藤原さくらが明かす、音楽的ルーツと曲作りのプロセス「いいなと思う音楽をどんどん追求したい」

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 ノラ・ジョーンズ、コリーヌ・ベイリー・レイなどを想起させるオーガニックなサウンド、豊かな中音域~低音域を中心にしたボーカル、10代特有の葛藤や希望をリリカルに描き出すソングライティング。彼女の楽曲には、まさにタイムレスな魅力が備わっている。ミニアルバム『à la carte』でメジャーデビューするシンガーソングライター藤原さくら。10歳のときにギターを弾き始め、高校時代からその才能を発揮してきた彼女。特に天性のスモ―キーな歌声はこれから、多くの音楽ファンを魅了することになるはずだ。今回のインタビューでは、彼女の音楽ルーツを中心に『à la carte』の制作、福岡から上京した後の心境の変化までをたっぷり語ってもらった。芯の強さと人懐っこいキャラクターを含め、藤原さくらの魅力を感じてほしい。

「ノラ・ジョーンズをきっかけにして『自分の声質を活かした曲を歌おう』と思うようになった」

――メジャーデビューミニアルバム『à la carte』、本当に素晴らしい作品だと思います。カントリー、ブルースなどのルーツミュージックを色濃く感じさせながらも、瑞々しいポップミュージックとして成立していて。

藤原さくら(以下、藤原):ありがとうございます。私もすごくいいものが出来たなと思ってます。嬉しいですよね、こうやって自分の音楽が形になるのは。

――まずはさくらさんの音楽的ルーツについて聞かせてください。ギターを始めたのは10歳のときだとか。

藤原:はい。父親がミュージシャンでベースを弾いてたんですね。で、あるとき「バンドで使うから」ってクラシックギターを買ってきて、それをもらったんです。私はそのとき小学5年生だったんですけど、ギターをもらえたのが嬉しくて、すぐに弾き始めて。

――音楽が身近にある環境だったんですね。

藤原:そうですね。ドライブしてるときも家のなかでも、ずっとビートルズとかが流れていて。小学生のときは聴かされすぎてイヤになってましたけどね(笑)。やっぱり、「ビートルズじゃなくてYUIが聴きたい!」とかって思うじゃないですか。でも、音楽をやりはじめて、曲を作るようになってからビートルズの素晴らしさに改めて気づいたし、自分から自発的に聴くようになりましたけどね。やっぱり父親の影響は大きいと思います。

――YUIさんの音楽も好きだった?

藤原:はい。お姉ちゃんがすごい好きで、その影響で聴き始めて。J-POPの弾き語り本を買って、ギターで弾き語りとかもしてましたね。シンガーソングライターの存在を知ったのも、YUIさんがきっかけなんですよ。自分で曲を書いて歌う人のことをシンガーソングライターっていうんだなって。そこから私もシンガーソングライターになりたいと思うようになって……難しいですけどね、曲を作るのは。

――曲作りを始めたのはいつ頃なんですか?

藤原:中学の頃からやってたんですけど、なかなか完成しなかったんです。Aメロだけとかサビだけとか、そういう作り方しかできなくて。「(シンガーソングライターに)なりたい」とは思っていたけど、まだ何も踏み出せてませんでしたね。ひとつきっかけになったのは、中3の卒業の頃に、友達から「ライブやるから見に来て」って誘われたことなんです。同い年の子がライブをやってることにも驚いたし、「私もやりたい」という焦りも感じて…。で、福岡のボーカルスクールに通い始めたんです。そこの先生に「オーディションを受けてみない?」って言われて、Aメロ、Bメロ、サビまである曲を3曲作って。それが高校1年生のときですね。

――自分の声質に合う音楽についても考えるようになった?

藤原:あ、そうですね。それもボーカルスクールの先生なんですけど「ノラ・ジョーンズとか歌ってみたらどう?」って言ってくれて。歌ってみたら、自分でも「すごくハマるな」という感じがあって。何よりもノラ・ジョーンズの音楽が好きだなと思えたのが大きかったですね。

――J-POPの女性シンガーって、高いキーで歌う傾向が強いですからね。

藤原:だから、ぜんぜん声が出なくて(笑)。中学までは「歌が上手いね」って言われたこともなかったんですよ。でも、ノラ・ジョーンズをきっかけにして「自分の声質を活かした曲を歌おう」と思うようになって。それからは海外のシンガーソングライターとか、ワールドミュージックを聴くようになりました。アイルランド、北欧、フレンチポップ、あとはアフリカの音楽とか。

――音楽の世界が広がりますね。

藤原:はい。ギターを弾いて歌うだけではなくて、他の楽器にもどんどん興味が湧いてきて。音楽の歴史を調べたりするのも、すごく楽しかったんですよね。それも曲作りの役に立ってると思うし。いちばん好きなのは、やっぱりビートルズ、ポール・マッカートニーですけどね。いろんなものを聴いて、またポールに戻ってくるというか。(’13年に)来日したときも、お父さん、お姉ちゃん、友達といっしょにライブに行ったんですよ。号泣しちゃいましたね、ポールが現れた瞬間に。

藤原さくら - ミニアルバム『à la carte』 【ダイジェストムービー】

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