ゆるめるモ!が語る、4人新体制に向けた決意「逆境だからこそ、初心や原点に戻る意味がある」

ゆるめるモ!、4人新体制に向けた決意

 ゆるめるモ!が4人になった。それは脱退や加入が繰り返されるグループだらけのアイドル・シーンでは特に珍しくもないことだが、6人体制が長く続いてきたゆるめるモ!というグループにそれなりの思い入れがある人間にとっては、とても重い事態だった。端的に言えば、2016年4月27日にもねとちーぼうの脱退が発表されたとき、私はめまいがした。

 そして、2016年7月10日に新木場STUDIO COASTで開催された『6'n' Roll History~ゆるめるモ!第1章総集編~』をもって、もねとちーぼうが脱退。ゆるめるモ!は、けちょん、しふぉん、ようなぴ、あのの4人グループとなった。『6'n' Roll History~ゆるめるモ!第1章総集編~』は、二部構成でゆるめるモ!の全曲を披露したライブ。特に6人体制ラストとなった第二部では、鬼気迫る勢いに私は圧倒されたままだった。

 そして、6人がステージを去った後、4人のゆるめるモ!による新曲MV「サマーボカン」が会場のスクリーンに映しだされた。複雑な気分で見ていたところ、映像の最後の最後に、もねとちーぼうの姿が。愛に溢れた送り出しができるゆるめるモ!のチームに感銘を受けた。

 それから休む間もなく2016年7月13日には、ゆるめるモ!は4人体制で初めてのライブを行った。それは、4人によるミニ・アルバム『WE ARE A ROCK FESTIVAL』のリリース・イベントで、その日のタワーレコード吉祥寺店では、『WE ARE A ROCK FESTIVAL』の収録曲のみが歌われた。

 もねとちーぼうは2015年に活動を休止していた時期があり、けちょん、しふぉん、ようなぴ、あのの4人によるライブは別に初めてではない。しかし、もねとちーぼうの脱退を経て4人が残る形となったゆるめるモ!は、それぞれに覚悟を決めている雰囲気がはっきりとうかがえた。このインタビューは、4人となったゆるめるモ!が初めてライブをした後に行ったものだ。彼女たちのヒリヒリとした決意が伝われば良いと思う。

 ゆるめるモ!は、約3年前に出会った「ゆるい」グループの影は薄くなり、とても大人びた表情をしていた。(宗像明将)

――今日のリリースイベントでのファンの反応はいかがでしたか?

ようなぴ:まだわかんないです……。

しふぉん:賛否両論ありそうです。

けちょん:来てくれた皆さんの感想を聞けたわけじゃないから……でも一緒にノッてくれて安心しました。

あの:ノッてくれました……。

――今回、メンバーが4人となると初めて聞いたときは、どんな気持ちになりましたか?

ようなぴ:2人(もねとちーぼう)が一回活動休止をして、今の4人で活動する時間が長かったんです。2人が戻ってきて、「6人でこれから頑張っていこう」とミーティングを重ねた経緯もあったので、卒業すると決断したことには、正直残念な気持ちになりました。「6人でやる」と信じていたのもあるし。でも、決断に対して否定的ではなくて、「自分がどうあるべきなのか」を冷静に考えた2人に尊敬もしているんです。ゆるめるモ!を辞めて自分の道を進むと決めたからには、辞めた意味があるように、幸せに生きてほしいです。

けちょん:私も「6人でやっていく」と思っていたからびっくりしました。「本当に!? 一時的な感情じゃないよね?」って。でも、「自分はこうなりたい」という理由があって、やりたい道を進んでいくんだなと思いました。

しふぉん:正直、4人で活動した時間が長かったし、初海外(2015年7月24日~26日にベトナムで開催された『Manga Festival 2015』)も4人だったぶん経験値が上がっていて、2人との溝が埋まらなくて。どう頑張るべきかを私から2人に言うことができなくて、個人個人で思うこともあるだろうから、強要もできなかった。びっくりはしたけど、どっちかというと「これから4人でどうするか」を考えました。アイドルとしては2人は必要だけど、今後の方向性に2人はついていけないとなって、そこも考え方が違っていました。

――今後の方向性として、より楽曲をロックにしていくと決めたのが先なんですか? それとも2人が辞めたいといったのが先ですか?

