BABYMETALの世界的“熱狂”はどこまで広がる? 新作『METAL RESISTANCE』までの歩みから読む

 BABYMETALの一貫したコンセプトに“メタルレジスタンス”というキーワードがある。”3人の少女たちが真に「本物のメタル」と向き合う”という命題、そして、かねてより掲げていた「世界征服」という野望は、1stアルバムの発売により、早くも具現化しはじめた。

 2014年3月2日開催の武道館公演の2日目『黒い夜 LEGEND“DOOMS DAY” 〜召喚の儀〜』では、“武者修行”と題した欧州ツアー決定を発表。1stアルバムの発売以前からYouTube上にアップされていた公式PVへの反響、そして、武道館公演後の3月13日にはイギリスの大衆紙『ガーディアン』のコーナー「MUSIC BLOG」でメタルファンである記者がBABYMETALへ言及するなど、振り返れば、現在の躍進につながる予兆はあった。

 そして、この年の夏。2014年7月1日のフランスを皮切りにした『BABYMETAL WORLD TOUR 2014』から、BABYMETALはその活動の軸を世界へ移すことになる。単独公演はもちろん、海外のプロモーターから招聘される形で大規模ロックフェスにも出演。国内メディアの関心を強く惹きつけるきっかけとなったレディー・ガガの世界ツアー『アートレイブ:ザ・アートポップ・ボール』のオープニングアクトとして帯同したのも、この年の7月末から8月にかけてのことである。

 ただ、BABYMETALが世界へと軸足を置き始めた2014年の当時、賞賛の声が高まる一方で、国内のファンにとっては、同時に遠く離れた地で活躍する彼女たちの姿に寂しさや切なさが感じられたのも事実である。

 その声が払拭されるきっかけとなったのは、2014年9月13日と14日行われた幕張メッセ2daysの最終日。終演間際、ナレーションにより伝えられた第3章の示唆、さらに「日出ずる国へと舞い戻る」というアナウンスに、国内ファンからは歓喜の声があがった。

 翌年、2015年1月10日のさいたまスーパーアリーナ公演『LEGEND “2015” 〜新春キツネ祭り〜』からスタートしたBABYMETALの第3章では、宣言通りに国内での活動に注力。2015年6月21日に行われた幕張メッセで行われた2万人規模のオールスタンディングライブ『BABYMETAL WORLD TOUR 2015 〜巨大天下一メタル武道会〜』では、終演間際に自身初となる全国のZeppツアーを発表し、さらに、今年9月19日開催の東京ドーム公演への最後の伏線となった、12月の横浜アリーナ2days開催も告知された。

 またこの年、ウェブで展開されているメンバーズプロジェクト「THE ONE」での限定公演が相次いで開催された。海外での単独公演やフェスへの出演、先の大規模な会場における公演を続ける一方、収容規模1500人〜3000人クラスのプレミアムライブでは、国内ファンとの距離を縮めていったのだった。

 そして、最新作となる2ndアルバム『METAL RESISTANCE』発売までに擁した期間は、じつに約26カ月である。前作からの間、アンセムとしてライブで定番になっている収録曲「Road of Resistance」や、「あわだまフィーバー」のライブ版が音源化されていたほか、曲名が公表されていない段階からライブでのみ披露されていた「KARATE」や「ヤバッ!」の収録も、ファンを喜ばせた。

 あえてすべてを公開することなく、情報を制限することで、ファンに謎解きにも似た快楽を与えるのが、BABYMETALならではの演出である。そして、本作の内容とアートワークから謎を解き明かすと、2ndアルバムにはじまった第4章からの命題――それは、これまでの活動を受けて、“暗闇に包まれたメタルの世界を照らす”ことにあるのではないか。

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