>  > Charisma.comが目指す理想のポップス

メジャーデビューミニアルバム『OLest』インタビュー

Charisma.comが語る、新作『OLest』と会社勤めの危機「OLコンセプトは今回が“最高で最後”かも」

関連タグ
HIPHOP
JPOP
MV
RAP
ユニット
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
20150708-charisma3.jpg

 エレクトロラップユニット・Charisma.comが7月8日、メジャーデビューミニアルバム『OLest』をリリースした。MCいつかの巧みなラップとDJゴンチの操るエレクトロサウンドを武器に支持を広げる彼女たちだが、普段はMCいつかが雑貨メーカーの事務、DJゴンチが精密機器メーカーの事務で働く「OL」でもある。今作『OLest』は、そのOLとしてのキャラクターをあえて前面に押し出したアルバムだ。今回行ったインタビューでは、二人の音楽的原点から、毒とユーモアが絶妙に配分されたリリックの形成過程、さらにメジャーデビュー後も会社勤めを続けるその活動スタンスまで、幅広く語ってもらった。

「『歌っていうよりラップだね』って言われて自覚した」(いつか)

――まずはCharisma.comが結成されるまでの経緯から聞かせてください。いつかさんはそもそもどのようにしてラップと出会ったのでしょうか?

MCいつか(以下、いつか):大学の時にバンドを組んだのが私の音楽活動の始まりで、私はボーカルをしていたんです。その時、自分では歌を歌っていたつもりだったんですけど、メンバーのドラムの子に「いっちゃん(MCいつか)のは、歌っていうよりラップだね」って言われて。そこで自覚しました。「あ、これラップか」って。

――では、それまでは自覚的にラップをやっていた意識はなく。

いつか:全然ないです。すごい歌ってる気でいました。その時は自分で曲を書いてはいなかったんですけど、与えられた曲もラップではなく歌だったんで。歌い上げてる、くらいのつもりでしたね(笑)。でも、……様子が違ったようです。そこから日本語ラップを聴くようになって。もう解散してしまったんですけど、Astroという4MC、2DJ、1トラックメイカーという編成のグループに心を奪われて。それこそサウンド的には今のCharisma.comがやりたいような方向のグループだったんです。その人たちから日本語ラップを掘っていくようになりました。

――ゴンチさんと二人でやることになったいきさつは?

いつか:最初は、シンガーの女の子と私の二人組で活動していたんです。ここに女の子のDJとか入ったら絵的に面白そうだねってなって。その時に、ゴンチは全然DJではなかったんですけど、……時間がすごくありそうだったから(笑)。かつ、ゴンチのお兄ちゃんがDJだったんですよ。だから機材が家にある、これはいいと思って声をかけました。

――もともとDJではなかったゴンチさんは、誘われた時にどんな反応を?

DJゴンチ(以下、ゴンチ):「楽しそう!」みたいな(笑)。もともと中学・高校と部活が一緒で。その部活のノリみたいなので、「やるやる!OK!」みたいな感じで返事しました。

いつか:その三人のグループが解散した後、別のシンガーの女の子を入れたんです。だから本当は、Charisma.comは三人組だったんですよ。でも、そのシンガーの子が留学でイギリスに行っちゃって二人になったんで、じゃあまあこれで行こうか、と。それで現在に至る感じです。

――Charisma.comは1MC+1DJというスタイルですが、ヒップホップ畑に寄っていくという感じでもないように見えます。ご自身の中で、Charisma.comがどのジャンルだという位置づけはされていますか?

いつか:全然、意識してないです。「ポップス」だとは思ってます。でも、あんまりジャンルにこだわりがなくて。これまでも、格好いいと思うものだけを聴いてきたという感じで。しかも聴いてきた幅が、すごい狭いんですよ。「この曲が好きだ」ってなったら、もう一週間毎日、その曲をずっと20回くらい再生するみたいな。

――聴いてきた音楽はお二人とも全然違いましたか?

いつか:中学・高校の頃は一緒でした。聴いてたのは、「ヒットチャート」ですね。

ゴンチ:カラオケで歌う曲、みたいな。

いつか:カラオケでは小柳ゆきさんとか、MISIAさんとか。ディーヴァ系の曲を、自分では歌えてると思って歌い続けてました。

――その頃はもう、ヒットチャートにラップを取り入れた曲も入ってきている時期ですよね。カラオケでラップの曲を歌ったりはしていたのでしょうか。

いつか:それは全然ありました。友達とカラオケに行った時に、ラップパートだけ早送りされちゃうのがもったいないなと思ってて。そのラップパートを重点的に歌ったりしてましたね。BENNIE KさんとかSOULHEADさんとか、途中でラップが入る曲のラップパートを力強く歌ってました(笑)。

ゴンチ:もう、マイクはいっちゃん(MCいつか)に渡す感じでした。ラップの部分は誰も歌わないんですよね、やっぱ。歌う人っていったら、いっちゃんって感じで。なので、ラップを始めたと聞いても、別にびっくりしなかったのは覚えてます。

20150708-charisma5.jpg

「Charisma.comでの私は『格好つけてるね』って言われた」(いつか)