ようなぴ:ロック寄りなのはゆるめるモ!が元々持っている方向性だし、衣装含めてアイドルアイドルしたグループではなかったので、楽曲の問題ではないと思うんです。バンドさんともっと共演していきたいし、例えばメジャーと言った次のステップへの目標が自分たちの中に明確に出てくる中で、2人は不安に思ったのかもしれません。

しふぉん:でも、辞められるのはすごいし、私は辞められない人間なんです。だから、辞めたことを「間違ってたな」と思わせられるような存在になりたいです。ちーぼうはレッツポコポコで頑張ってほしいな。

あの:最初はびっくりしたけど、なぴちゃん(ようなぴ)やしほちゃん(しふぉん)が言ったような経緯もあったので受け止めなきゃなと思いました。決断したこと自体が本当に2人のプラスになることだし、この先もプラスに向いていてほしいです。

――4人でゆるめるモ!を続けると決まる前に、解散の話が出たりはしなかったんですか?

全員:出ましたよ!

ようなぴ:昔からちょいちょい「ここで辞めたほうがメンバーのためになるかもしれない」という運営からの意見もあったけど、私たちが「やりたい」と言ってきたんです。

――なぜ「やりたい」と言い続けてきたんですか?

あの:明確な理由とかは浮かばずに、ただ「まだやる」って言いました。ゆるめるモ!が何かやり遂げられたかっていうとまだまだやれてないんじゃないかと思います。

しふぉん:楽しいし、音楽を職業にしたかったから天職だと思っていたし、この3人が好きだし。「どうする?」と言われても、辞める気はなかったんです。楽しいだけではやっていけないけど、好きなんですよ。

けちょん:「まだゆるめるモ!を終わらせられない」と思いました。まだ……まだなんですよ(笑)。まだ終わっちゃいけないっていうか。

しふぉん:わかる。

けちょん:やってる本人が言うのもあれなんですけど、ゆるめるモ!はまだ可能性を秘めていると思うんです。だから「まだ続けたい」と思いました。

ようなぴ:ゆるめるモ!についてそんなに知らないまま応募して入ったんですけど、ゆるめるモ!の存在が私にとって大きくなって、関わってくれている人も含めて大好きなんですよ。ゆるめるモ!のメンバーって、めちゃくちゃ変なんだけど、悪いところも含めて愛してくれているファンや制作陣さんやスタッフさんがいて、そういうところがすごく好きなんです。私は社会で普通に働ける自信がないし、働いてもバランスが悪いと感じるだろうけど、ゆるめるモ!では心の中が淀むことがなくて、純粋でいられる感じがするんです。ゆるめるモ!が社会の中で成り立っていられるのが奇跡だと思うし、社会の中で苦しんでる人にも伝わったら、「私でも大丈夫かな」と感じてもらえるんじゃないかと思うんです。

――7月10日のワンマンライブはどのような気持ちで迎えましたか?

けちょん:当日楽屋でも2人が抜ける実感が湧かなくて、夢を見ているみたいでした。6人の時代が一番長いから不思議な気持ちでした。現実を受け止められてなかったのかもしれないです。二部のライブ中の「私の話、これでおしまい」の前に、「6人最後のゆるめるモ!」と言ったら夢からいきなり覚めた気分で、涙が出てきました。

あの:朝も楽屋もいつも通りすぎて、実感がなかったです。一部はお客さんも楽しんでくれて、みんな笑顔で、一部が終わってからも実感がなくて。でも、二部の最中に「お客さんもメンバーも含めて、この時間を大切にしなきゃな」と思いました。でも、寂しかった……。

しふぉん:正直いろんな気持ちがありました。「なんで辞めるんだろ、なんとかできなかったのか」と思って。4人で『WE ARE A ROCK FESTIVAL』の準備もして、余裕がない中でワンマンライブを迎えたけど、一部は楽しくて。でも二部では、私はもねとペアダンスをしたり、一緒に落ちサビで歌ったりすることがあったから、「もう一生やらないんだ」と考えたらだんだん寂しくなって。6人は友達より長く一緒にいたから、二部では感情が出てきて、もう純粋に寂しかったんです。

