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1stアルバム『海鳴りと絶景』インタビュー

sympathy 柴田ゆうが語る、“バンドの音楽”に対する考え方の変化「未完成な部分も出していい」

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 高知出身の4人組女性ロックバンド、sympathyが1stアルバム『海鳴りと絶景』をリリースする。これまでに発表された2作(1stミニアルバム『カーテンコールの街』、2ndミニアルバム『トランス状態』)には“オルタナ感覚に溢れたギターポップ”という印象があったが、メジャーデビュー作となる本作は、20代を迎えたばかりのメンバーの感情が生々しく表現された「息づかいが伝わるようなアルバム」(柴田ゆう/Vo、Gu)に仕上がっている。

 今回はボーカルの柴田ゆうにインタビュー。前作『トランス状態』からの約1年半のなかで起きたバンドの変化、アルバム『海鳴りと絶景』の制作、そして、さらに切実さを増しているという音楽との関わり方などについて語ってもらった。リアルサウンドでは『トランス状態』リリース時以来のインタビューとなるが、いまの彼女が持っているストイックな姿勢、クリエイティブに向かう覚悟の強さには本当に驚かされた。10代から20代に移り変わる繊細な時期をそのまま作品に投影できるところも、このバンドの強味なのだと思う。(森朋之)

「生きていくなかで隠しきれない人間らしさを表現するバンドになりたい」

ーー前作『トランス状態』は2015年夏のリリース。その後の1年半はsympathyにとってどんな時期だったんですか?

柴田ゆう(以下、柴田):「音楽をする」ということに向かう体制を整える1年半だったと思います。私たちはバンド仲間がいなくて、「バンドって何ぞや?」ということもわかってなかったし、ライブもまったく出来ていなかったんです。『トランス状態』をリリースした後はツアーも経験して、自分たちなりの活動のやり方、メンバーの意志を共有する方法を少しずつ整えていった感じですね。

ーーバンドの土台をゼロから積み重ねていた、と。

柴田:ホントにそうですね。よくわからないことも多かったんですよ。対バン相手とどう接していいかもわからなかったし……。最近は知り合いのバンドも増えてきて「またよろしくお願いします」みたいな挨拶も出来るようになりましたけど。せっかくこうやって音楽をやっているんだから、憧れていたバンドのメンバーがどういう人たちで、どんなふうに音楽を作っているかも知りたいんですよね。そのなかで自分が「いいな」と感じることだったり、音楽に対する考え方も取り入れたいので。

ーーライブのやり方自体も変化しました?

柴田:すごく変わったと思います。以前はもっと内側にこもっていたというか、コール&レスポンスなんてまったくなくて、「こっちは勝手にやるから、みなさんも勝手に楽しんでください」という感じだったんです。ライブそのものもあまり好きじゃなくて、「出来ればやりたくない」と思ってたし(笑)。それが変わったのは、やっぱりツアーがきっかけですね。ライブは発表会ではなくて、来てくれたみなさんと一緒にひとつの空間を作るものだっていうのが身に沁みてわかったというか。作品を世に出して自分たちの才能みたいなもの示すだけではなく、その場にいる人たちとの一体感を生み出して、身体と心を揺らすツールとしても使えるんだなって。音源を作るときは違う熱量でライブをやれるようになったし、こちらの考え方次第でみんながついて来てくれるかどうかが決まるっていう……。他のバンドのライブもよく見るようになりましたね。人が多い場所が苦手なので、前はライブハウスがあまり好きじゃなくて。スタッフの方から「勉強になるから見たほうがいい」と言われても「今日はちょっと……」みたいな感じだったんです。いまは積極的に見に行くようにしているし、そこで感じたことをメンバー同士で共有するようにしていて。「こういうことをやってみたいけど、どう思う?」という話をして、同じ方向を向いていないとバラバラになっちゃいますからね。もともと友達同士で始まってるバンドなんですけど、いまはそれだけじゃなくて、音楽を一緒にやる仕事仲間でもあって。いい関係だと思います。

ーーそういう意識の変化、活動に対するスタンスの変化は、アルバム『海鳴りと絶景』の新しい楽曲にも反映されているんでしょうか?

柴田:そうだと思います。以前よりももっと生々しくなっているし、大人になってるなって、自分でも感じるので。今回のアルバムに関しては、全体を通して「人間味を忘れたくない」と思ってたんですよ。メンバーともよく話してるんですけど、いま流行ってる洗練されたシティポップみたいな音楽は私たちにはやれないと思っていて。そうじゃなくて、私たち自身が感じている痛々しさだったり、生きていくなかで隠しきれない人間らしさを表現するバンドになりたいんですよね。(リスナーから)届きそうで届かない距離にいることも大事だと思いますけど、あまりにも完璧なものを見せられても、誰も救われない気がしていて。私自身が「救われる」と感じるのも、ちゃんと生きていることが見えるようなバンドの音楽なんですよ。そのためには未完成な部分も出していいんじゃないかなって。

ーーメンバーのみなさんとも、そういう話をしているんですか?

柴田:そうですね。新しい曲がいくつか出来た段階で「これをどう伝えるか? どういうアルバムにしたらいいか?」ということもしっかり話したので。これまでの作品はとにかく出来た曲を入れるというか、初期衝動だけで作っていた感じもあって。今回は衝動だけではなくて「どういうふうに届けるか?」という話し合いもしてました。

ーー良い意味で欲が出てきてるんでしょうね。ただ、未完成な部分を含めて、生々しい自分を見せるのは、かなり勇気が必要じゃないですか?

柴田:そうなんですよ。今回のアルバムはギターの田口(かやな)が作詞・作曲した曲が多いんですけど、彼女が「音楽をやるということは、自分の中身をひとつひとつ商品化すること」と言っていて。「それを続けるためは擦り切れてしまってはダメだし、自分の中身が品切れになってもいけない」っていうのは、私もその通りだなって思うんです。

ーーすごい覚悟ですね。

柴田:せっかくメジャーという場所でやれるんだし、気負いみたいなものもあると思います。いろいろなアーティストがいるし、飽和状態だなって感じることもあるんですけど「そのなかで私たちがやれることは何だろう?」ということもすごく考えていて。ずっと周りの人に敷いてもらったレールを進んできたんですけど、自分たちで選択できる立ち位置にいるし、それをやっていかないといけないなって。以前、取材で「sympathyらしさとは何ですか?」と聞かれたとき、10分くらい考えても言葉が出て来なかったことがあったんですけど、いまはもっと明確になってると思います。

ーーわずか1年半で凄まじい変化ですね。アーティストとしての自我が芽生えるスピードもめちゃくちゃ速いし。

柴田:そんなことないです(笑)。何て言うか、自分に足りないところが見つかるともどかしくなるんですよ。成人してから、未成年のアーティストにもすごく嫉妬するようになってきて……。10代でいろいろなものが揃っているアーティストもいるじゃないですか? そういう人を見ると焦ってしまうというか。生き急いでますね、いまは。

ーー貪欲になっている証拠だし、いいことじゃないですか? 

柴田:ホントはもっと貪欲なところがあるので、それを前に出せるようになりたいです。音楽を仕事にするって、普通の仕事とは違う世界だと思うんですよ。さっきの田口の言葉もそうですけど、私もこの世界でお金を得るためには、自分を切り売りしないといけないと思っていて。つらいこと、苦しい思いを含めて、痛みに触りながら作品にしていかないとなって。

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