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乃木坂46『真夏の全国ツアー』で見えたグループの成長 セットリストとパフォーマンスから読む

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 乃木坂46初の広島公演を含む6都市16公演が行われた『真夏の全国ツアー2015』は、8月30日・31日の明治神宮公演をもって幕を閉じた。

 今回のツアーは、全てのメンバーが正規メンバーとして挑む初めての年であり、生駒里奈が新作のセンターを務めた状態で全国を回るのもこれまでになかった機会だ。

 グループ最大規模の15万人を動員した同ツアーは、グループにとってどのような意義があったのだろうか。そして彼女たちが向き合った「乃木坂らしさ」とは何だったのか?

 まず、ここまでの経緯を振り返っておこう。今年は昨年に比べ、地方でのアリーナクラスや東京での神宮公演というキャパシティは同規模であるが、今回から公演数がそれぞれ増えている。また、前回は「何度目の青空か?」での生田絵梨花の復帰や、「君の名は希望」での花火などのハイライトが思い出されるが、その舞台裏では生駒里奈を始め、多くのメンバーが悔し涙を流したと後に語られている。それを踏まえると、昨年のリベンジという意味合いが大きいだろう。2014年の乃木坂46は、神宮公演後、『アンダーライブ』を有明コロシアムで行える規模まで大きくし、3rd Year Birthday Liveでは、7時間に及ぶ初のドーム公演(西武ドーム)を見事にやり遂げてみせた。

 また、今回のライブ中に流れた映像は、このツアーが7月に公開された映画『悲しみの忘れ方~Documentary of 乃木坂46~』の延長線上であることを示しており、大規模公演でアンダーをフィーチャーする余裕ができたことに、グループの充実期が窺える。このような1年間を経て、神宮の舞台で披露された彼女たちのパフォーマンスは、本当に自信に満ち溢れていたように思う。

セットリストが表現する今の乃木坂の姿

 今回のライブにおいて、特に注目していたのがセットリストだ。歴代のシングルを順番に披露する『Birthday Live』と違い、ツアーでは豊富な持ち曲のなかから、見せたい演出に合わせて自由に曲順を組むことができるため、ここから今のグループが表現したいことを読み解くことができる。

 今回のツアーはほぼ固定されたセットリストであり、大規模の神宮公演だからといって、ドラスティックな変化を加えずにパフォーマンスの質を高め、“どのように見せるか”に焦点を当てたのだろう。あえてざっくり分けると、「歴代シングル曲パート」「最新シングルカップリングパート」「煽り曲パート」「アンダー曲パート」「初森べマーズパート」「クラブミュージックパート」「オーケストラパート」の7パートがあり、乃木坂46がこの4年間で築いてきたものがギュッと詰まっている。

 「歴代シングル曲パート」はライブでも恒例となっているパフォーマンスを織り交ぜたものに仕上がり、「最新カップリングパート」ではユニット曲などを含めた最新形の乃木坂46を披露。また、大人しいグループゆえ、ダイナミズムに欠けていた「煽り曲パート」は、数多くのライブを経験したことでしっかりと観客を楽しませるものになっていたし、「アンダー曲パート」の充実は、この1年を象徴するものだった。曲数は多くなかったものの、アンダーセンターを務める堀未央奈は、ライブ全体を通して今までにない存在感を見せており、サプライズ発表された今後の『アンダーライブ』が楽しみでならない。続く「初森べマーズパート」のパフォーマンスは、放送中のドラマ『初森べマーズ』を軸にしつつも、やっていたことは『16人のプリンシパル』でグループが初期のころから取り組んでいたミュージカルと同じ様式とみていいだろう。また、毎回照明やダンスなどの演出に力を入れている「クラブミュージックパート」は、清楚なイメージの強い乃木坂46が、毎ライブでパフォーマンスのダイナミックさをみせるべく、長い時間を掛けて取り組んでいる部分でもある。今回はあえて「制服のマネキン」を入れず(「制服のマネキン」はアンコールで披露)、このパートの定番曲「世界で一番 孤独なLover」と乃木坂的クラブミュージックの完成形ともいえる「命は美しい」に加え、アンダー曲である「別れ際、もっと好きになる」や「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」(1日目)「ここにいる理由」(2日目)などを入れ、同パートの厚さを見せてくれた。

 そして本編の終盤でみせたのが、生田絵梨花のピアノ伴奏を中心とした「オーケストラパート」。あるインタビューで星野みなみは「今回のツアーではちゃんと歌を届けたい」と語り、前段のVTRでは「歌」の力強さを強調していた。まだ道半ばではあるが、この生田のピアノという大きな武器と共に生の演奏で歌を届けることは、グループがさらなる高みを目指す上での一つの理想なのだろう。両手にペンライトを持つことが多いアイドルのライブで、唯一このパートに限っては、自然と観客席から拍手が沸き起こるという稀なことが起こった。また、「悲しみの忘れ方」を披露後の1日目の生駒、2日目の生田の溢れ出る涙は、その日一番の美しさだったように思う。

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