BENIがたどり着いた、“飾らない”という表現方法「無駄なことを引き算して届けたかった」

BENI、“飾らない”という表現方法

 BENIが、前作『RED』以来、約2年半ぶりとなる6枚目のオリジナルアルバム『Undress』を、11月25日にリリースした。今作は「飾らない(=Undress)」をテーマに、BENIという一人のシンガー、そして一人の女性としての姿がはっきりと浮かび上がった作品となっている。もともと歌唱力の高いシンガーであるが、今作の歌入れの際には“正確さ”よりも“ストレートな感情表現”を重視したという。デビュー10周年を経たこのタイミングで、なぜ彼女は飾らないことを選んだのか。本アルバムに関する話から、彼女が今後目指していく姿までじっくり話を聞いた。(編集部)

「肩の力を抜いて今は歌いたい」

ーー2年ぶりのオリジナル・アルバムをリリースするにあたって、どういったアルバムを作ろうと考えましたか。

BENI:去年10周年でベストアルバムをリリースしましたが、オリジナルを製作するのは久しぶりでした。まずタイトルを「飾らない」という意味の『Undress』にして。前を向いて作品を作るというよりは、一度ストップして「自分は何を伝えたいのか」「何があって今まで来られたのか」を振り返りました。そういう機会があったからこそ、「フォエバ」のような普段は照れくさくて言えない、身近な存在に対しての思いをのせた曲ができたんだと思っています。恋愛ではない「愛」という言葉が自然に出てきたというか。ベストアルバムがあって、そこから踏み出す次のステップとして、まずは近しい人たち、私をサポートしてくれている人たちへしっかり思いを伝えたいなという気持ちで作りました。

――ベスト盤のリリースが、ご自身のキャリアやアーティストとして表現したいことを改めて振り返る機会になったということですね。

BENI:そうですね。2年くらい空くと自分の中でハマっている音や歌いたい事が変わるのは当たり前ですけど、その中でも肩の力を抜いて今は歌いたいんだなと、作りながら思いました。「客観視したラフさ」というか。

――前回のインタビューで「パーフェクトを目指していた時期もあったけど、それだけじゃないかもしれないと気づいた」とおっしゃっていましたが、今回の歌い方はどこか親しみやすさ、ラフさが強調されているように感じました。

BENI:隙間を埋めず“間”を大切にするという、テクニカルではなくストレートに歌詞にのせて歌うことを意識しました。シンプルに、語りかけるように、力の抜けた声の使い方も心がけましたね。

――先ほど出た「フォエバ」という曲ですが、この曲はアルバムの中でも1つの核になっていると考えてもいいのでしょうか。

BENI:はい。テーマ的にもサウンド的にも核になっています。ベストアルバムを作っていた時に推していたのが「もう二度と…」という失恋ソングで。それがしっとりとしたバラードだからこそ、定番曲として「フォエバ」のような、ポジティブで、乗るだけでハッピーになれるような曲をすごく求めていたんです。でも、トレンドに左右されないタイムレスな曲にしたいとも思っていて、あえてレトロなサウンドとビートにしました。とても気に入っていますし、今やライブでは欠かせない曲となっているので、自分の中では「もう二度と…」の次にBENIといえば「フォエバ」になってほしいと思っています。

――今回はMVなどを通して、BENIさんのメッセージがビジュアルと音楽のミックスとして伝わってきた感じがあります。前回、音楽の聴き方もどんどん変わっていくから、それに合わせて自分ももっとチャレンジしていきたいという発言もありましたが、今回もその点は意識しましたか。

BENI:そうですね。例えば、SNSでもブログからInstagramになって、動画メインのSnapchatに今ハマったりしていて。そういうのと一緒で、ビジュアルで歌の世界感を見ることで曲がまた違う入り方や聴こえ方をしていることをすごく実感していて。それを今回のアルバムでより立体的にしたというか。MVもたくさん作らせてもらいました。

BENI「フォエバ」

――「フォエバ」は、まさに渡辺直美さんと共演したMVがネット上で話題になりました。

BENI:想像以上に反響があって、特に女の子から「友達への思いにグッときた」という感想を聞きます。この曲は、元々ファンのみなさんやスタッフ、いろんな人達へのありがとうという、大きなメッセージからスタートしたものなんですけど、(渡辺)直美ちゃんとのビデオがきっかけで、特に「友情」がフィーチャーされるようになりました。

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