ようなぴ:自分のことについて悲観的になったり感傷的になったりするのは大丈夫だけど、それ以外のことで感傷的になるのが苦手で、受け入れられてなかったんです。前日も当日も「信じられない!」と30回ぐらい叫んでいて(笑)。今も正直なところ実感がないですね。「ワンマンライブをしんみりさせたくない」っていう気持ちはあって、約3年間を詰め込んだ最高のライヴにしたいという思いが強かったです。ゆるめるモ!は話がまとまらないこともあるけど、7月10日をひとつの目標としてみんなで向かいましたね。ワンマンライブまでのレッスンは、今までで一番有意義な気がきました。でも、それは逆にいつもと違う景色だから、胸がザワザワしました。

――ワンマンライブを終えた後はどんな気持ちになりましたか?

あの:ワンマンライブが終わった直後も実感がなかったです。ぼくも、もねちゃんと振り付けのペアが一番多くて、前から嬉しいなって思ってたんですけど、「もうこれもできなくなる」とか考えて、いろいろ終わっちゃたんだと思いました。でも、それは悲壮感ではなくて、6人最後のライブをいい雰囲気でできて良かったなと思いました。

ようなぴ:ライブが全部終わってから、ちーぼうがめちゃ号泣していて、私は笑っていたんです(笑)。ちーぼうは、ギャグかと思うぐらいに「ワーッ!」って泣いていて、それを見て微笑ましい気持ちになりつつも、「このちーぼうの泣く姿も見れなくなるんだな」と寂しくなりました。その日は実感できないまま終わって、4人での振り付けも終わってないし、2人のパートの歌を覚えなきゃいけなくて、心が休まる時間がなくて。こうやって少しずつ消化されていくのかなと思いました。

しふぉん:素敵なライブだったし、ハッピー感があって、2人の背中を押すライブになったなと思います。これまでも卒業するメンバーを送り出してきたけど、帰りに駅で1人ずつ離れていって、もねが離れたら……。「もね、行っちゃうんだ」と思ったし、ちーぼうともずっと「バイバイ」と言って別れたんです。次の日会っても「おはよう」と言う仲ではなくなったことを、帰り道の心の中で整理しました。

けちょん:しほが言ったみたいに、2人の背中を押すライブになって素敵な終わり方だったなと思いました。終わってからもまた夢の中に戻ったみたいな気持ちで、「どっきりでした!」とならないかな……とか色々妄想してました。

――そして、休む間もなく4人でのリリースイベント、そして『ゆるめるモ! WE ARE A ROCK FESTIVAL TOUR』へと突入しますが、4人での活動はどんな感覚ですか?

しふぉん:なんか面白かったな(笑)。4人でまた初心が戻ってきました。すごく余裕がないし、最初にゆるめるモ!に入った頃を思い出します。再スタートしてみて、伸びしろがあるように思えました。4人で頑張ろう、って。

あの:ワンマンライブが終わっても、息つく間もなく4人での新曲の練習や、これまでの曲の変更があって。一から叩き入れていたので、「何も考えている場合じゃない」というぐらいでした。正直、お客さんもう来てくれないんじゃないかとリリイベの前は思いました。

けちょん:余裕がなくて、初めてステージに立ったときぐらいに、すごく緊張しました。初心に戻った感じがしました。今日は4人での再スタートで、「ひとりひとりが見せられる人にならないとな」と思いました。

ようなぴ:今日4人として初日を迎えて、お客さんがどのぐらい来てくれるのかなと思っていたけど、平日で急な発表だったのに、たくさん来てくれました。その中には、6人時代や、もっと前の8人時代から応援してくれて推しが卒業した人もいて、「頑張ってね」と言ってくれて嬉しかったです。推しが卒業した人にも、これからのゆるめるモ!を見てほしいし、8人や6人の時代が一番好きだと思ってもらえるのも嬉しいし、これからの4人も大好きだって言ってもらえるように、4人だからこそ出せる良さを見せていけたらいいなと思います。

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