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香月孝史が新作『SPOT』を分析

lyrical schoolが更新するアイドルラップ最前線 ニューアルバムで見せた音楽的成長を読む

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香月孝史
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 2010年にヒップホップアイドルユニットとして結成され(当初のグループ名は「tengal6」)、当時まだ舗装されていなかった「アイドルラップ」というジャンルを開拓しながら、グループアイドルシーンに独特のポジションを築いてきたlyrical school。昨年10月リリースのシングル『PRIDE』ではそれまでのパーティーチューンや可愛さ中心のシングル楽曲とは一味違うハードコアな側面を見せ、続く11月2日のワンマンライブでは恵比寿リキッドルームを満杯にするなど、「アイドルラップ」の先駆けかつトップランナーとしての自らの歩みを誇るように、目覚ましい成果を出し続けている。

 その流れに乗って今月、3月10日にリリースされたのがおよそ一年半ぶりとなるフルアルバム『SPOT』だ。冒頭、日本語ラップのクラシックからの引用を散りばめたROMANCREWのALI-KICK提供の「I.D.O.L.R.A.P」、昨年リリースのシングル曲「PRIDE」、餓鬼レンジャーのGPが参加した「OMG」と続く流れは、最近のlyrical schoolの力強さを強調するようなタイトな展開になっている。ただし重要なのは、そのハードコアサイドの楽曲は、以前のlyrical schoolのカジュアルな可愛さからの単なる方向転換ではなく、自らの個性に沿って無理なく成長してきた結果獲得した、新たな幅の広さのひとつであるということだ。

 その成長ぶりは、初期活動から恵比寿リキッドルームへの歩みを振り返るスキット「-4years-」から繋がる「FRESH!!!」、そして「レインボーディスコ」、「brand new day」へと続く、このアルバム中のいわば第二部にあたる部分で確認できる。lyrical schoolのカラーからすればなじみ深い、パーティーチューンを揃えたアルバム中盤の流れだが、従来の彼女たちのイメージを踏襲する楽曲群だからこそ、初期に比べてメンバー一人一人が自信をつけ、それぞれのフロウも輪郭が際立っていることが明確にわかる。メンバーのキャラクターに似つかわしい、これらパーティーサイドの楽曲のレベルを着実に上げてきたからこそ、アルバム冒頭の硬派な面を打ち出した曲を高らかに世に問うだけの実力が伴うようになった。つまり、自身のキャラクターや身の丈から不自然に逸脱せずに歩んできた結果、必然的にセルフボーストを交えたハードコアな曲を発表する機運も導かれたのだ。だから、冒頭の3曲とアルバム中盤の3曲とは、テイストを異にしながらも切断されたものではなく、むしろ強く結びついたものといえるだろう。

     
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