BABYMETALのライブアルバムを比較 彼女たちのパフォーマンスはどう進化した?

 2015年10月16日。冷めやらぬ興奮と共に「第3章が“最終章”へ向かう」というアナウンスがなされた「BABYMETAL WORLD TOUR 2015 in JAPAN」最終日。その数日後、待ちわびた1枚のCDがようやく手元に届いた。第3章の狼煙を上げた今年1月のSSAでの単独公演を収録した、WEBメンバー「THE ONE」限定販売のLIVE CD『BABYMETAL LEGEND“2015”~新春キツネ祭り~』である。

 現状、BABYMETALにとって最新のライブアルバムとなる今作は、当日のセットリストを2枚組で再現。のどから手が出るほどとはけっして誇張ではない。BABYMETALの現場を味わい、客席の興奮を身体が覚えている者ならば、ライブアルバムを是が非でも求めるのは必然的な流れでもある。

 その位置づけは、2014年に“武者修行”と題した世界行脚を成功に収め、成長や変化を遂げた彼女たちの節目を捉えたものであるが、いくつかの項目に分けてポイントを紹介していきたい。

『あわだまフィーバー』初音源化だけでも価値あり

 ファンの間では“あわあわ”と呼ばれていたDisc1の3トラック目にあたる同曲。正式タイトルが発表されたのは15年6月のことだが、ライブでの初披露はもっと前、昨年12月に開催された“SU-METAL聖誕祭”ことWEBメンバー限定ライブ「APOCRYPHA-S」だった。

 当初は曲中のフレーズも当てはまる全ての箇所が「あわあわ」としか聴こえなかったものの、タイトルを聞けば不思議なことに「あわだま」としか聴こえなくなる。いわゆる空耳的な現象にも思えるが、何はともあれ、音源で聴きたい衝動に駆られていた者としては、いつどこでも聴ける状況になったのは、それだけでも収穫は大きい。

 狙っていたと信じたいが、初披露の場が13年12月の幕張公演での『ギミチョコ!!』と共に“SU-METAL聖誕祭”であり、そして、曲調から噂されていたとおり、作曲は同じくTHE MAD CAPSULE MARKETSやAA=としても活躍する上田剛士。これはBABYMETALのファンが音へのこだわりをどれほど強く抱いているかのあらわれともいえるだろう。

 ライブで披露される際は、扉を開けるような仕草を見せたりと、3人のシンクロが要所ごとに光る1曲。ステージで凛々しさが目立つSU-METALのもう一つの顔、ギャップ萌えの真骨頂ともいえる“かわいさ”が全面に押し出されているのもポイントで、冒頭わずか5秒程のイントロだけでもエンドレスリピートしたくなる中毒性をひしひしと感じられる。

神バンドの存在を味わえる『Mischiefs of metal gods -KAMI Band Instrumental-』

 和訳すると「メタルの神の悪戯」となるDisc1の9トラック目。初収録はWEBメンバー限定販売の映像作品に同梱、武道館公演2日目の模様を収録した非売品ライブアルバム『LIVE AT BUDOKAN 〜BLACK NIGHT〜』。アルバムのみを単独で入手できる形で、神バンドの演奏を味わえるのはぜいたくともいえる。

 BABYMETALは「神バンドも含めて1つのバンド」であるというのは、本人たちの発言もあり、すでにファンの多くが共有している認識である。しかし、実際にアルバム内で神バンドの名前が刻まれ、はっきりと独立した楽曲が設けられているのは、その認識が間違ってはいなかったという証拠といえる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる