Hi-STANDARDはあらゆる“壁”を壊してきた 『EIGHT-JAM』出演を機に改めて考える功績と現在地

 Hi-STANDARDが4月12日に『EIGHT-JAM』(テレビ朝日系)に出演。メンバー全員で地上波の番組に出演するのは初めてということで、大きな話題を呼んだ。しかし番組でも言っていたように、地上波の番組に出演することに対して彼らがNGを出していた時代からファンだった自分としては、ちょっぴりドキドキしながら観ていた。正直、彼らに育てられた世代には、“メジャー”や“地上波”というキーワードに今もビクッとしてしまう免疫が備わっている人も多いと思う。そんな私でも『EIGHT-JAM』の細やかな作りには感動した。

『EIGHT-JAM』で再認識するHi-STANDARDの功績

 難波章浩(Ba/Vo)と横山健(Gt/Cho)は出演理由について、「年齢を重ねて、時代が流れて、考え方が変わっていったから」といった趣旨を語っていたけれど、それに加えて、番組スタッフの取材が信頼できたからというのもあったのではないだろうか。結局、彼らの根本にある考え方は、あの頃からずーっと“人と人”なのだ。もうひとつ、たとえば“上澄みだけ掬われる”取材をされたとしても、今の彼らはブレないぐらい強いし、その周りにはすでに彼らの真実を知っているたくさんの理解者、ファンがいる。その自信が、彼らの地上波への出演を後押ししたのだと思う。

 さらに言えば、彼ら自身がハイスタを客観視できるようになった今、その数多くの功績をお茶の間に届けるなら、ツアー中という最も現在進行形でかっこいい今がベスト、という使命感もあったのではないだろうか。SNSを見ない人たち、お茶の間から流れる歌謡曲/J-POPで育った人たち、Hi-STANDARDという名前だけ知っている人たち、自分たちよりも上の世代、そして当時のハイスタを知らない次世代にも自分たちのことを伝えたい、と。最近のハイスタからは“今のうちにやれることはやっておきたい”という姿勢を強く感じる。今回の『EIGHT-JAM』出演は、その一環だったのだと思う。

 番組ではその歴史や功績が、まるで伝記に蛍光ペンをひいたかのように、端折らずていねいに紹介されていた。かつ、コメントを寄せたTAKUMA(10-FEET)、ダイスケはん(マキシマム ザ ホルモン)、スタジオゲストの綾小路 翔(氣志團)、MAH(SiM)の、ジャーナリスティックなハイスタへの客観視も光っていた(もちろん、インディーズで100万枚も売り上げた“革命性”と『AIR JAM』というアーティスト主催フェスを立ち上げた“発明性”というわかりやすい2点でハイスタの偉業を伝えた音楽ジャーナリストの鹿野淳がスタジオゲストの椅子に座っていた安心感はあったけれど)。それに、ハイスタに憧れてきたバンドマンは、相当ハイスタを研究してきたのだろうと、この番組で改めて思った。ハイスタが活躍の余韻を残したまま活動休止を発表した2000年代も、インタビューした数多くのバンドから「ハイスタ」というワードが出ていた記憶がある。彼らはファンな感情を抱くだけに留まらず、「ハイスタのように成功するには?」、あるいは「ハイスタの真似をしないで成功するには?」と思考していた。音楽的な技巧や、ライブを重ねる身体能力だけではなく、“大人”に頼らない思考もバンドマンは持ったほうがいい、ということもハイスタは身をもって教えてくれたのだ。

Hi-STANDARDが“世界”と繋がった木造建築の一軒家

 また彼ら自身もインタビューで、一つひとつのトピックを細やかに解説していた。それまでレーベル内レーベルだったPIZZA OF DEATH RECORDSが、『MAKING THE ROAD』(1999年)のリリースを機にリアルな“インディーズレーベル”として独立したことを紹介した際には、インディーズのアングラ感を壊したことと、それまでも存在したインディーズシーンの何を変革したのかを説明した。その変革には、NOFXと、そのメンバーであるファット・マイクが設立したFat Wreck Chordsとの出会いが大きかったと明かし、「できるかできないかじゃなく、『やってみよう』だった」(難波)、「ぶっ壊せたのは結果論」(横山)と、まさに手作りで道を切り拓いていったことも語っていた。

 私自身もインディーズとメジャー(もっと言えばアンダーグラウンドとオーバーグラウンド)をフラットに見られる「いいものはいい」という思考をハイスタから教えてもらったと思う。ちなみに番組内で綾小路が遊びに行ったと語っていた、かつて下北沢にあったPIZZA OF DEATHの事務所は、私も何回か取材で足を運んだことがある。昭和生まれの私が“小学生の頃に遊びに行った友達の家”と喩えたくなる木造建築の一軒家で、レコード会社とは思えないアットホームな雰囲気。この“家”と世界が繋がっているのか――そう思うと夢のようでワクワクが止まらなかった。

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