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ミゲルの“ワイルドな音楽”が全米を魅了した理由 最新作とキャリアから紐解く

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 RealSoundの読者のみなさんは〈ミゲル〉という生まれも育ちもLAの29歳のシンガー・ソングライターをご存じでしょうか? 彼が最初にアメリカの音楽業界、および音楽ファンの間で大きな注目を集めたのは、ちょうど3年前の今ごろ、2作目となるアルバム『Kaleidoscope Dream』からの先行シングル「Adorn」によってでした。

 アルバム全体としては、1980年代半ばくらいのサイケデリックに走った頃のプリンスと比較されることもありましたが、その「Adorn」のサウンドに関しては、かのマーヴィン・ゲイの名曲「Sexual Healing」に最大限の敬意を払いつつも、完全に2012年らしい仕様へと、うまくモデルチェンジを図ったかのようなメロウな佇まいの曲でした。

「Adorn」/Miguel

 しかし、それ以上に「なるほど。巧みだなあ、ミゲル!」と感じたことは、サビで「Let my love adorn you」と繰り返し、タイトルを「Adorn」と付けたところでした。

 “Adorn”には、「美しい人やものの美しさを引き立てる、引き出す」という意味があります。つまり、「Let my love adorn you」とファルセットで歌うだけで、「君は美しい」などという陳腐な前置きなしで、「君が美しい」のは大前提、そこに“僕の愛”が触媒のように働き、「その美しさをより引き立てますよ」というのを、“Adorn”という一語にうまく集約してくれたわけです。これは、男性から見ても、とてもうまい口説き文句だと思います。

 実際、この曲は200万枚を売り上げ、2012年を代表する1曲となり、年明けのグラミーで、最も栄えある賞である〈年間最優秀楽曲賞〉の候補に選ばれました。

 もっとも彼の才能は、2010年のデビュー作『All I Want Is You』を発表した段階で、独特なロマンティシズムに酔いしれた女性リスナーからはもちろん、うるさ型の批評家や同業者からも高い評価を得ており、『Kaleidoscope Dream』に収録された「Where's the Fun in Forever」では、アリシア・キーズもソングライト/バックコーラスで参加し、2013年には彼女と共に大規模な全米ツアーを敢行しています。

「#Beautiful feat. Miguel」/Mariah Carey

 さらに翌年には、マライア・キャリーのアルバム『Me. I Am Mariah』の先行シングル「Beautiful」の共演相手に抜擢。「Adorn」では「君は美しい」と一言も歌わずに、美を讃えていたミゲルでさえ、マライアを目の前にしたこの曲では、「君はビューティフル。本当にビューティフル」と歌いだしてしまう趣向が、とても面白いと感じました。

 大人の恋愛やセックスに潜む心理を綴った歌詞はもちろんのこと、曲まで自身で手掛けるようになり、ヘアスタイルも一新し、ビジュアル面でも一気に洗練され、グラミー授賞式で着用したのを機に、イヴサンローランのジャケットを愛用するようになりました。

 それと同時に、“アート・ディーラー・シック”という考え方を提唱し、人生をキュレートしている潜在意識に素直に従い、意識とディベートさせた上で、さらに生きる目的や幸福につながってゆくようなライフスタイルをキュレートしていきたいと語っています。

     
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