――Charisma.comの作品について伺います。Charisma.comのリリックは毒のある詞と紹介されることも多いですが、単なる毒舌ではなく「お手柄マフィア」「生意気ハンティング」(「お局ロック」より)など、語句の組み合わせ方に独特の個性があります。そのスタイルはどのように生まれたのでしょう。

いつか:そういう言葉を作る部分は、バンドをやっていた時に影響を受けたんだと思います。ギターの子が全部作詞作曲をしてたんですけど、歌詞がまったく意味わからなくて。「これ、意味解からなくて全然覚えられないんですけど」って言ったら、「いや、意味があるんだよ」って喧嘩になったり。「横浜ソース」とかそういうタイトルの難解な詞で。でも、読んでみて歌ってみたら、(そういえばわかるかも……)となっていって衝撃を受けたんですね。そういうのが今の自分の歌詞につながっている気がします。

――誰かに毒を浴びせるような詞のテーマも、書き始めた頃からあったものですか?

いつか:最初の頃は違いました。Charisma.comの前のグループでは、愛だの恋だの言ってましたね。私はCharisma.comを始めるちょっと前くらいから、メリヤス♀という名前でソロ活動をしていて、メリヤス♀の時に日本語ラップやヒップホップの方々と曲を作る機会を与えてもらったんです。「この野郎」って思うことに対して歌詞を書くというのは、その時に受けた影響があると思います。

――メリヤス♀名義で出されている楽曲も詞のモチーフは今につながっていますが、Charisma.comの方がより具体的にテーマが絞られている印象です。メリヤス♀とCharisma.comとで、作風を使い分けるという意識はありますか?

いつか:最初の頃は全然なかったんです。それこそサウンド面の話だけで、ヒップホップ的なトラックに乗せるのがメリヤス♀、四つ打ちのバキバキしたサウンドに乗せるのがCharisma.comと考えてやっていました。ただ、Charisma.comを知っていただくにあたって、「わかりやすい方がいいよね」という意見をいただくことも多かったですし、自然にそういう立ち位置になっていった感じがあります。Charisma.comではより明確に、という意識はありますね。

――毒のある詞に対してCharisma.comのトラックはポップなものが多いと思いますが、そのコントラストは意識的につけているのでしょうか。

いつか:そうですね。ちょっといなたい感じのゆっくりしたトラック、黒いズブズブしてるようなトラックは、Charisma.comでは選ばないようにしています。

――もともとメリヤス♀の方は、どのような意識で活動をされていたんでしょう?

いつか:メリヤス♀では、とりあえずスキルを磨きたかったんです。その世界に憧れがあったから。あと、単純に嬉しかったんですよね、そういうかっこいい人たちと音楽が作れるっていうのが。特に意識してなかったですけど、メリヤス♀では私の素の部分が一番出てる気がします。Charisma.comだとちょっと誇張したり、本当にわかりやすいように毒を吐くみたいなのを意識してる感じです。

――今のCharisma.comをヒップホップシーンの人たちに、こんなふうに聴いてもらえたらということは考えますか?

いつか:そんなに考えてないですね。格好いいなとか、良いねって言っていただけたらすごい嬉しいですけど。……きっと好きじゃないと思う。でも、Charisma.comでの私は「格好つけてるね」って言われたことがあります(笑)。「普段のいつかちゃんじゃないよね。メリヤス♀の方が普段だよね」って。確かにそうだよなって。格好つけてると思います。格好つけようと思ってやってるし。

――原点にはいわゆるヒットチャートを聴いてきたという経験があるわけですが、Charisma.comの音楽を届けたい場というのはどこでしょう?

いつか:今はヒットチャートと言っても、性質が違うじゃないですか。私たちがチャートをみて「この曲いいね」って言ってた時代と違うから、そこを目指してるというとちょっと違う気がするんですけど。でも、お父さんとかお母さん、おじいちゃんとかおばあちゃんの世代にも認知されると嬉しいなと思います。

――お二人のご家族は、Charisma.comの曲は聴かれるんですか?

いつか:うちはお父さんがすごい熱心で。「今回の作品は、最初あんまりだと思ったんだよな」とか言われますね(笑)。「やっちゃったなーと思ったんだよ、俺。でも何回も聴くといいな」とか言われますね。失礼だよ!って。

ゴンチ:うちも、お父さんもお母さんも聴いてくれてます。こないだ親の車を借りた時に、エンジンをかけたらCharisma.comのCDが入ってて、いきなり爆音で流れたのがちょっと恥ずかしかった(笑)。「こんがらガール」が好きだってお父さんは言ってました。

いつか:曲を作ると一番最初に、それこそゴンチよりも先にうちの妹に聴かせるんです。妹はEXILEさんとか、全然違うジャンルが好きで。そういう人がCharisma.comを聴いた時にどういう反応なのかなっていう指針になるんです、妹が。

――それこそポップスとして広いフィールドに向けた時の反応を見る。

いつか:そうです。「これはあんまりじゃない?」とか、普通に言われます。「全然良くない!」「……まあまあ、だね」とか。メリヤス♀のことはすごい嫌いですよ、妹は(笑)。「こういうの好きじゃないんだよ!」とかいって、全然聴いてくれないです。

     
  • 1
  •  

表示切替:スマートフォン版 | パソコン版