LAMP IN TERREN『LIFE PROBE』インタビュー
LAMP IN TERRENが見出した、曲を作って唄う意味 「聴いてくれる人たちに未来を照らすような作用を与えたい」
「面倒くさい人間関係、そういうのを初めて乗り越えてこれたバンド」(川口)
――なるほどね。つまりそれだけの関係性がすでにあるバンドだと思うんですけど、ただ、始めたばかりの頃は、やっぱり今みたいな感じではなかったですよね?
松本:そうですね、うん。ほんとに始めた頃だと「音楽をやりたい」という思いのほうが大きすぎて、それ以外の感情はどうでも良かったと思います。「楽しいよね? やってるのが。以上!」みたいな感じ。だけど、やればやるほど慣れというものが出てきて、余裕ができるから、よけいなものが見えてくる。だからイヤなところも見える……。そこで今度は「ここの部分を俺たちは一生懸命やりたいんだよね」っていう話をして……メンバーのイヤなところまで見えてきたけど、そこで付き合い方も見えてきて、次にまた、ほかの余裕ができてくるっていうサイクルがある。
中原:その連続で、どんどん自分の陣地が拡がってくというか。お互い、足を踏み入れられる場所が増えてきましたね。
――川口くんは途中からの加入なんですけど、バンドに入った頃は、やっぱりその楽しさが大きかったですか?
川口:うーん、俺、中3の終わりからずっと何かしらバンドをやってて、途切れたことがないんですよ。だけどこのバンドに入って、一番……いい意味で苦労した感じですね(笑)。長くやってくと、面倒くさい人間関係が出てくるじゃないですか? そういうのを初めて乗り越えてきたバンドなんです。ここまで濃い人間関係はしてこなかったっていう。
松本:こいつはほんとに他人と距離とるのが上手なんですよ。絶対に近づいてこない。近づこうとすると、「いやいや……」って。
川口:(笑)なるんですよ。「いやいや」って。
松本:で、中原は中原で、どこかしらで壁を作ってるんです。このふたりは、ほんとに距離の取り方が難しくって……俺もか?
川口:(笑)当時のお前もだよ!
中原:でも一番ガンガン踏み込んでくる人ですね、大は。「うまいことやっていこう」みたいなものじゃなくて、単純に「自分がそうしたいからそうする!」みたいな。
松本:そう。「自分のためにある!」。
中原:「彼は考えて踏み込んでくる人じゃないな」みたいな。だから僕らが3人ともつながれたのかな、という気もするんですけどね。
川口:ほんとに、もうガツガツ踏み込んでくるんですよ。入ってくるんです。で、こっちは距離とってるんですけど……「こいつ、人間関係、ヘタくそか!」と思って(笑)。
松本:いや、考えてないわけじゃないんですよね! ただ、誰かのために何かやるってのが、あんま得意じゃなくて……「結局は自分が良く思われたいからでしょ、それ?」みたいな考え方になっちゃうんです。だから「私は自分のためにいろいろやっております!」みたいなことを最初から頭に置いてズカズカ行っちゃうのかな(笑)。そう、だから「俺がこうすることでお互いに気持ち良くなれるんだったら、それはみんな、いい関係だよね!?」みたいな感じになっちゃうんですよ、いつも。
川口:(笑)昔っから「自分!」なんですよね。それが強すぎるから中学校、高校の頃とかは、うまくいかないことがあったみたいなんですけど。でも結果的にそっちのほうが(松本とは)ちゃんとした、ムリのない関係を作れるんですよね。絶対に。それがバンドの中でもできてるっていうのは、いいなと思いますね。
松本:でも「この人、この関係性じゃダメなんだ?」と思ったら変えますけどね、ちゃんと。ただ、自分の心の中で「この距離感にいる人は、この人じゃないとダメだ!」みたいに、自分の周りをどんどん決めてっちゃうんですよ。だからたとえば「付き合った人とは結婚しないとダメだ!」みたいな考え方にもなるんです。で、「俺のバンドでドラム叩いてるのはこいつじゃないとダメだ!」とか思っちゃうんですよ。
――なんとなくわかる。だって曲を聴いてて思うけど、他人に対する気持ちがものすごく強いですよね?
松本:ああ、そうかもしれないですね。はい。