LAMP IN TERRENが見出した、曲を作って唄う意味 「聴いてくれる人たちに未来を照らすような作用を与えたい」

20150626-lt2.jpg
【左から】川口大喜(Drums)、松本 大(Vocal & Guitar)、中原健仁(Bass)

 LAMP IN TERRENのニュー・アルバム『LIFE PROBE』は、このバンドの粋が集約されたかのような力作となって姿を現した。自己の内面の葛藤や苦悩、それらを少しでも未来へつなげていこうとする松本 大の歌に宿った文学性。そしてその歌をしっかりと支え、豊かな表現を見せるリズム隊。今年期待のバンドの筆頭格に名前が挙がる彼らだが、それに見合う以上の作品を作り上げてくれた。

 4年前の上京後に現編成になり、そこから活動が本格化したわけだが、翻ればそれ以前、長崎での中高時代に原点を見ることができるこのバンド。ここまでかなりの思考錯誤をくり返してきたぶんメンバー同士の絆は強く、インタビューの場で松本が話をどんな抽象的な方向に振っても、中原と川口は当たり前のように話についてくる。そしてお互いの思考や感覚に齟齬もない。その一体感は、彼らのライブとちょっと似ていると思った。

 3人はこれから多くのドラマを見せてくれることだろう。その最初の段階の、2015年の夏に見せてくれた赤裸々な思い。LAMP IN TERREN。今、ぜひともあなたの心の中に刻みつけてほしいバンドである。

「今、自分ができる最高のもの、全部出しきれたなと思う」(中原)

――アルバム、すごくいいですね。

松本 大(以下、松本):ああ、ありがとうございます。手応えはめっちゃあるんですけど……。「最高傑作ができた!」って思いましたけど、完成して1カ月ぐらい経ったら、そろそろ自分に足りないところが見えてきましたね(笑)。「ああできたな、こうできたな」と。

――そうですか。ふたりはどうですか?

中原健仁(以下、中原):はい、今、自分ができる最高のものができたなって。全部出しきれたなって思います。

川口大喜(以下、川口):同意見ですね。今できることが全部できた、という感じです。

――わかりました。アルバム全体としてはどういうものにしようと思ってました?

松本:いろんな景色が見られるような曲を集めたいな、というのがありましたね。前回のアルバム(『silver lining』)は“昔から今に至るまでの僕ら”という感じだったんですけど、ここからは“今の自分たち”という名目で作りました。根本に歌があるのは3人とも変わらないので、それでどんなふうに表現できるのか……いろいろ考えながら曲を作りましたね。たとえば頭の中に見える映像をそのまま曲に落とし込んでみるとか、この世のよくわからない現象のことを歌にしてみるとか。僕だから唄えること、僕らだからできることをちょっとずつ探しながらやってたかなというのはあります。

中原:松本なりの切り口がいろいろあって、自分の小学生時代のことからインスピレーションを受けたり、自分の見た夢の話から歌詞を書いたり。そういう作品が多いですね。

――音作りではどんなことを意識しました? 「こういう歌だから、こういう方向性で行こう」というのをメンバーで共有しながら?

松本:言わなくても、なんとなくわかってたよね?(笑)。出してきた音で「それだよ!」「問題ない、そのままやれ!」みたいな。

川口:うん。音作りでは、そんなに悩んどらんね。

中原:「こういう歌詞のこういう曲だ」という話はたまにするんですけど、それ以外はあんまりなくて。でも(松本は)ダメなものはダメって言ってくるんで。自分も「これでいい」と確信してるものがあるし、それを認めてくれる感じがあったので、迷わなかったですね。

――その話があった曲というのはどれですか?

中原:4曲目の「reverie」が夢の話だというのは、ずっと聞いてたし。この曲は雰囲気を出せて、歌も前に押し出すことができたなと思います。10曲目の「ワンダーランド」は最初スタジオに入ってジャカジャカ音を鳴らして作ってったんですけど、その鳴らしてる時点ですごく楽しくて。「めちゃくちゃなことをやっていい曲なんだ」「この曲はバカになろう」って感じで作っていきました。

川口:7曲目の「into the dark」は暗い雰囲気で、でもその闇の中に渦巻くエネルギーみたいな表現をタイコでできてるかな、と思います。

松本:たぶん一番大変だったのは「イツカの日記」だよね。

川口:そう、だって「イツカの日記」は20代が叩くテンポじゃないよ(笑)。でも一番時間がかかるかなと思ったら、すぐ終わったんですね。寝起きでやったんですよ。朝一発目でやったら、うまくいった(笑)。

中原:あとは6曲目の「王様のひとり芝居」は、基本的にずっとワンフレーズのくり返しなんですけど、ああいうノリの歌ありきでできるな、と思いました。俺、けっこうエレクトロとか好きで、ワンフレーズがループしていく音楽が好きなんですけど、それがこの曲でできましたね。新しいことができました。

川口:でも(曲については)あんまり話してないよね。具体的に「この曲はどういった内容で、どういう感じで」とか聞く前に、普通に聴いて、直感でやったやつが最終的にOKテイクになるっていう。それでこれまでやってきたから、ね?

松本:「緑閃光」もそうだったからな。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる