表現する力が格段に上がってきているんです。もちろんそこに到るまでには並大抵ではない努力もあって、歌い合わせで譜割りを決める時に、隣で鼻歌で歌っている瞬間にその成長を感じて勝手に嬉しくなることがあります(笑)。特にその進化を感じたのは、やはり「太陽と向日葵」のタイミングでしたね。

ーー以前に小竹さんへインタビューした際、パフォーマーとボーカルの両方へ歌詞の内容や表現する世界観を伝えるという話を伺いましたが、やはりそうするようになってから歌もダンスも表現の幅がグッと広がったんですね。

坂東:FlowerやE-girlsの楽曲はイメージ先行で出来ることも多いです。そこから小竹さんが素晴らしい歌詞を書いてくださって、私たちもその歌詞のキーワードや楽曲をもとにMVの案出しや振り付けの考案をさせていただきます。

藤井:そこにFlowerは感情を乗せる割合が多いのかもしれません。

ーー感情?

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藤井萩花

藤井:Flowerは、切なさや孤独などの強い感情を表現することが多いので、パフォーマンスにも自然と力強さが加わります。それをライブなどで全編にわたって表現できるのは、自分たちならではの強みだと思います。

ーーメンバーの中で案を出しながらMVや振り付けを作っていくということですが、次第にその中での役割分担みたいなものも生まれてきましたか?

坂東:そうですね。誰がどんなところを得意としていて、苦手な部分を誰が補うかというのは、感覚的に分かるようになりました。それは衣装や振り付けなど、何においても同じかもしれません。最近では各メンバーが色々なジャンルのアートに触れてインスピレーションを受け、「この世界観を自分ならどうやって表現できるだろうね?」と話し合うことも増えてきました。

重留:それぞれ得意ジャンルが違うことも大きいと思います。初めての単独ツアー『Flower LIVE TOUR 2015 “花時計”』が今のところ1番わかりやすいのですが、のん(坂東)は小さい頃からバレエをやっていて、手足が長い(佐藤)晴美はその特徴を生かした振り付けや女性らしい表現が上手い。私と(中島)美央はアクロバットが得意ですし、(藤井)萩花はピアノが演奏できたり。衣装に関しても、専属モデルをやっている萩花や晴美に任せたりします。

藤井:クリエイティブに関しては、それぞれ好きなものも育った環境も全く違うことを改めて知れるのがすごく楽しいです。観る映画のジャンルもアートの趣味も、聴く音楽も全然違うので、6人分の個性が混ざり合う。しかもそれぞれが積極的にインプットしているからこそ、自分も負けないように色々な作品を見たり、聴く音楽のジャンルを広げてみたりしています。なので、これからもどんどんFlowerが表現できるものは変わってくると思います。小竹さんの歌詞にはすごくストーリー性があるので、自分も深みを出せる表現ができるようになっていきたいです。

坂東:それぞれ自分の好きなものでFlowerに合うと思うものがあったら、みんなで話題にすることは多いですね。

藤井:この取材の前も、のんから「面白い映像クリエイターの方がいた」という話をされましたから。

ーー1人の価値観ではなく、混ぜることでより面白くなっていると。「経験を積む」という意味では、みなさんの歌っていた年齢より大人っぽい歌詞が多いわけですが、やはりキャリアを積むたびにその説得力が増していっているように思えるんです。そこもグループの個性ですよね。

鷲尾伶菜(以下、鷲尾):そうですね。ベストアルバムやFlowerのライブで過去の楽曲を歌い直したりしていくなかで、昔では出来なかった表現が、いまは出来るようになっているなと実感することもありました。だからといって当時の良さを完璧に消すのもよくないと思っているのですが、聴くにつれて色々な案が出てきたり「じゃあ次はこう歌ってみよう」と思わされることも多いです。その気づいたことに挑戦しつづけることで、新たなパフォーマンスを手にいれたいですね。

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