BLUE ENCOUNTはどこまでお茶の間に届く? 身近なパーソナリティが持つ大ブレイクの可能性

ブルエンの音楽はどこまでお茶の間へ届く?

 BLUE ENCOUNTが、1月11日にアルバム『THE END』をリリースした。同作はこれまでバンドがドラマ『THE LAST COP』(日本テレビ系)などに書き下ろした主題歌などを含む11曲を収録し、バンドのポテンシャルをさらに広く打ち出す1作に仕上がっている。

 BLUE ENCOUNTは2016年、先述したドラマ主題歌を務めた『LAST COP』にも出演。『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)ではMC中に田邊駿一(Vo./Gt)が感きわまることから「泣きバンド」として紹介され、タモリから茶化される場面もあるなど、お茶の間へも徐々に進出しつつある。また、バンドは1月4日より人気ラジオ番組『SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)内のコーナー「ブルエンLOCKS!」で講師を務め、田邊は音楽トーク番組『音流〜ONRYU〜』(テレビ東京系)で怒髪天・増子直純の代役として1月度のMCに就任するなど、ゲストだけではなくパーソナリティとしての活動も増加中だ。

 昨年は新木場コースト・武道館を埋めるなど、動員面でも実績を上げ、フェスでは先輩・後輩バンドからも度々言及されたり、同世代のTHE ORAL CIGARETTESと04 Limited Sazabysの3組で『ONAKAMA 2016』を開催するなど、全方位から愛されるキャラクターとしての認知も高まり、さらなる飛躍を見せようとするBLUE ENCOUNT。そのキャラの魅力について、彼らへのインタビューを長らく担当し、ライブにも足を運ぶライターの石角友香氏は下記のように語る。

「本編ラスト1曲前に感動的なMCを長めに述べるのは『エモい』バンドのトレンドとして定着した印象がありますが、どこか台本のようになっているバンドが多いなか、田邊さんのMCはその日その時にしか言えないような、自分でも心を削るような内容が多いと感じます。例えば、先日終えたばかりの初武道館公演を告知する際も、覚悟と責任の背負い方が尋常ではなく、言い終わる頃にはボロボロになっていたり。かと思えば、ライブ中は若い女性ファンから『メガネ』呼ばわりされるたびにその発言を拾うことで収拾がつかなくなったり、ライブマナーについて、ステージ上で『初めてのブルエンのライブで一発ダイブしてやろうとか考えてる奴は、今すぐ帰ってくれていいです』と物凄い剣幕で話し始めたりと、『見上げるヒーロー』ではなく『ずっと隣にいてくれるヒーロー』としてのリアリティを体現しているように感じます」

 また、同氏は彼らのキャラクターがお茶の間へリーチしそうな理由について、こう分析する。

「2016年は田邊、江口雄也、高村佳秀の地元・熊本で震災があり、地元では全く芽が出ず東京に逃げるように出てきた3人が熊本に正面から向き合えるようになって、NHKでは特番も組まれるなど、彼らを知らなかった層にも人間性を入り口にして訴求するものがあったと思います。あとは、田邊が持つキャラクターが、先輩を立てるのはもちろん、同期、後輩にも気配りして“自分を落として、笑いをとる”という、良くできた30代手前のサラリーマンのお手本のような、ちょっと小賢しいけど憎めないコミュニケーション能力の高さも、1人のタレントとして適性があるように思えます。いい意味で隙があるというか、身近に感じることができる人格というのも好感度の高い理由のひとつでしょう」

 バンドシーンでパーソナリティを発揮して活動する例として、ダイスケはん(マキシマム ザ ホルモン)などの先輩バンドマンの存在があるが、BLUE ENCOUNTはどのような立ち位置を目指すことができるのか。石角氏は続ける。

「喋りも達者で苦労人であるため、その苦労エピソードが笑いにまで昇華される年齢になったとき、ラウド・ミクスチャーシーン版の怒髪天的な存在になれるのではないでしょうか。ギターの江口はリーダーとしてクールな一面を持ちつつ、不思議キャラの部分ものぞかせたりと、4人それぞれが人間味溢れるキャラクターの集まりで、BLUE ENCOUNTが一体になった時の面白さ・強さのようなものもあると思います。良い意味でアーティスティックになりすぎず、美しい曲やかっこいい曲を書きながら、暑苦しくて実直でいて笑わせてくれるキャラクターを持っているからこそ、ロックを聴かない層まで広がる可能性もあると感じます」

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