スガ シカオが提案するリッチな“新曲との出会い方” 『THE LAST』生ライブ試聴会&ACOUSTIC NIGHTを観た
ひょっとしたら、この形は、次のスタンダードになるかもしれない――。
スガ シカオの単独ツアー「SUGA SHIKAO LIVE TOUR 2015 『THE LAST』」を観て、最初に思ったことがそれだった。
1月20日に約6年ぶりのオリジナルアルバム『THE LAST』をリリースする彼。今回のツアーは「生ライブ試聴会」と題し、ニューアルバムの収録曲を先行披露する形で行われた。
12月25日・26日の2日間、ZEPP Divercity TOKYOにて行われた公演。筆者が訪れたのは25日の方で、この日は「生ライブ試聴会」と「ACOUSTIC NIGHT」との二部構成だ(26日は「FUNK PARTY」との二部構成だった)。前半で新曲を、そして休憩を挟んだ後半でこれまでの代表曲をプレイするというステージである。
ツアーの予告編動画に収録されたインタビューによると、最初は通常の試聴会と同様にファンが集まりアルバムを聴き、曲を解説するようなイベントを行うアイディアもあったのだという。しかし、それをやっても「つまらない」というスガ シカオ自身の考えから始まったのが今回のツアー。歌詞をステージ背後のビジョンに映し出し、リリースされた音源を聴くのと同じ条件で、生歌、生音でアルバムの新曲を曲順通りに届けるという試みだ。
「みんなに衝撃を与える、そんなドキドキするようなライブができたらと思いました」
と、この日のMCでも語る。というわけで、ライブはアルバム1曲目の「ふるえる手」からスタート。アコースティック・ギターを抱えたスガのエモーショナルな歌声が響き、その背後にはリリックビデオのように歌詞がデザインされた映像が映し出される。固唾を呑んでそれを見つめるお客さんのムードも、普段のライブと違う感じだ。さらにはアルバムの2曲目「大晦日の宇宙船」、3曲目「あなたひとりだけ 幸せになることは 許されないのよ」と彼らしい刺々しさを持ったナンバーを、曲順通りに続ける。
この日はニューアルバムの11曲のうち7曲をプレイ。後半はMCで「下町シリーズ」と語った「オバケエントツ」から、グルーヴィーなファンク「愛と幻想のレスポール」へ。さらにMCではスガが音楽武者修行の旅をきっかけに出会った現在闘病中の友人への思いを語り、そのことが歌詞のモチーフとなった「真夜中の虹」を披露。最後はアルバムのラスト曲「アストライド」で生ライブ試聴会を締めくくった。