iVy、音楽で体現する“現代のオルタナティブ” 「表現され尽くしたものから一歩踏み出したい」

iVyが体現する現代のオルタナ

 “オルタナティブ”と冠した音楽が溢れる昨今。メインストリーム/商業主義に対するアンチテーゼとして誕生したジャンルだが、そこに内包される音楽の幅は拡張し続け、今は思想というよりも、よりパーソナルな表現を追求する場所として機能しているように思う。オルタナティブって一体なんだーーそんなことを考えているときに出会い、「見つけた!」と胸が高鳴ったのがiVyだった。

 2023年結成、fuki(Vo/Gt)とpupu(Vo/Key)からなるオルタナティブ・ポップ・ユニット。楽曲、MV、アートワーク、ステージ、グッズ……etc、二人が信じる感性と美学がそのまま注ぎ込まれたクリエイティブに触れていくうちに、ただの記号ではなく、“現代のオルタナティブ”を体現したような人たちだと確信した。初めてワンマンライブを見たときには、ただの好奇心から二人に話を聞いてみたいと強く思った。

 fukiとpupuはなぜiVyとして音楽活動を始めたのか、普段どんなことを考えながら作品を作っているのか……前述した通り、このインタビューは極めて個人的な願いで実現したものだ。しかし、願わくばこのテキストからiVyの存在を知り、少しでも多くの人が彼女たちの音楽に触れてもらえたらいいなと思う。(編集部)

自分たちの居場所は自分たちで作るーーiVy結成〜本格始動までの背景

ーーお二人は服飾系の専門学校に通っていて、SNSを通じて知り合ったんですよね。大学ではどんなことを学んでいたんですか?

pupu:私は服作りです。

fuki:私は流通の方でした。

ーーそれで知り合って、二人で遊びはじめたと。お互い、どんな印象でしたか?

pupu:学校の近くに猫がいる喫茶店があって、最初遊んだ場所がそこでした。自分はあんまり喋るのが得意じゃないんですけど、すごく真剣に話を聞いてくれる人だなと思った。当時はスケッチブックをいつも持ち歩いていて絵やポエムを書いてたんですけど、それを見せようって思ったんです。はじめましてだったのに。そんなの普通は人に見せないし、見せるために書いてたわけでもないのに、見せたいな、自分のことを知ってほしいなって思って。それくらいフィーリングが合ったんだと思います。fukiはすごく真面目に見てくれた。

fuki:私は、pupuのことを不思議ちゃんだなって思った。まず、目の前にいても「ほぇ~」ってしてて、目が合わない(笑)。どうやら緊張してたみたいで。でも、好きなものとか音楽の話になるとすごく盛り上がったんです。優しいし、面白い子だなと思いました。

ーー中でも、特にフィーリングが合うなと思った瞬間は?

fuki:まず服が好きっていう共通点があって、ファッションの好みもなんとなく合うなと思っていたんだけど、それ以上に合ったのが音楽の話でした。「人生で一回は音楽をやりたかった。憧れてたのってミュージシャンだったかも」と言ったら、pupuが共感してくれて。それで一気に距離が縮まった感じがしました。その場のテンションで「バンドやろうよ!」って盛り上がることって、学校でもそれまで何回も見てきたんですよ。「じゃあ明日から頑張るわ」とか、よくある。それを継続してる人っていなくて。でもpupuは、そういうノリじゃなかったんですよね。適当に言ってる感じがしなくて、信じられるって思った。

pupu:音楽やろうってなっても、1回きり会って終わりみたいなのも多いし。

fuki:そうそう。でも私たちはすごく頻繁に会うようになって。

pupu:めっちゃ頻繁にfukiの家に行った。

fuki:最初は音楽を作るわけでもなくて、ちょっとアコギを弾いたりはするけど、基本は一緒にオムライス作ったり、ぬいぐるみ交換したり。

pupu:手作りのろうそくと、手作りのぬいぐるみを交換しようとか。

fuki:よくわかんない遊びを繰り返してたね。

iVy(写真=番正しおり)
pupu

ーー音楽に関しては、共通で好きなものはあったんですか?

fuki:最初にSNSで声をかけたきっかけが、pupuが耳中華を聴いていたからだったんですけど。そこから、二人ともバンドがルーツにあることが分かって。私の周りの友達はクラブに行く人が多くて、私もついて行ったりしてたけど、根本的にはバンドがすごく好きで、一人でライブに行っていました。だから、同じ学校にバンド好きな子がいるんだっていうのはすごく嬉しかった。

ーーそれで、二人で遊ぶ中でどのように音楽を作るようになっていったんですか?

fuki:一回、私がPCにGarageBandを入れたんですよね。それでトラックを作ってみようと思って、できたものをpupuに送ったんです。

pupu:それまでずっと遊びながら続いてた関係の中で、急に送ってきたんです。それが、今YouTubeにもアップしてる「Prologue」という曲で。

fuki:あと「seabed」っていう曲も作って、それもpupuが「いい!」って言ってくれて。で、傘を差してる可愛い女の子の絵を描いてくれたんですよ。

pupu:動画も作ったね。その女の子がいろんな場所を旅する動画。大仏の上にいたり、亀の上にいたり、海辺の先端に立ってたり。

Prologue

ーーバンドが好きとのことですけど、もともと軽音楽部などの経験はあったんですか?

fuki:高校の時に軽音部に入ってたんですけど、ほぼ何もしてなくて、お菓子を食べに行ってただけでした(笑)。でも、もともとピアノをやっていて、吹奏楽もやっていたので、音楽には触れていましたね。

pupu:私はクラシックギターをやっていました。

fuki:でも実際のところで一番大きかったのは、私が学校でファッションショーの音楽を担当することになったのがきっかけなんです。1年目は教えてくれる人がいたんですけど、2年目は一人になってしまって、「全部作れ」って言われて。それで泣きながら作り方を覚えた(笑)。やりはじめるとすごく楽しくて、気づいたら半日くらい没頭してたり。その流れでアンビエントっぽいものを作ったり、ノイズっぽいものを作ったり、A.G.Cook の曲をコピーしてみたり。

ーーなるほど。でも今の話だと、もっと電子音楽寄りになってもおかしくない気もしますが、そこからバンドサウンドに向かったのはなぜなんでしょう?

pupu:なんでだろう。でもやっぱり根本的にバンドが好きだからかな。

fuki:確かに。電子音楽も大好きなんですけど、家にギターがあったのも大きいかも。PCで簡単に歪ませたりできるし、それで楽しくなっちゃって。

ーーライブはどうやって始めたんですか?

fuki:ソロ名義で曲をいくつか、SoundCloudに上げていたんです。soujさんという方に「ライブやりませんか?」と誘ってもらいました。それで「iVyで出たいです」って言ったんですけど、よく考えたらライブのやり方がわからなくて。とりあえずGarageBandでトラックを流して、ギターとキーボードで演奏した。あと弾き語り。

pupu:大塚にある「地底 -chitei-」っていう地下の真っ暗なミュージックバーだった。

fuki:そこからオファーが増えていって、どちらかというとクラブルーツの、自分でパーティを企画する人たちから呼んでもらえるようになっていきました。自分たちで場を作る人たち。2年前くらいって、「自分たちの場所は自分たちで作ろう」っていう雰囲気がすごくあって、パーティ自体が表現になりつつあったんです。例えば幡ヶ谷Forestlimitに芝生を敷いてその上で歌ったり、そういうコンセプチュアルなパーティーに参加するようになって。そういった、個人的なムードで場を作っていくような人たちと一緒に活動をするようになって、すごく影響を受けましたね。フライヤー1枚から始まって、1日のイベントにすごく思いを込めてかけがえのないものを作ってる人たちを見て刺激を受けて。そっか、自分たちの居場所は自分たちで作るんだって。

pupu:その時期はまだ、ライブハウスでの対バンイベントには出ていなかったよね。

fuki:絵を描く子だったり、ものづくりをしている友達と知り合えるようになった。 ピンキーポップという作家の友達と初めての自主企画を開催しました。私たちは漫画が大好きなのでソファやクッションを置いて、本棚ごと持ってきたりして。鯛焼きを作ってもらったりとか。

ーーお二人の中にある表現欲求や創作意欲と、2年くらい前の東京のパーティーシーンの流れがすごく近いところで化学反応を起こしたんですね。

fuki:周りのみんなが面白いことをやっていて、それを見て自分たちもどう仕掛けていくかを常に考えるようになりましたね。

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