KinKi Kidsとタッキー&翼、ジャニーズにおける「二人組」の魅力を分析

 いまアイドルの世界は、グループ全盛だ。ソロで活躍しているアイドルももちろんいるが、例えば1980年代の頃などと比べるとその数はかなり少ない。

 ただ、一口に“グループ”と言っても、その構成はさまざまだ。とりわけ女性アイドルに顕著だが、最近は大人数のグループが増えている。ジャニーズでも、関ジャニ∞が7人、Hey! Say! JUMPが9人、Kis-My-Ft2が7人、ジャニーズWESTが7人と大所帯のグループが増加中だ。

 それに比べると、二人組のデュオは少数派と言っていい。いままで期間限定ユニットやグループからの派生ユニットでデュオは何組か存在したが、活動の基本が二人というパターンは多くない。だが二人組には、大所帯グループにはない何かがある。それは、グループのなかでのカップリングともまた違うだろう。今回は、そんな貴重なジャニーズデュオの魅力を探ってみたい。

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(C)タナカケンイチ

 ジャニーズの歴史のなかで初めてデュオでデビューしたのが堂本光一、堂本剛のKinKi Kidsだ。いわば彼らが、ジャニーズのデュオの歴史を切り開いてきたと言える。今年2016年は、大ヒットした『硝子の少年』(1997)でのデビューから20周年目に突入する節目の年でもある。

 二人の関係性を象徴するのは、何と言っても「相方」という呼び方だろう。

 元々堂本剛にお笑い志向があること、また二人が偶然同姓で関西弁をしゃべることもあるが、二人の会話や間には確かに漫才コンビを思わせるところがある。つい先日出演した『バズリズム』(日本テレビ系)でも、エピソードトークから二人でのネタのような展開に自然になり、MCのバカリズムから「ベテラン漫才師のたたずまい」といじられ、「ジャニーズ、ジャニーズ!」と堂本光一が否定する一幕もあった。

 ただバカリズムの評言は、言い得て妙でもある。兄弟や友人ともまた違う、「相方」という関係性。それは、独特の強いパートナーシップ、信頼関係で成り立っているものだろう。お互い連絡先も知らないという二人だが、いざ“KinKi Kids”になった瞬間、まるで打ち合わせたかのような掛け合いが始まる。

 それは、トークだけでなく、歌などのパフォーマンスにも言えることだ。

 二人のソロ活動は、ある意味対照的だ。堂本光一がミュージカル『Shock』シリーズなど舞台中心に実績を重ね、堂本剛はミュージシャンとして独自の世界を構築している。

 そして最新シングル『薔薇と太陽』のパフォーマンスでは、それを踏まえた試みがなされている。光一が女性ダンサーを従えてのダンス、剛がバンドを従えてのギター演奏をしながら歌うという演出だ。

 異質なものを組み合わせる大胆な試みである。だがそれでも、見事に統一された世界観を構築しているのは、さすがKinKi Kidsといったところだ。これなどを見ると、デュオには異なる個性のアンサンブルをくっきり出せる利点があるのがわかる。

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